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第67話_ミスティVSシエル

――最上階、局長室。


張り詰めた空気。

互いの魔力がぶつかり合い、室内が軋む。


シエルの手が剣へ伸びる。


対するミスティも杖を構えた。

挿絵(By みてみん)


白銀の指揮杖型デバイス――

《アーク・ヴァルキリア》。


互いに魔力解放状態。

局長室の空気そのものが震えていた。


その様子を見ていたニコが、思わず息を呑む。


「……っ」

次の瞬間。


シエルの姿が消えた。


「速っ――!!」

ニコが叫ぶ。


轟音。

剣閃が空気を裂いた。


床が抉れ、石材、鋼材が吹き飛ぶ。


ミスティは反射的に杖を振るった。


「《エーテル・ウォール》!」

青白い多重障壁が展開される。


防御術式。


しかし――。


ギィィィン!!

障壁が悲鳴を上げた。


一撃。

たった一撃で亀裂が走る。


ニコの顔が青ざめた。


(艦長の障壁に……!?)


(総合AAランクの防御魔法に亀裂……!?)


(やっぱり……)


(Sランク級――!!)


シエルは止まらない。

追撃。


剣型デバイスへ蒼い魔力が集束する。


「一閃」

横薙ぎ。


蒼い斬撃が室内を走った。


ミスティは飛び退く。


直後。

背後の壁が音もなく切断された。


「……!?」

ミスティの瞳が揺れる。


局長室の壁は魔法世界シルヴァリス・エリュシオン製。


通常の攻撃では傷一つ付かない。


それを容易く切断する威力。


常識外れだった。


――守護騎士。


それは古代より続く戦闘魔法騎士の称号。


「……ストライカー級」

ミスティが小さく呟く。


しかも、高速近接戦闘型。


(私では荷が重いか……)


そう思う。

――だが。


ここで退くわけにはいかなかった。


ミスティは杖を掲げる。

「《グラン・レイ》!」


高等魔法術式。

複数の魔法陣が展開される。


「撃ち抜きなさい!」


無数の光線。

局長室を埋め尽くす飽和攻撃。


火力よりも手数。

回避不能の弾幕。


しかし。

シエルは止まらない。


閃光の中へ踏み込む。


剣が舞う。

蒼い軌跡。

光線が次々と切り裂かれる。


魔力が砕ける。

爆発が連続する。


轟音。

衝撃。

白煙。


そして――。

煙の中から、シエルが歩み出た。


傷一つない。


ミスティの表情が強張る。


「日本支部、局長――」

シエルが静かに言う。


「強いですね」

その声に嘘はない。


実力は認めている。

だが。


「ですが――」

シエルの瞳が揺れた。


ほんの僅か。

苦しみを滲ませるように。


「私は――」

蒼い魔力が膨張する。


局長室全体が蒼く染まる。

「主を救わなければならない」


ニコが叫んだ。

「艦長!!」


ミスティも覚悟を決める。


杖を天へ掲げた。

魔力を限界まで解放する。


「《グラン・レイ》――全出力解放!!」

純白の光が収束する。


眩い輝き。

局長室を満たす光。

挿絵(By みてみん)


対するシエルは、

剣を静かに構える。


「奥義――」

空気が震える。


蒼の魔力が空間を支配する。


「《蒼刃一閃アズール・ブリッツ》」

世界が蒼く染まった。

挿絵(By みてみん)


そして――。

轟音。

閃光。

衝撃。


全てが一瞬で終わる。

――静寂。


崩れた局長室。

立っていたのは――


守護騎士シエル。


その足元には倒れたミスティ。


――意識はある。

だが戦闘続行は不可能だった。


「……さすがに吸収には時間が掛かるか」

シエルが呟く。


黒い紙片。

《宵闇の書》のページ。


それが生き物のように蠢く。


ミスティから魔力を吸収し始めた。


「やめるっす!!」

ニコが飛び出そうとする。


だが。

身体が動かない。


圧倒的な実力差。

本能が警告していた。


勝てない。

絶対に勝てない。


「……っ」

足が震える。

手も震える。


それでも前へ出ようとする。


――だが。

動けない。


「艦長……」

声が震える。


「艦長っ……」

涙が滲む。


そして。

「……もうダメっす」


絶望が口から漏れた。


――その時だった。


シエルの視線が動く。

――違和感。


倒れているミスティの身体。

その輪郭が沈んでいる。


「……?」

シエルが眉をひそめた。


そして気付く。


「影――」


直後。

空間のどこからか声が響く。


潜影抱擁シャドウ・シフト


黒い影が広がる。

ミスティの身体が沈む。


ニコも飲み込まれる。


――影の中へ。


――避難。


――救出。


それは隠密と潜伏を極めた魔法。


管理局日本支部所属。

エリート観察官。


オコジョの魔法だった。


「なっ――」

シエルが反応するより早く。


二人の姿は消えた。


影の中。


そして――。

「……逃げるが勝ち」


即断。

即決。


総合Bランク――。

自分では勝てない。


だから戦わない。

――生き残る。

――情報を持ち帰る。


それが今の最善。


影の空間を高速移動しながら、オコジョは歯を食いしばった。


「日本支部の崩壊――」

その未来だけは。


「絶対に阻止する」


影が走る。

戦いは、まだ終わっていない。

オコジョ:次話は私の活躍回だな、そうなんだろ?

作者( ゜Д゜):え?、う…ん…ちょっと書き直しておくね。

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