第77.5話_記録Ⅲ
――とある未来の話。
静寂に包まれた空間。
無機質な光の中で、
青年は静かに目を細めた。
「……テトラ」
低い声が響く。
僅かな沈黙。
「……次の記録を見せてくれ」
《Incorrigible, Master.》
機械音声が応答した。
――記録領域、展開。
視界が反転する。
無数の光粒子が、
世界そのものを再構築していく。
それは――
高校一年生の記録。
新たな時代へ至る、
変化の記録だった。
■観測対象:祐司
観測者は、
静かに立場を変えつつあった。
内藤祐司。
物語を知る転生者。
未来を知る者。
本来なら、
介入しすぎてはならなかった存在。
だが。
世界は既に、
原作から逸脱しつつある。
《永久循環》
(パーペチュアル・ループ)
循環し続ける魔力。
蓄積し、
増幅し、
限界を超えてなお巡り続ける。
《多重加速》
(マルチ・アクセル)
思考。
時間。
現象。
すべてを加速させる。
そして――。
《天輪・円環世界》
(クロノ・オルビス)
都市全域を覆う領域、
閉じた世界。
魔法少女が全力を出せるように。
停止世界の中で、
保護、隔離、を行う。
世界そのものを制御する、
規格外の『領域魔法』。
彼は既に、
観測者ではない。
管理局。
王国。
聖王教会。
誰もが、
黒の魔導士《天輪》を無視できなくなる。
だが――。
異変は既に起きていた――。
自覚した異常。
失われた記憶。
本来、
知っているはずの未来。
知っているはずの物語。
空白だけが、
静かに増えていく。
誰が奪ったのか。
何のために。
脳裏に残る違和感。
世界の裏側で蠢く異質。
――異界の魔力。
遥か彼方で、
静かにこちらを見つめる“夜”。
答えはまだない。
■観測対象:アリス
星は、
さらに輝きを増した。
有栖川時寧。
《星双》。
銀の髪。蒼と金の瞳。
優しく、
真っ直ぐで、
誰かを守りたいと願う少女。
その願いは、
今も変わらない。
彼女の立場は、
変わり始めた。
管理局への所属。
新たな戦い。
広がる世界。
そして――
芽生え始める感情。
星銀の魔力は、
さらに深く共鳴する。
デバイス《クリスタルハート》。
星光を纏う槍は、
より鋭く、
より強く進化していく。
放たれる奥義――。
《永星銀砲》
領域へ至る、一歩手前の世界。
そして――
星環を束ね、
世界を穿つ一撃。
《星界穿》
それは、
《漆黒の月》すら貫いた。
星は、
もう迷わない。
だが少女はまだ知らない。
その胸に芽生えた想いの意味を。
■観測対象:エリザ
紅雷は、
ついに高みに届く。
小早川エリザ。
紅き雷を操る少女。
気高く。
優雅で。
誇り高い。
管理局への所属し、
新たな戦いに向かう。
デバイス《アストラペ》。
砲撃。
狙撃。
紅雷は、
さらなる高みへ至った。
長距離狙撃砲形態。
《ライフル・キャノン》。
複雑化する魔導機構。
高まる圧縮率。
そして――
血族だけが扱う力。
紅き王の権能。
奥義――。
《紅蓮王権》
天より降り注ぐ、
紅き裁き。
必中の雷撃。
絶対なる一撃。
紅雷は、
静かに覚醒を続けている。
まだ――
その先を残したまま。
■観測対象:カエデ
宵闇は、
静かに目を覚ました。
一条楓。
《魔法少女カエデ》。
黒と濃紫を纏う、
戦術制御魔導師。
デバイス《宵闇の書》。
未完成だった書は、
ついに完成へ至る。
奥義――。
《宵闇の晩餐》
広域戦術制御。
盤面掌握。
戦場支配。
都市全域へ広がる、
紫黒の魔力。
戦況そのものを制御する力。
だが、
彼女は独りではない。
傍らには、
二人の守護騎士。
守護騎士シエル。
蒼き剣閃。
冷静沈着なる騎士。
《蒼刃一閃》
(アズール・ブリッツ)
一瞬で戦場を斬り裂く、
極限の剣技。
守護騎士レギ。
赤黒き破壊。
小さな身体に宿る、
圧倒的な破壊。
《巨震崩壊》
(デトネーション・ストライク)
流星となり、
すべてを叩き潰す一撃。
宵闇。
蒼刃。
巨震。
三位一体。
それこそが、
新たな戦術ユニット。
そして彼女たちは、
時空管理局へ加わる。
新たな戦力として。
■観測対象:管理局
監視する巨大組織。
時空管理局。
そして、
日本支部は大きく変わった。
時空航行戦艦。
艦長。
ミスティ・オーレリア。
主任オペレーター。
ニコ・ラズパレード。
二人は確信している。
時代が変わることを。
日本支部に集う戦力。
《星双》。
《紅王権》。
《宵闇》。
そして――
黒の魔導士《天輪》。
戦力バランスは、
既に大きく変化していた。
管理局は、
まだ全てを知らない。
未来は、
確実に動き始めている。
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光が消える。
静寂が戻る。
「……以上です、マスター」
テトラの声が響く。
だが、青年は何も言わない
物語は、まだ終わっていない。
作者( ゜Д゜):三章完結です。
オコジョ:次の章こそは、俺の活躍書いてくれよぉ!
作者( ゜Д゜):残念ながら四章では…オコジョは出ません。
オコジョ:な…なんだと……そこを何とか…




