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第59話_時代のうねり

この時代――。


次世代エースとして名を上げ始めた、

三人の魔法少女がいた。


星銀の魔法少女――アリス。


紅雷の魔法少女――エリザ。


そして。

戦場を支配する魔法少女――カエデ。


三人の少女たちが台頭し始めた時代。


だが――。

その裏側で。


遥か彼方の魔法世界でも、

大きなうねりが動き出していた。


 

――魔法世界シルヴァリス・エリュシオン


エリュシオン魔導王国・王城。


重厚な扉で閉ざされた会議室。


その室内には、

三人の人物だけがいた。


王。

筆頭執事ベルガ。


そして――。

十二守護騎士、第一位。


《神剣》アルトリウス。


空中へ投影された魔法地図には、

辺境惑星が映し出されている。


「……始まるか」

低く呟くアルトリウス。


王は静かに頷いた。


今回の作戦の一部に――。


レーゼ王女の“星渡り”による、

少数精鋭の転移作戦を入れる――。


辺境惑星へ戦力を集中投入し、

裏側で蠢く“夜”の痕跡を探る。


表向きは、時空航行戦艦での合同調査。


しかし実際には、

二重三重の思惑が絡んだ極秘作戦だった。


参加組織は三つ。


聖王教会。

時空管理局。


そして――。

エリュシオン魔導王国。


三組織合同による、

大規模共同作戦。


だが。

王は淡々と言い放った。


「転移作戦の詳細は、他組織には伝えない」


室内の空気が僅かに張る。


アルトリウスが静かに問う。


「……それは、信用の問題ですか」


「あぁ」

王は即答した。


「肝心な部分は秘匿する」


そして。

ゆっくりと視線を上げる。


「俺はな、アルトリウス――

 時空管理局を、特に“本局上層部”を信用していない」


「……っ」

ベルガとアルトリウスが息を呑む。


王は続ける。


「現場にいる将校クラスはともかく――

 本局の上層部は違う」


「考えてもみろ。

 “夜”を信仰する組織の存在。

 “魔力に願えば願いが叶う”という噂」


「管理局内部にまで、

 あまりにも都合よく情報が流れすぎている」


王の瞳が鋭く細まる。


「偶然だと思うか?」

静寂。


誰も即答できない。


やがて。

アルトリウスが低く呟いた。


「……まさか」


「あぁ。

 いるだろうな」

王は断言する。


「時空管理局内部に。

 しかも、情報を発信できる上層部に」


「裏切り者か――。

 あるいは最初から、"組織"側の人間か」


重い沈黙。


だが。

否定はできなかった。


十分にあり得る話だった。


「戦力としては必要だ。

 だが、信用しすぎるな」


王は地図を見下ろす。


「最悪は――

 我々以外、全員敵というケースだ」


「…………」

ベルガの表情が硬くなる。


王は話題を変えるように問う。


「《聖女の預言》の解析は進んでいるか」


ベルガが一礼する。


「現在解析中です。

 ですが……難航しております」


「《翠瞳の黙示録》は、

 複数章構成の詩形式となっており……」


「特に比喩表現が多く、

 断定できる情報が少ない状況です」


王は静かに目を閉じる。


翠瞳の聖女クラリス。


彼女が見た終末。


惑星規模の破滅。


そして――。

“黒き胎児”。


「解析は急がせろ」

王の声が低く響く。


「そして――

 裏切り者には気を付けろ」


会話は終わった。


 

――

――――


王城の長い回廊。

アルトリウスは一人、静かに歩いていた。

挿絵(By みてみん)


黄金の魔導衣。

腰には一振りの神剣型デバイス。


《ディバイン・カリバーン》。


王国最強。


一振りで次元断層すら斬り裂くと言われる、

通称――管理者権限型デバイス。


古代魔導技術を組み込まれた、

王国専用の特別装備。


厳格。

実直。


規律を重んじる騎士。


だが同時に、

誰よりも仲間を大切にする男でもあった。


だからこそ――。


王の言葉が頭から離れない。


“裏切り者”。


王はあえて言わなかったが――


もし。


仮に。


内部に敵がいるのだとしたら。


それが――。

身内だったなら。


「……俺は」

思考が止まる。


十二守護騎士。

共に戦ってきた仲間たち。


癖の強い連中ばかりだ。


だが、

誰もが国を守るために魔法を振るっている。

挿絵(By みてみん)


第二位《重力の魔女》イザベラ。


第三位《蒼氷》セレナ。


第四位《超狙撃》ガイ。


そして――。

他の騎士たちの顔が脳裏を過る。


もし。


その中に裏切り者がいたなら。


「……斬れるのか」


同僚を。


部下を。


仲間を。


自分は――。

王国最強の守護騎士として。


剣を振るえるのか。


アルトリウスは立ち止まり、

静かに神剣へ触れた。


黄金の剣は鈍く輝く。


合同作戦開始まで、あと僅か。


時代のうねりは、

もう動き始めていた。

オコジョ:裏切り者……ごくり…一体誰だ……

作者( ゜Д゜):アルトリウス君の設定が強すぎて均衡取らないとだね……

オコジョ:管理者権限型デバイスとか、新しい設定入れすぎ問題もどうにかしろ…

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