第51話
「調べたいんですけど」
姫花が尋ねる。
「なにを?」
応対したのは村上だ。
「堀口さんの住所を」
「はぁ! あなたが聞く?」
姫花と雅臣がつき合っていることはここでは公然のことだった。村上がそう言うのも無理もない。
「知らないんです」
「だったら、本人に聞けばいいじゃない」
「その本人がいなくなったんです」
「あのね、迷子の子供じゃあるまいし、いなくなったって携帯でもメールでも連絡できるでしょ」
「それがどうも迷子みたいなんです。どれも連絡つかなくて」
「うちは迷子探しセンターじゃないのよ。いちいちそんなことに付き合ってられないの!」
「教えてもらえませんか?」
「教えられないわ」
「個人情報ってやつですか?」
「わかっているなら、聞くな!」
村上はそう言った後、席に戻った。これ以上は無駄だと姫花は思った。
人事課の前で佇む二人。
「どうしょうかしら?」
琴実の返事がない。
「琴ちゃん?」
多分、琴実は誰かに仕掛けている。こうなると姫花は動けない。
『使うなって言っといって自分はなんなのよ!』
村上が恐い顔して言う。
「なに、まだなにか用?」
「いえ、ありません」
「だったらさっさと行きなさい」
「は、はい」
たまらず姫花は意識抜けた琴実の腕を取る。
『ほら行くよ! 早く戻ってこい!』
ようやく琴実が戻ってきた。
「お待たせ」
「怒られちゃったじゃない!」
「もうしわけなか」
人事課を出る時、琴実が振り返り周麗華の方をちらりと見た。
エレベータホールまで来たところで琴実が囁く。
「手がかりが見つかったたい」
「手がかり?」
「周麗華が怪しか」




