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第63話_お友達になりましょう

――時空管理局・日本支部。


♪ドナドナドーナー


♪ドーナードーナー


そんな脳内音楽と共に連行された


局長室――。


(受付から、5分の移動距離だが、やたら長く感じたぞ……。)


(具体的には、ストーリーが、二話も進んだような……?。)



――――

――


応接スペース。


ソファに座るのは、聖王教会所属の聖女クラリス。


その向かいには――。

銀髪の少女、有栖川時寧。

金髪の少女、小早川エリザ。


ミスティ艦長が紹介を行う。


「改めて紹介するわね。

 こちらが、日本支部期待の魔導士――」


「《星双》――有栖川時寧さん」


「《紅王権》――小早川エリザさん」


その言葉に。

クラリスの瞳が、ぱぁっと輝いた。


「まぁ……!」

普段は落ち着いた聖女。


だが今は、少しだけテンションが高い。


「お会いできて嬉しいです!

 報告書で、お二人のお話は聞いていました!」


アリスとエリザが、きょとんとする。


「えっと……」

アリスが少し戸惑う。


「わたくしたち、有名なんですの?」


「はい」

クラリスは嬉しそうに頷いた。


「ふふっ……。

 教会でも話題なんですよ。特に――」


少しだけ真面目な表情になる。


「《星双》――。

 星を纏う銀の魔導士」


「《紅王権》――。

 紅雷を統べる王権の後継者」


――アリスは少し照れた。


――エリザは戸惑う。

「王権……? 後継者?」


管理局が付けた二つ名。


クラリスは、にこにこと続けた。


「それに――。

 レーゼ王女とも、お友達なんですよね?」


「「え?」」

二人が同時に反応した。


「レーゼちゃん!?」


「えぇ」

クラリスは微笑む。


「これでも聖女ですので。

 お二人のことも、本人から聞いていますよ」


レーゼ王女。

シルヴァリス・エリュシオンの王女。


二人にとっても大切な友人だ。


クラリスは柔らかく微笑み――。


「なので」

両手を胸の前で合わせる。


「私とも、お友達になって下さいませ♪」


「「…………」」


あまりにも真っ直ぐだった。


アリスとエリザは顔を見合わせる。


――そして。


「……はい」

アリスが少し照れながら頷く。


「よろしくお願いしますわ」

エリザも微笑んだ。


「はいっ♪」

聖女クラリスは、本当に嬉しそうに笑った。


その後。

三人の会話は、意外なほど盛り上がった。


好きな食べ物。

学校生活。

魔法訓練。

レーゼ王女の話。

教会の話。


エリザがお嬢様らしく語れば。

クラリスが興味津々で聞き。

アリスが時々ツッコミ役に回る。


そんな女子会のような時間だった。


一方――。


(……平和だなぁ)

俺は少し離れた場所で、その様子を眺めていた。


ドナドナされた結果。

なぜか局長室に同席している。


空気になるしかない。

触らぬ神に祟りなし。


女子会に巻き込まれないことが最善だ。


そう思っていたのだが――。


「そういえば」

不意に。


クラリスが口を開いた。


「お二人には、好きな人はいらっしゃるのですか?」


「っ!?」


「なっ……!?」

空気が止まった。


アリスとエリザの顔が一気に赤くなる。


そして――。


ちらっ。


二人同時に、こちらを見る。


祐司。――俺である。


「…………」

俺は無言で視線を逸らした。


見なかったことにしたい。

クラリスは、その視線を見逃さなかった。


だが。

何も言わない。


ただ静かに微笑む。

翠の瞳の奥で、何かを理解したように。


そして――。

ふと立ち上がった。


「少し、祐司さんをお借りしても?」


「「えっ?」」

アリスとエリザが同時に声を上げる。


「すぐ終わりますから♪」


にこり。

――そして俺は連行された。


部屋の隅。

少し離れた場所。


クラリスは静かに小声で言った。


「あなたに、一つ助言を」


「……なんでしょうか」


――その瞬間。

空気が変わる。


柔らかな雰囲気の奥に潜む神秘。

預言者としての気配。


翠の瞳が僅かに輝き。

真っ直ぐ俺を見た。

挿絵(By みてみん)


「翠の贈り物を、お二人に渡してください」


「……翠の?」


「はい」

静かな声。


未来を見る者の言葉。


「イヤリングでも。

 ペンダントでも。

 指輪でも構いません」


「彼女たちが身につけられるものを」


「……」

俺は黙って聞く。


クラリスは続けた。

「十八歳までに、渡してくださいね」


「それが、未来へ繋がります」


「……どういう意味です?」


クラリスは少しだけ目を閉じた。


翠の光。

ほんの一瞬。


未来を覗くような静寂。


――そして。


「将来の分岐点に、それがありました」

静かな声だった。


「多くは言えません」


「未来は変わってしまいますから」

そう言って――。


一歩だけ近づく。


「ですが――」

翠の瞳が…俺を覗く――。


「その翠は――

 きっと、彼女たちを守ります」


――そう告げた。


俺は苦笑する。

「もう少し、ヒントはありませんか?」


「ふふっ」

クラリスは楽しそうに笑った。


「それ以上は内緒です」

聖女らしいような。


年頃の少女らしいような。


そんな笑みだった。


――その時。

応接スペースから声が飛んでくる。


「祐司ー!!」

アリスだった。


「ちょっと近いよ!」


「そうですわ!」

エリザも立ち上がる。


「さっきから距離感がおかしいですわ!」


「え?」

クラリスは首を傾げた。

本気で分かっていない顔だった。


天然である。


俺は思わず額を押さえた。


クラリスはくすりと笑いながら離れる。


「……大変そうですね?」


「他人事みたいに言わないで下さい」


「他人事ですから」

即答だった。


――聖女は少し悪戯っぽく笑う。


その表情は。

教会の象徴でも、未来を見る預言者でもない。


ただの年頃の少女そのものだった。


そして――。

アリスとエリザの視線が痛い。

挿絵(By みてみん)


俺は心の中でため息を吐いた。


――どうやら。

今日は平和には終わらないらしい

作者( ゜Д゜):戻ってきました~♪ドナドナドーナー

オコジョ:♪ドーナードーナー

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