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第56話_奥義発動は止められない

――カエデ視点


レギとシエルの魔力が急激に高まった。

何事かと思い、私は夜空を駆ける。


(戦ってる……?)


遠目に見えたのは、二人の守護騎士と――。

魔導書が教えてくれる、

以前、一度だけ見たことのある魔法少女たちだと。


銀色の少女。

紅色の少女。


どうして戦っているのか分からない。


でも――。

私は迷わず魔法を発動する。


レギとシエルを。

家族を守るために。


誰にも奪わせないために。


断章フラグメント


古びた魔導書の断片が、意思を持つように宙を舞う。

それは、魔法の“構成式”へ干渉し、一時的に封印・弱体化させる魔法。


銀色の魔法少女は強い。


たぶん、完全には止められない。

それでも――。


少しでも、レギとシエルを助けたかった。


 

――

――――


私は、二人の後ろへ静かに降り立った。


「大丈夫?」

声を掛ける。


「「主……」」

レギとシエルが同時にこちらを見る。


怪我は無さそうだった。

それだけで、少し安心する。


そして視線を前へ向ける。

以前見たことのある二人の魔法少女。


銀色と紅色。


警戒しているのが分かる。


「……いじめちゃ、ダメ」

私は素直に言葉を口にした。


戦ってはいけない。

喧嘩は良くない。


そう思ったから。

しかし――。


「……」

一瞬の沈黙。


次の瞬間。

「どちらかと言えば、私たちがイジメられた側ですわ!!」


紅色の魔法少女が勢いよく反論した。


「……?」

私は小さく首を傾げる。


状況がよく分からない。


レギとシエルを見る。


「いじめちゃ……ダメ」

もう一度伝える。


シエルが珍しく慌てたように口を開いた。


「主……!!

 これは、その……違くて……」


さらに。

レギも少し困った顔になる。


「楓……いや、主。

 これは喧嘩じゃねぇ。

 戦闘訓練……みたいなもんだ」


「訓練……?」


「おう」

私は少し考える。

挿絵(By みてみん)


レギが言うなら、たぶんそうなのだろう。

二人は嘘をつかない……よね。


だから、私は納得した。


その時だった。


「っ……!?」

空気が震える。


遠くから、妙な魔力を感じた。


知っている。

以前、一度だけ感じたことがある魔力。


でも――。

周囲の誰も反応していない。


レギも。

シエルも。

目の前の魔法少女たちも。


(……私だけ?)


導かれるように、視線が離れたビル屋上へ向く。


何かがいる。

呼ばれているような感覚。


「ちょっと行く」


「「主?」」


私は二人を残し、その場から飛び去った。


 

――

――――


――アリス視点


紫黒の魔法少女。

カエデと呼ばれた少女が去り、空気が少しだけ変わった。


「……何だったんだろう」

思わず呟く。


戦闘に参加されなかったのは助かった。


もし、あの子まで敵に回っていたら。


二対三。

かなり危険だったと思う。


でも――。

気になることが多すぎる。


黒いページ。

魔力を吸収していた。


そして、あの魔法少女。


「カエデ……」

名前だけが頭に残る。


不思議な雰囲気だった。

敵意は感じなかった。


だけど。

底が見えない。


私とエリザちゃんは、再び前方を見る。

そこには守護騎士二人。


レギ。

シエル。


向こうも、もう一度戦うつもりらしい。


互いの魔力が静かに高まっていく。


戦う理由なんて、もうよく分からない。


でも。

聞きたいことはある。


だから、ここで退くわけにはいかなかった。


「レギ、急いで主を追うぞ」

シエルが低く告げる。


「おう!」


次の瞬間。

二人の魔力が、一段階跳ね上がった。


空気が震える。

圧力。


「っ……来る!!」

私は咄嗟に構えた。


そして――。

「「奥義――!!」」

二人の守護騎士の声が夜空へ響いた。

挿絵(By みてみん)

オコジョ:俺っちにも奥義があれば……

作者( ゜Д゜):え?魔力Bランクが何を言ってるのやら。

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