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第55話_タクティカル・コントローラー

舞う――。


意思を持つように空中を漂う、古びた魔導書の断片。


淡く紫黒に発光しながら、

戦場全体を覆うように広がっていく。


それは――


魔法を一時的に封印・弱体化させる断章。


断章フラグメント……来るか……」


俺は、暗がりのビル屋上から戦場を見下ろしながら、

無意識に拳を握る。


アリスとエリザ。


原作主人公の二人が、窮地に陥る

……押されている。


普通なら焦る場面だ。


だが――。


「……っ」

胸の高鳴りが止まらない。


魔法少女オタクとして、

この展開を前に冷静でいられる訳がない。


「来るか……魔法少女カエデ……っ」


戦場を支配する魔導師。


直接火力ではなく、

盤面そのものを制御する存在。


戦術制御魔導師

《タクティカル・コントローラー》。


原作でも異質の

魔法少女――。



――アリス視点。


「はぁっ……!

 バスターシュート!!」


放たれた星銀の魔力弾。


夜空を切り裂く光線が、

一直線にレギへ突き進む。


だが。

「甘いっ!」


レギの巨大ハンマー――

《トールシュテンプファー》が真正面から振り抜かれる。


轟音。


銀光と衝突し、

火花と衝撃波が市街地へ弾け飛ぶ。


「っ……!」


攻撃が…

真正面から押し返される。


(守護騎士……レギ……)


(強い……っ)


小柄な身体からは想像もできない破壊力。


近接戦闘の圧力が異常だ。


(火力が高い……!

 押し切れない……!)


私はクリスタルハートを強く握る。


膠着。

互いに決定打を通せない。


その時だった。


「……紙?」


ひらり。

視界に、紙片が舞った。


古びたページ。

紫黒の文字列。


(これは……)


(前に見たことが……)


中学時代。

林間学校で一度…見た記憶が…、

脳裏を過った


次の瞬間。


「っ……!?」

身体から魔力が抜け落ちた。


「魔力が……練れない……!?」


制御が乱れる。

(スターライト)系統の術式が崩壊していく。

挿絵(By みてみん)


断章による封印・弱体化。


「ま、まず――」

気づいた時には遅かった。


「アリスっ!!」

エリザちゃんの声。


顔を上げる。


目の前には――

巨大なハンマー。


「砕けろ――

 《トールシュテンプファー》」

レギが低く呟く。


振り下ろされる。


「きゃぁぁああっ!!」


衝撃。

身体が吹き飛ぶ。


道路を滑り、

ビル壁面へ激突した。


「アリス!!」

エリザちゃんが駆け寄る。


「大丈夫ですの!?」


「あぅ……ぅ……」

ダメージが重い。


魔力制御が乱された状態で直撃した。

身体がうまく動かない。


二人の前へ、

守護騎士が並ぶ。


レギ。

シエル。


静かな圧力。

強い。


そして――。


その後ろ。

ふわり、と。


夜空から一人の少女が降り立った。

挿絵(By みてみん)


「大丈夫?」

優しい声だった。


守護騎士に語りかける、

静かな声音だった。


レギとシエルは僅かに視線を向ける。


「「主……」」


蒼い瞳。

片目を隠すダークパープルの髪。


黒と濃紫を基調にした、

長いコート型の魔導服。


その周囲では、

膨大な紫黒の魔力が揺らめいている。


そして。


少女の傍らには――


目に見えるほど濃密な魔力を放つ、

一冊の魔導書。


空間そのものが、

彼女を中心に歪む。

戦場の空気が変わった。


戦術制御魔導師タクティカル・コントローラー


魔法少女カエデ――が降り立つ。

オコジョ:カエデ!カエデ!

作者( ゜Д゜):魔法少女カエデ来たぁ~

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