第68話
『もしかしてあれかい、紅鷲ってのは!』
オヤブンは身震いした。あまりに強面の男たちだったからである。しかし自分は姫花を警護しなければならない立場だ。オヤブンは勇み大声で彼らに怒鳴った。
「な、なんか用かい!!」
そこは誰もが行き交う公共地である。オヤブンの怒声に驚き、人々が振り返る。これにはバットと佐古丸もまずいと思ったか姿くらました。
オヤブンは呟いた。
「姫ちゃんつけ狙ってるんや」
そこに意外なところからオヤブンに話しかける声が・・・。
『オヤブン!』
姫花かと思いオヤブンは隣を伺う。しかし姫花はベンチに腰掛けたまま動かない。
『オヤブン!』
もう一度声がして、オヤブンは誰何した。
「だ、だれや?」
『わからんと?』
「琴実か!」
オヤブンは頭のなかで聞こえる声に戸惑いつつ、あたりを伺った。ひょっとして近くに琴実がいるのかと。
「おまえ、どこから話しかけとるんや?」
『シェアマインドで』
「それはわかってんねん。いまどこにおるんかって聞いてんねん」
『オヤブン』
「なんや!」
『大きな声ださなくても大丈夫たい。思うだけで話できるけん』
「お、・・・」
声を出しかけてオヤブンは口を塞いだ。
『そうなんか』
『時間ないけん、手短かに言うたい。捕まった。堀口も一緒たい。ばってん堀口は既に虫の息たい。助けにきて欲しか』
『もちろんや。おる場所を教えてくれ』
『詳しくわからん。今それを調べとる。それと、今の男たち、紅鷲たい』
『やっぱそうか』
『おいもあいつらに捕まった。次は姫ちゃんを狙っとる』
『姫花の護衛は任せとけ。その姫花やけど、おまえんとこに行ったぞ』
『あちゃー。入れ違いたい』
折しもその時、姫花が自分の体に戻ってきた。大層慌てている。
「オヤブン、まずいよまずい。琴ちゃん監禁されてる。でね、意識ないのよお~」
オヤブンは姫花を落ち着かせる。
「大丈夫や、ここにおるって」
そういってオヤブンは自分のこめかみを指した。そこにいた琴実だが姫花の中に飛び移った。
『おいは無事たい』
『琴ちゃん? ああよかったぁ、びっくりしたわ。呼びかけても返事しないんだもの・・・』
『カラダ留守にして出ちょるけん』
『そんなことしてるから捕まるのよ!』
『申し訳なか』
気まずい思いで琴実は詫びた。
『シェアマインド封印とか、もう言ってられないよね!』
『ほんま、すまんこって』
『ま、いいわ。助けに行くから! で、そこどこなの?』




