第53話_原作アニメ三期の始まり
――4月・高校。
桜舞う季節。
誠大高等学校へ吹き抜ける春風は、少しだけ新しい匂いがした。
真新しい制服。
新しい教室。
そして――
「……眠い」
高校生活初日から、俺――内藤祐司は窓際の席で頬杖をついていた。
教室には、まだどこかぎこちない空気が流れている。
自己紹介。新しい人間関係。クラス分け。
そんな中で――
「祐司」
静かな声。
振り向くと、銀髪の美少女が立っていた。
「……アリス」
有栖川時寧。
銀髪のツインテールを揺らしながら、こちらを見る。
整った容姿に、少しだけ大人びた雰囲気。
教室の男子の視線を集めている。
相変わらずの美少女だ。
原作主人公、恐るべし。
「何ぼーっとしてるの?」
「いや……」
俺は窓の外を見る。
桜、学校、青春。
そして隣には、原作ヒロイン。
(……最高かな)
「また変なこと考えてるでしょ……」
呆れたようにアリスが言う。
「いや……」
俺は真顔で言った。
「制服姿の幼馴染って、最高だと思わないか?」
「……朝から何言ってるの?」
冷たい。
だが、その若干引いた目すらご褒美である。
「祐司って時々、本当に変だよね」
「時々?」
「かなり」
辛辣だった。
だが、これがアリスである。
原作より少し柔らかくなったとはいえ、根本部分は変わっていない。
そこが良い。
「……ふふ」
小さく笑うアリス。
「でも、ちょっと安心した」
「ん?」
「祐司、変わってないから」
「……」
春風が吹く。
銀髪が揺れた。
(アリスの教室シーンカット!良い!)
俺が心の中で、オタ活をしていると――
ガラッ。
教室の扉が開く。
「失礼しますわ」
入ってきたのは、小早川エリザ。
金髪を揺らしながら、上品な所作で教室へ入ってくる。
その瞬間――
クラスの空気が少しざわついた。
そりゃそうだ。こちらも美少女である。
しかも、お嬢様感も凄い。
「エリザちゃん、おはよう」
「おはようですわ、アリス」
(変わらずの"ですわ"口調!良い!)
こちらを見るエリザ。
「祐司。朝から妙な顔をしていますわね」
「失礼だな」
「鏡をご覧になることをおすすめしますわ」
…酷い。
だが、それもいい。
エリザは自分の席へ向かう。
……が。
「あっ」
足元が少し引っかかった。
俺は反射的に立ち上がった。
「っと」
受け止める。
「大丈夫か?」
「……ありがとうございます」
「いや、気にすんな」
「ふふっ。少しは紳士らしくなりましたのね」
「なんだその上から評価」
「事実ですもの」
楽しそうに笑うエリザ。
その様子を見ていたアリスが、小さくため息をついた。
「……朝から騒がしい」
不貞腐れながら睨むアリス…。
そんな他愛ない会話。
こういう時間が、尊い。
――
――――
――休み時間
俺は廊下を歩いていた。
すると。
「………」
前方に、黒髪の少女。
一条楓。
別クラスの彼女は、静かな表情で窓の外を見ていた。
肩ほどまで伸びた黒髪。
青い瞳。
どこか儚い雰囲気。
(……魔法少女カエデ)
原作三期のキーパーソン。
そして――
“あの事件”の中心人物。
まだ、この時の彼女は知らない。
自分の運命も。
これから起こる悲劇も。
楓はこちらに気づかないまま、静かに歩いていく。
すれ違う、その一瞬。
ふわり、と風が吹いた。
(……始まるんだな)
原作アニメ三期。
――新しい物語が。
作者( ゜Д゜):制服姿の三人ヒロインの登場カットです
オコジョ:俺っちは…いつ登場?
作者( ゜Д゜):え?




