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第62話_転移作戦

――魔法世界シルヴァリス・エリュシオン


エリュシオン魔導王国・王城。


王城深部に存在する作戦室には、緊張感が漂っていた。


辺境惑星で開始される大規模合同作戦。

その追加戦力として投入される王国部隊が、出撃の時を待っている。


室内に集うのは――。

王女レーゼ。


そして四名の十二守護騎士。


《神剣》アルトリウス。

《眠り姫》ネネ。

《烈火》グレン。

《迅速》カイ。


さらに、王国防衛のために残留する三名も同席していた。


《聖騎士》ユーリ。

《鳴神》リン。

《賢者》テラス。


王国の中核戦力。

まさに精鋭である。


白衣を纏った女性が口を開いた。

長い黒髪。

知性を感じさせる落ち着いた雰囲気。


王国十二守護騎士第十一位。

《賢者》テラス。


「王国の守護はお任せください」


穏やかな笑み。


「魔導バリアも最大出力で展開しています。

 王都防衛体制に問題はありません」


不安を抱える必要はない。

そう伝えるような言葉だった。


その言葉を受け、

黄金の魔導衣を纏う男が大きく頷く。


王国最強。


十二守護騎士第一位。

《神剣》アルトリウス。


魔力ランクSSS。総合評価SSS。


腰には神剣ディバイン・カリバーン

一振りで次元断層すら切り裂くと謳われる管理者権限型デバイス。


彼は力強く声を上げた。


「任せたぞ!

 ユーリ、リン、テラス!」


一人ひとりの名前を呼ぶ。


信頼しているからこそ。

仲間を大切にする男だからこそ。


――その言葉には重みがあった。


「はい」


「お任せください」


「えぇ」


三人が応じる。


短い返事。

だが十分だった。


「……すやぁ……」

その隣では。


まったく緊張感のない少女がいた。


小柄な体。

椅子に座ったまま眠っている。


胸には大切そうに抱えられたウサギのぬいぐるみ。


――否。

それは――インテリジェンスデバイス。


《ドリーム・ロップ》。


王国十二守護騎士第五位。

《眠り姫》ネネ。


魔力ランクSS+。総合評価SS。


戦闘中ですら眠りながら戦う異端の魔導士である。

挿絵(By みてみん)


「……すやぁ……」

今日も平常運転だった。


「漢は黙って根性だぜ!!」


ドンッ!


巨大な籠手同士を打ち鳴らす男。

燃えるような赤髪。


王国十二守護騎士第六位。

《烈火》グレン。


魔力ランクSS。総合評価SS。


両腕に装着された大型籠手型デバイス。


《ブレイズ・アトラス》。


「眠り姫!

 寝てる場合じゃねぇぞ!」


「……」


「根性が足りねぇーな!!」


「……すやぁ」

起きない。


完全に寝ている。

グレンは豪快に笑った。


「先輩。

 今どき根性論はモテませんよ」

呆れたような声。


軽い口調。

若さ溢れる笑み。


双短剣型デバイスを器用に回している少年。


王国十二守護騎士第十位。

《迅速》カイ。


魔力ランクS+。総合評価S+。


デバイス《ライトニング・ストライカー》が指先で踊る。

挿絵(By みてみん)


「なんだとぉ!?」


「事実ですよ」


「最近の若者は根性が足りねぇ!!」


「その台詞、完全に年寄りです」


「誰が年寄りだ!!」


作戦前とは思えないやり取り。


だが――。

それが彼らの日常だった。


そして。

部屋の中央。


静かに立つ一人の少女。


まだ十三歳。

金色の癖のある髪。


王女レーゼ。


魔力ランクS。総合評価A。

純粋な戦闘能力だけなら、十二守護騎士には及ばない。


――だが。

彼女には唯一無二の力がある。


――星属性。


世界を渡る魔法。――"星渡り"。


それを可能とする、ただ一人の魔導士。


レーゼがゆっくりと顔を上げる。


「……時間じゃ」


その一言で。

室内の空気が変わった。


先ほどまでの和やかな雰囲気が消える。


皆の表情が引き締まる。


――出撃の時間だ。

レーゼは、突入組へ視線を向けた。


「わらわの守護は任せたのじゃ」

王女の言葉。


それに応えるように。

アルトリウスが一歩前へ出る。


黄金のマントが揺れた。


「レーゼ様」

そして深く一礼する。


「必ずや、お守りいたします」

その言葉に偽りはない。


王国最強の騎士の誓い。


――準備は整った。

レーゼが静かに目を閉じる。


魔力が高まる。


蒼。

そして金。


二色の輝きが少女の身体から溢れ出す。


空間が震える。

ざわり――。


星屑にも似た粒子が周囲へ広がる。

まるで宇宙そのものが現れたかのような幻想的な光景。


《星渡り》。

世界を繋ぐ奇跡の魔法。


辺境惑星へ。

少数精鋭を直接送り込む特殊転移作戦。


今回投入される王国総戦力は――。


第一位《神剣》アルトリウス。

第二位《重力の魔女》イザベラ。

第三位《蒼氷》セレナ。

第四位《超狙撃》ガイ。

第五位《眠り姫》ネネ。

第六位《烈火》グレン。

第七位《静寂》フィオナ。

第十位《迅速》カイ。

第十二位《慈愛》エルゼ。


そして――。


《星海を往く者》レーゼ。


――最精鋭。合計十名。


王国が誇る最高戦力。


十二守護騎士の大半が、一つの戦場へ集結する。


それは王国史上でも極めて異例の事態だった。


蒼金の光が膨れ上がる。


転移が始まる――。


辺境惑星。

永劫の帳事件の舞台。


その戦場へ向けて――。


エリュシオン魔導王国最強戦力が、


今、動き出した。

作者( ゜Д゜):永劫の帳事件……くっ…見切り発車だぜぇ

オコジョ:おいおい、プロットを練るって事をそろそろ……覚えようか…。

作者( ゜Д゜):嘘だ。プロットなんて、みんな書かないって聞いたぞ。

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