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第43話

 暗に収賄を認めたようなものだった。同時にここまで知り尽くしている目の前の人物が同じ罪に手を染めていると確信した。

 しかし雅臣はそれを否定した。

「まさか。遠藤課長と違って私は社内でそんな力ありませんから、田島企画が私を相手にするはずがありません」

「知ってるのは誰だ?」

 拡散範囲を遠藤は気にしている。

「私だけです。今のところはね」

 出方次第ではバラすと示唆している。

「どうしましょうかね? 遠藤課長」

「んっ・・」

 雅臣は不敵な微笑みを浮かべた。

「私のところで留めておいてもいいんですよ」

「た、たのむ。黙っておいてくれ」

「いいですけど」

「ほ、ほんとか? あ、ありがたい」

「ただし・・・」

 遠藤が苦々しい顔をした。

(揺する気か?)

「条件があります」 

(やはり)

 しかし雅臣が出してきた条件は意外にもカネではなかった。

「あなたの部下を・・・」

「部下?」

「少しかわいがってもらえますか?」

「なに?」

 意味がわからず遠藤は問うた。

「かわいがるとはどういうことだ?」

 雅臣は再び椅子に腰掛けた。さっきとは違う遠藤から見て上座の位置に。

「辞めたくなるほどかわいがってやってください」

「いったい誰を?」

「北島姫花」

「きたじま?」

「と、南澤琴実」

「二人もか?」

「そうです」

「南澤はまだ入ったばかりだぞ」

「いいんです。そのほうがかわいがりがいがあるでしょう?」

「おまえの考えていることがよくわからん」

「そんなことを忖度《そんたく》する必要はありませんよ、遠藤課長」

「しかし北島は、なかなかあれでへこたれんぞ」

「めげずに徹底的に追い詰めてもらいたい」

「なんの目的で?」

「くどいですよ。あなたには、こちらの条件に従ってもらえさえすればいいのです」

 雅臣は遠藤を睨みつけた。

「それとも何ですか、今の件フェアトレード委員会に暴露しましょうか?」

 遠藤は怯《ひる》んだ。

「す、すまん。おまえの条件を履行《りこう》する」

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