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第52話_魔法訓練

――アリス視点。


時空管理局日本支部――訓練室。

一見すると、ただ広いだけの無機質な空間。

だが、その内部には最新鋭の魔導技術が詰め込まれている。


疑似戦場生成。

仮想魔法空間。

各種任務シミュレーション。


あらゆる状況を再現し、実戦に近い訓練を行える施設だ。


「いくよ、クリスタルハート!」

胸元のデバイスへ声を掛ける。


《I believe, master》

《Trust me, my master》


静かな機械音声。

けれど、その声は昔よりずっと頼もしく感じた。


私も、この二年半で成長した。

高校生になって――。

少しだけ、“なりたい自分”に近付けた気がする。


胸の奥から、星属性の魔力を解放する。


「――セットアップ!!」

星銀の光が、空間を埋め尽くす。


展開される魔法陣。

輝く星環。


それは、かつてエリュシオン王国で見た姿。


――星銀の魔法少女。

挿絵(By みてみん)



――

――――


『仮想訓練開始――Lv6シミュレーション』

機械音声と同時に、魔法生物が次々と出現する。


私は空中へ飛翔した。


「バスターシュート!」

放たれた星銀の魔力弾が、敵群をまとめて貫く。


爆ぜる光。

敵影が一瞬で消滅する。

挿絵(By みてみん)


『魔力ランク測定――Aクラス』

『次のレベルへ移行します』


直後、空間が震えた。

出現したのは、キメラ型魔獣。


Lv7――ボスクラス。


「はぁぁっ……!」

クリスタルハートを構える。


「――《星界穿スターライト・ブレイクピアース》!!」

挿絵(By みてみん)


星銀の光が一直線に奔る。


次の瞬間、魔獣の巨体が中心から貫かれ、崩壊した。

挿絵(By みてみん)


『魔力ランク測定――AAクラス』

『次のレベルへ移行します』


私は小さく息を吐き、目を閉じた。


集中。

さらに奥へ。

もっと深く。


『Lv8シミュレーション――竜種』


日本支部の訓練設備で再現可能な最高危険度。


現れたのは、巨大な竜型魔獣だった。


――なら。

私も、奥の手を使う。


「クリスタルハート!」


《Trust me, my master》


ガシャン――。


デバイスのユニットから、重い装填音が響く。

さらに、もう一つ。


ガシャン――。


それは、魔結晶技術を応用した新機構。

圧縮魔力を外部タンクとして瞬間解放する技術。


《カートリッジシステム》。


限界を超える魔力を、一気に叩き込む切り札。

二年半で成長したのは、私だけじゃない。


デバイスも。

魔導技術も。


世界そのものが変わり始めている。


ゆっくりと目を開く。

オッドアイが鈍く輝く。


浮かぶ星環の魔紋が、強烈な光を放った。


――二年半の集大成。


「奥義――《永星銀砲エターナル・アイリス》」


銀色の極光が放たれる。

それは、ただの砲撃ではない。


空間そのものを削り取り、存在を“無”へ還す一撃。


轟音。

訓練施設全体が激しく揺れる。


魔導バリア越しですら、衝撃が物理振動として伝わっていた。


『魔力ランク測定――S+クラス』


『警告。これ以上の計測は危険です。訓練を強制終了します』


「はぁ……っ、はぁ……」


膝が震える。

カートリッジ使用による反動。


今の私では、この奥義は一発が限界だ。


撃った後は、まともに動けなくなる。


それでも――。


竜種すら屠れるだけの力が、今の私にはあった。


――

――――

――訓練終了後。


私は休憩スペースの椅子へ倒れ込む。


「あぅぅ……」

思わず情けない声が漏れた。


「お疲れさん」


「っ……祐司!?」

驚いて顔を上げる。


いつの間にか、祐司が飲み物を持って立っていた。


(い、今の声……聞かれてた……!?)


恥ずかしい。


「振動、受付まで届いてたぞ」

祐司は苦笑しながら言う。


「隣で上司がずっとアワアワしてた」


その光景を想像して、私も少し笑ってしまう。


その時。

隣の訓練室の扉が開いた。


「あら、祐司。気が利きますわね」


現れたのはエリザ。

祐司の手から自然に飲み物を受け取る。


エリザもまた、この二年半で大きく変わっていた。


アストラペの形態変化――

中距離射撃銃ミドルレンジ・アサルト

さらに。

長距離狙撃砲ライフル・キャノン


複雑な変形機構。

洗練された魔導制御。


「ふふっ」

不敵に笑うエリザ。

その姿からは、以前とは比較にならない自信が感じられた。


そして――。


エリザもまた、《カートリッジシステム》を実装している。


本来の歴史より、明らかに早い。


(管理局の技術革新が加速してる……?)


(魔結晶技術の発展が早まった……?)


理由は分からない。


原作とは少し違う未来へ、世界が動き始めている気がした。


それでも――。


頼もしく成長した二人の魔法少女を見られて。


魔法少女オタクとして

――俺は満足していた。

オコジョ:管理局の魔結晶技術は"博士"が担当してるぜ

作者( ゜Д゜):残念だが…博士はいずれ……

オコジョ:えぇ!

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