13話 明かりダケ
ーー未開拓ダンジョン、25層にて
「そ、それは……明かりダケですか?」
「ええそうです、明かりダケです!」
配信で使うために出したものは、先ほど美味姫さんが食べて気絶しかけていた明かりダケだった。
「大丈夫なんですか?」
「ええ、問題ないですよ、調伏は1回目で完了していますので」
笑顔でそう話す美味姫さん。
ふ、不安だ……。
特異体質のことを信じていないわけではないけど、まだあんまし信じられないのも事実。
やっぱりもっと安全なものを食べてほしい。
「美味姫さんやっぱりーー」
『ボリボリ』
「ん、ひゃんですか?」
「た、食べてるー!」
美味姫さんの方を見るとすでに明かりダケを食べてしまっていた。
「失礼、光るキノコを見ていたら、つい味見したくなってしまいまして」
「だ、大丈夫なんですか?」
「ご安心してください、問題なしです!」
そう言って美味姫さんは俺にピースをしてきた。
驚いたな本当に平気みたいだ。
攻略者を長くやってて、異能の実を食べた人には何回か会った事があるけど、美味姫さんのような能力には初めて会ったな。
大体は耳が凄く聞こえるようになったり、身体能力が大きく向上する系統が多かった気がする。
こんな風に体の構造を変えてしまうパターンもあるとは、まだまだ俺の知らない事は多そうだな。
「問題ないならいいですが、無理はしないでくださいね」
「もちろんです、それでコラボ配信についてですがこの明かりダケを同志に美味しく調理してもらい、私がそれを食べるとはどうでしょう?」
す、凄いなさすがは人気配信者だ。
企画も構成も完璧じゃないか、今教えてくれた案なら俺の視聴者も美味姫さんの視聴者さんも納得してくれそうだぞ。
やっぱり100万人いく人は違うなぁ。
「ぜひそれで行きましょう!」
「おお、テンションが上がってきたようですね同志よ」
「はい!良い企画なのでモチベーションが上がってます」
「ではそのままその熱を配信に回すべく、今すぐに配信を始めるとしましょうか」
「い、今ですか!?」
「今です!!」
今すぐとは……これが100万人いく人の熱量なのか。
『ガサガサ』
そうして俺は急いで配信の準備を始めた。
まずいなフライパンはあるけど、肝心のコンロがない。
仕方ない焚き火で代用しよう。
『ボウッ』
俺は近くにあった木々を急いで集めてきて、それに火をつけてすぐに焚き火を起こした。
「おお!!なんという手際の良さ、さすがはソロキャン侍ですな」
「お褒めに預かり光栄です、では焚き火の用意もできたのでぼちぼち配信つけましょうか」
「了解です!私の方はいつでも準備万端なので」
「ならいきますよ」
そう言って俺はスマホのインカメを使い、配信をスタートさせた。
ーーチャット欄ーー
"千川さんだ!"
"大丈夫なんですか?"
"心配してました!"
配信をつけるとすぐに同接は100人を超えていき、チャット欄は俺への心配コメントで溢れていた。
そうだった、さっきは階層変動のときに配信閉じちゃったから皆んな心配してたのか。
まずい、ここはまず心配させてしまってごめんと言わないと。
「皆んな、さっきはーー」
「はいはーい、どうもです皆さん私の名前は美味姫!今からこの方、ソロキャン侍さんとコラボしますよー」
ーーチャット欄ーー
"え、美味姫!?"
"腹痛治ったのか!"
"さっき自分の配信してたから無事なのは知ってたけど、まさかコラボするなんて……"
美味姫さんの突然の登場に盛り上がる俺の配信。
そうして同接はあっという間に1000人を超えていくのだった。




