第42話_星属性
――アリス視点
重厚な扉の先。
謁見の間には、整列する騎士たちと――王座に座る、エリュシオン国王。
(……レーゼのお父さん)
(そして……)
(……祐司、だよね)
前に出て話す黒の魔導士。
「その件だが――」
(祐司……)
王と対峙しながら、彼は一切揺るがない。
「友達だな」
はっきりと言い切った。
その一言に、胸が少しだけ温かくなる。
隣のレーゼも、同じ言葉に頬を緩めていた。
だが――
交渉は、決裂する。
「……テトラ、力を解放するぞ」
静かな声。
次の瞬間、戦闘が始まった。
……。
「すごい……」
思わず声が漏れる。
余波を防ぐため、私は防御障壁を展開する。
エリザちゃんも、言葉を失っていた。
(騎士二人を……圧倒してる……)
常識が、崩れていく。
壁に叩きつけられる騎士。
それでもなお、彼は無傷に近い。
――静寂。
「……次は、誰だ」
謁見の間に、低い声が響く。
(……)
「――パチ、パチ、パチ」
静かな拍手。
王の傍らに立つ執事――ベルガ。
「素晴らしい実力ですね」
その言葉と同時に、倒れていた騎士たちが立ち上がる。
「ベルガ、王様!Sランクの魔力解放を申請するぞ!」
大柄な騎士――ガイが叫ぶ。
満身創痍。それでも闘志は消えていない。
「……」
王は目を閉じる。
代わりに、ベルガが口を開いた。
「熱くなりすぎですよ。謁見の間でのSランク解放は認められません」
静かだが、絶対の制止。
私たちは、そのやり取りを見守るしかない。
……。
「しかし――見事です」
「魔力も、技量も申し分ない」
そして。
「……その“瞳”も」
(祐司の目……綺麗な翠……)
一瞬、見惚れそうになる。
だが。
「ですが――王女の“友達”と言うのなら」
視線が、こちらに移る。
「後ろのお嬢さん方は、どうでしょうか?」
(――っ)
「意思は? 力は?」
空気が変わる。
標的が――私たちに移った。
ぐっと、拳を握る。
「アリス……」
レーゼが、真っ直ぐこちらを見る。
その瞳には、迷いがない。
私たちは一歩、前へ出た。
「ベルガよ」
レーゼが口を開く。
「わらわは……戦闘は出来ない……」
「使える魔法も……一種類のみじゃ」
それでも。
顔を上げる。
「だけど――」
「友達と一緒なら……」
「アリス、エリザと一緒なら……」
「戦える!」
「「うん」」
自然と声が重なる。
――その瞬間。
レーゼの魔力が、高まる。
……。
蒼と金の輝き。
空気が、変わる。
(……っ!?)
ざわり、と空間に星のような粒子が滲む。
ただの光じゃない。
これは――“性質”。
その時。
祐司が――ほんのわずかに、笑った気がした。
(……やっぱり)
(この魔力……)
……魔力が肌に触れた瞬間、理解した。
(私と――同じ……!)
ベルガが声を荒げる。
「!!? レーゼ様、その力は……!
――“星属性”の魔法――」
レーゼは一歩、踏み出す。
迷いは、ない。
蒼と金が混ざり合い、
まるで星空のような魔力が、謁見の間を満たす。
その瞬間。
私の――魔力が――溢れる。
「アリス!!」
エリザちゃんの声。
遠くなる。
世界が、星で満ちる。
そして――
小さく、確かに聞こえた。
「――星は、揃った」
オコジョ:おいらの影属性とは性能が違う…
作者( ゜Д゜):実は君の影魔法は、隠密性能がトップクラスの設定ですよ。だが……
オコジョ:え?おいらに秘密が…




