表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/99

第64話_宵闇事件の始まり

――4月末。


日本は大型連休へ入り始めていた。


だが、その裏側で――。

静かに、一つの事件が動き始めていた。


――薄暗い部屋。


ベッドの上で、一人の少女が苦しそうに息を吐く。


一条楓。――魔法少女カエデ。


彼女の胸元には、黒紫の魔導書――


《宵闇の書》。


ページが開かれている。

その周囲には無数の黒い断章。


魔力を帯びた紙片が、まるで生き物のように漂っていた。


「……っ……」


――楓の表情が苦しげに歪む。


呼吸が浅い。

額には汗が滲んでいる。


その様子を見つめる二人。


――守護騎士シエル。

――守護騎士レギ。


家族同然の少女を見守る二人の表情には、隠しきれない焦りがあった。

挿絵(By みてみん)


楓が手に入れた古い魔導書。

そして、封印から解かれ現代に復活した守護騎士。


守護騎士たちは理解しているつもりだった……。


古代魔導書――《宵闇の書》。


その伝承で語られていた内容。


――全てのページを満たせば願いが叶う。


両親を失い。

孤独の中で生きてきた少女。


夜毎、涙を流していた少女。


だから二人は信じた。


この書が完成すれば。


――楓は救われる。


――楓は幸せになれる。


そう信じていた。


だが――。


ページが満たされるたび。


封印が解けるたび。


楓の身体に異変が現れ始めた。


魔力が暴走する。


膨大な力が流れ込む。


完成に近づくほどに。


少女の身体が耐えられなくなっていた。


「これは……」

シエルが唇を噛む。


「一時的な症状のはずだ」


――そう信じるしかない。


完成すれば治る。


完成すれば救われる。


完成すれば――。


「急がねぇと……」

レギが拳を握る。


――時間がない。


魔法生物から集める魔力だけでは足りない。


圧倒的に足りない。


もっと大量の魔力が必要だった。


もっと強力な魔導士が必要だった。


そして。

二人の脳裏に浮かぶ組織がある。


時空管理局。


魔力を持つ魔導士達。

管理局員。


「選んでられねぇ……」

レギが低く呟く。


「できれば高ランクだ」

シエルも静かに頷く。


魔力ランクB以上。

できるならAランク。


さらに高ければ理想的。


楓を救うためなら。

自分たちは何だってする。


だが。

二人は知らない。


《宵闇の書》の真実を――。


それは願いを叶える魔導書ではない。


奇跡を起こす聖遺物でもない。


古代文明が生み出した。


防衛・執行システム。

膨大な破壊のための装置。


それが本来の姿。


――願いが叶う。


そんな伝承が広まったのは。

長い年月の中で。

誰かがそう語り。


誰かが信じ。


歪んだまま受け継がれてきた結果だった。


確かに。

完成すれば絶大な力を得られる。


世界すら変えられるほどの力を。

だが――。


それは決して。

失われたものを取り戻す力ではない。


創造ではない。

救済ではない。


――破壊。


ただ、それだけ。


そして。

誰も知らないまま。


事件は静かに動き始める。


主を救うため。


守護騎士は魔力を集める。


時空管理局は、まだ異変に気付いていない。


アリスも。

エリザも。


まだ知らない。


気づきがあるとすれば……。

未来を知るあの男だけ……。


やがて訪れる。

地球でおきる大事件。


《宵闇事件》。


その幕が――

静かに上がろうとしていた。

作者( ゜Д゜):三章の本編スタートです。

オコジョ:いつもの…リリカル……

作者( ゜Д゜):楓のメインストーリー始まります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ