第42話
「田島企画から、もらってますよね?」
今年5月。イサワカ製菓本社、第6会議室。
遠藤と雅臣が新商品の販売促進について打ち合わせをしていた時だった。突然雅臣が遠藤の収賄を暴露した。
田島企画とはイサワカ製菓の販促イベントや売り上げ増進キャンペーンなどをサポートしている取引先業者である。イサワカ製菓とのつきあいは長く遠藤はここの専務と昵懇の仲だった。
雅臣は共有を使って遠藤と田島企画の関係を事前に調べていた。彼が得たスキャンダル情報は、遠藤が田島企画から定期的に裏金を受け取っているというものだった。その見返りに遠藤は田島企画に仕事を回している。
田島企画との関係を指摘され当然遠藤は泡を食った。
「な、なに訳わからないこといってんだ」
遠藤の慌てぶりは露わだった。これを見て雅臣はさらに追及の手を強めた。
「直近では50万円」
「な、なんのことだ?」
「とぼけないでくださいよ。先週あなたの口座に振り込まれたカネじゃないですか」
「んっ・・」
遠藤の顔がみるみる色を失っていく。
(どうしてこいつ、知ってんだ!?)
「この1年だけでも4回、個人口座に振り込まれてますよね」
遠藤の額に滲むものを、雅臣は楽しげに眺めた。
「入金者の名義がグリーンエデュケーション。田島企画とは一見なんの関係もないような団体だが・・・」
遠藤の唇と肩が小刻みに震えている。拳は爪が掌に食い込むほど強く握られている。
「実はグリーンエデュケーション、田島企画の前島専務の妻が代表に名貸しているペーパーカンパニー」
「なぜそこまで?」
「まあ、いいじゃないですか。どうやって知ったかなんて。それより・・・」
雅臣は椅子から立ち上がってブラインドを指で下げて外の景色を眺めた。今にも雨が降り出しそうな暗い雲が空に垂れこめていた。
「大事な時じゃないですかいま。このことがバレたら遠藤課長のキャリアに傷がつきますよ」
雅臣は遠藤が一番気にするところを突いた。
遠藤は目の前の人物に疑惑の目を向けた。
「ひょっとしておまえも繋がっているのか?」




