↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/84

第54話

 里美は冴子が変わった原因を知りたかった。しかし冴子の答えははっきりしなかった。

「よくわからないのよ。自分でもなにが起きたのか」

 わからない? 自分が変わった原因を? そんなことがあるだろうか。

「でも変わりましたよ、確実に冴子さんは」

 冴子は頷《うなず》いた。きっと他の者からも言われているのだろう。

「いまの冴子さん、外見は変わらないけど、中身がすっぽり誰かと変わったみたい」

 言って里美は失礼だったと口を押さえた。

「すみません」

 しかし冴子は笑ってそれを肯定《こうてい》した。

「いいのよ。暗い子だったからね、わたし。強いて言えばオヤブンのお陰かな」

 冴子はオヤブンとつき合い始めてから少し明るくなった。それは周りも認めている。しかし里美が言った変わり様はそれに留まるレベルではなかった。まさしく人が変わったようだった。 


 冴子が人事課の前を通りかかった際、村上が冴子に声をかけた。

「あっ、冴えちゃん。これ持っていってもらってもいいかな?」

 書類はマーケティング課の扶養控除等申告書《ふようこうじょとうしんこくしょ》だったので別段冴子に頼んでもなんの不思議もない。だが村上の言い方が今までと違う。いつもは上からおっかぶせるように言う。今日はかなり謙譲的《けんじょうてき》だった。

「いいわよ」

 冴子の受け取り方もこれまでと違い堂々としていた。以前の冴子は村上を苦手にしていた。冴子ははっきりもの言う人に弱かった。特に村上に対しては、何か一言いわれれば押し黙ったが、いまの彼女は平然としている。村上もそんな冴子にこれまでと違ってフランクに話してくれるようになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。