第69話
『まだつかめとらん』
琴実はバットと佐古丸に狙いを定めていた。
『ばってん、あん二人にシェアマインドしてここをつきとめるけん』
『急いで』
琴実はバットに向けて飛んだ。
そうして姫花がまばたき二つほどしたのち、琴実が姫花のなかに戻ってきた。あまりの早さに姫花は、
『忘れ物?』
と聞いた。しかし琴実はバットからばっちり情報をつかんで帰ってきた。
『アジトは六本木たい。某国大使館の下に巨大な地下基地を作って潜伏しとるたい』
『大使館のした? なんだか、きな臭いわね』
『くれぐれも単独で行動せんように』
姫花は苦笑した。そっくりそのまま返してやりたかった。
姫花とオヤブンが大使館に向かう最中、琴実はまさみにシェアマインドしていた。そこでアジト潜入の鍵を握る人物の危機情報に接する。
「コンクリート漬けにして沈めてきな」
まさみが下知した。ターゲットは周である。
「仲売人も一緒に始末したほうがいいだろ』
『ひどか! 命なんと思うとっとかね?』
自分を罠にはめた人間であるが、こうもあっさり捨てられる彼女を、琴実は憐れんだ。
琴実は周に接近を試みた。ここからの脱出には彼女の力を必要としたからである。
琴実の意識はいま周の中にある。
『周さん!』
周は驚いてアパートの壁や天井を見渡した。
「だれ!?」
『チームメイトたい』
職場ではなく渋谷ガールズアイルの属性にしておいた。
「ことみ?」
『あーた、海に沈められるたい』
「・・・」
一瞬思考が止まった。
「是这样吗」
『わかっとった?』
「紅鷲は済んだら簡単に捨てるよ」
『逃げんなっせ』
「無理ね。世界中どこに逃げても捕まる」
琴実は言った。
『逃げてもだめなら戦わんと?』
「戦う?」
周は笑った。
『シェアマインドを使えば、おいたちにも抗する術はあるたい』
「できっこないよ、そんなこと」
『やらねば死ぬのを待つだけ、そんでよかと?』
「・・・」
『戦うか、死か、どっちかたい』
周には無理だとわかっている。だが・・・
「だましたチームメイト許せる?」
『いま頼れるのはエースのあーただけたい』




