↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シェアマインド 〜黄色い空と甘いスモークチーズ〜  作者: 水無月はたち
Chapter8「異なるものを受け止める」
PR
22/84

第22話

 隅田川ほとりのイタリアンダイニング。

 先に行ってて、と雅臣からメッセージがあったので姫花は気持ちを整理する時間も欲しかったので、店にひとり向かった。

 リバーサイドのシートには川面に反射する光や行き交う船影やジャズの音響が交錯した。それらを姫花は幻であるかの如く遠くに感じた。この色や音は他の人にはどんな風に伝わっているのだろうと考えていた。

 ほどなく雅臣がやってきた。

「わるい、わるい。商談長引いて」

「なんの商談?」

 心落ち着けていたつもりだったが詰問調になってしまった。

「言ってもわかんないよ」

 なんか引っかかる。そう思ったが気持ちを抑えた。

 雅臣は疲れた表情でシートに腰を降ろした。色を失った隅田川が彼の背の向こうに見えた。

 冷えたビールを掲げ二人は「チアーズ(・・・・)」と声を合わせ乾杯した。この掛け声は二人の合言葉だ。互いを励ます時にもよく使う。

 2杯目を飲み終える頃、うってつけの話題に飛んだ。

 雅臣が言った。

「しかし、あいつよく打ったよな」

 奇貨《きか》おくべしである。

「あいつって?」

「なに言ってんだよ、サヨナラヒット打った殊勲者だよ」

「だから誰のこと?」

「見てなかったのか?」

「んなわけないでしょ」

「だよな」

「その殊勲者に何か言ってあげたいことは?」

「でかした!」

「それだけ?」

「ん?」

 雅臣は不可解な表情をしている。

「どうした姫花?」

「べつに」

「なんか今日変だぞ」

 雅臣はフロアスタッフを呼んでビールを追加した。

「遠藤課長とまたなんかあったのか?」

 これもむしろ姫花にはうってつけの話題振りだった。

「わたしじゃないわ。殊勲者の方にね」

「琴実か?」

(そうそう、その名前を出したかったのよ)

「随分こっぴどくやられてたわ」

「らしいね」

 直後、彼の表情に焦《あせ》りが見えたのを姫花は見逃さなかった。

「どうして知っているの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。