第49話_将来のこと
――喫茶店
オコジョさんに呼ばれ――
気づけば、“お偉いさん”との面談になっていた。
「……有栖川時寧です」
少し緊張しながら名乗る。
すると。
「そんなに緊張しなくて大丈夫よ。
いつも通りでいいわ」
柔らかな笑みを向けてくる女性。
綺麗な人――。
それが、最初に浮かんだ感想だった。
「ミスティ・オーレリア。
時空管理局本局提督(少将)兼、
時空航行戦艦艦長よ」
「ニコ・ラズパレードっす!
《ジ・アース》主任オペレーター兼、索敵通信士っす!」
二人が自己紹介を終える。
そして、すぐに本題へ入った。
「アリスさん」
ミスティ艦長の視線が真っ直ぐ向けられる。
「貴方は、非常に希少な“星属性”の魔導士――」
静かな声。
だけど、その重みは分かる。
「その力を、ぜひ時空管理局のために使ってほしい。
将来的な仕官を、検討してもらいたいの」
「私は……」
自然と、考える。
自分が“魔法少女”になった理由を。
――十一歳の頃。
学校帰りの裏道。
『……助けて……』
消えそうな声。
倒れていた、小さな生命。
『助けたい』
『目の前で消えてほしくない』
『誰かを守れる力が欲しい』
そう願って――
私は、“魔法少女”になった。
「……困っている人を助けられるなら」
顔を上げる。
「私は……
魔法少女として、頑張りたいです」
ミスティ艦長は、
少しだけ目を細めた。
「ありがとう」
優しい声だった。
「なら、正式な入隊は十三歳の誕生日にしましょう」
「十八歳(高校卒業)までは、地球で普通の生活を送りながら、
管理局協力者として活動してもらう形になるわ」
「基本的には地球生活を優先。
訓練や簡易任務を並行して行う形ね。」
それから。
親への説明。
学校との両立。
魔法活動の範囲。
未来について、
色々な話をした。
私は――
正式に、時空管理局へ関わっていく。
少しだけ。
現実感が薄い。
でも――。
「アリスさん以外にも、
地球出身の優秀な魔導士には声を掛ける予定よ」
(……エリザちゃん)
(……祐司)
二人の顔が浮かぶ。
「はい。」
将来なんて、
まだよく分からない。
それでも――。
私は迷わない。
この力には、
きっと意味がある。
そう思えたから。
――
――喫茶店前
面談を終え、
アリスは帰路についた。
その背中を見送りながら――
「……」
ミスティ艦長は、
静かに一点を見つめていた。
「ニコ」
「はいっす?」
「探索魔法を。
隠蔽魔法を感知しなさい」
その瞬間。
空気が変わる。
「了解っす……
《デバッグ・サーチ》」
ニコが魔法を展開。
周囲へ探査波が広がる。
そして。
「……っ!?
艦長、本当に何かいるっす!」
不自然な魔力ノイズ。
空間の歪み。
そこに“何か”がいた。
俺は、小さく息を吐く。
「……まあ、見つかるか」
隠密魔法を解除した。
黒衣。
翠の瞳。
黒の魔導士――《天輪》。
姿を現した瞬間。
ミスティとニコの空気が張り詰める。
「……黒の魔導士……
《天輪》」
観察官オコジョが、
最後まで詳細を語らなかった存在。
単騎で、
Sランク級魔導士を圧倒。
上限不明。
危険度不明。
完全なイレギュラー。
ニコが息を呑む。
ミスティも、
無意識に魔力を練っていた。
(強い……)
(近くにいるだけで分かる)
(戦艦級……)
沈黙。
どう動くべきか。
何を求めている存在なのか。
情報が少なすぎる。
下手な交渉は危険。
だが――
俺の方から口を開いた。
「……あれ?」
軽く首を傾げる。
「俺も面談っすか?」
「「…………」」
空気が、一瞬で崩れた。
作者( ゜Д゜):主人公の第一志望は、アリスのサポートです。
オコジョ:採用!




