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ある男(男の子)の話。  作者: 土田土
以前の生活

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2/9

〜3年半前〜

 ピピピッ ピピピッ ピ 今日はいつもより一個少ないアラームの音で起きれた。気持ちいい目覚め。新しい学校、新しい友達何もかもが新しくなる今日に期待を膨らませ自然と口元が緩む。


 ニヤニヤとしていると一階から階段を登る足音が聞こえる。部屋の前から「美穂ご飯できたよ。」と声が聞こえる。「今日はおこめ?パン?」と尋ねると「もちろん今日は大好物のパンだよ。」「おっけー」と無愛想に返事をしてみるも心の中では特大ガッツポーズ。


 急いでベッドから飛び起き寝起きのフリをしながら一階へ向かう。居間ではお兄ちゃんがパンを貪り食っている。

 「お、美穂(みほ)おはよう!今日は入学式だな!頑張れよ!てかまだ着替えてないけど間に合うのか?ネクタイの結び方、分からなかったら教えるぞ!」「こっから着るし女子はネクタイつけないの。」「たしかにそうだな!」と豪快にお兄ちゃんが笑う。笑い方がお父さんそっくりでしっかりとお父さんの血が流れているのを感じる。


 朝ごはんを済ませるとお母さんと一緒に制服に着替える。「お母さん、入学式ってバックとかいらないの?」「入学の案内には書いてないから、大丈夫だと思うけど、、一応トートバッグでも持ってく?」「一応そうしようかな。」「あ、上靴忘れないようにね。新しい上靴、下に置いてあるからね」「おっけーい」 少し距離を離して母が私をみる。徐々に目が赤らむ。「大きくなったね」と鼻声で話す。そんな様子に気づかないフリをして「そう?」と返事をするけど多分、私も。


 一階に行くと丁度お兄ちゃんが家を出るタイミングだった。私と目が合うとつま先から頭までをゆっくりとみる。

 徐々に涙が溢れ、その涙を溢さないように「おめでとう、似合ってるぞ」と私に伝えた。私もなぜか涙を堪えながら数年振りにお兄ちゃんに伝える。「ありがとう。」


 もっと沢山感謝を伝えればよかったと、戻れるならこの日に戻りたいとそう思うまで長くはかからなかった。

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