第40話_魔法都市エリュシオン
魔法世界シルヴァリス・エリュシオン――
最古より続く魔導王国にして、現存する国家の中で唯一の正統王政国家。
その中心都市。
――魔導大都市エリュシオン。
「すごい……ここが魔法世界!」
アリスが思わず声を漏らす。
俺たちは転送ゲートを抜け、地球からこの地へと降り立った。
高度に発展した魔法文明都市。
視界に広がるのは、常識を超えた光景だった。
「我が国は、三千年以上の歴史を誇る魔導王国なのじゃ。
魔法の始祖国なのじゃぞ」
胸を張るレーゼ。
「へぇ~、すごい……」
純粋に感嘆するアリス。
「ここが、お母様の出身国……」
エリザが静かに呟く。
三人とも、それぞれの思いでこの景色を見ていた。
「最近の流行りはの、“魔導歌手”じゃ。
我は……コンサートに行ったことはないのじゃ」
少し寂しそうに視線を落とすレーゼ。
ふと視界に入る、魔法掲示板。
(あれは……)
(原作アニメ四期に出てくる、“世界の歌姫”……)
(まさかこの時点で……)
思わず、口から漏れる。
「……み、見たい」
「ん? 何か言ったのじゃ」
「……言ってない」
即座に否定する。
「あとは学院ではの、魔法スポーツ――競技が流行っておるのじゃ。
これもわらわは……出るのを禁じられておる」
(……魔法戦競技か)
「都市を歩くのも……久しぶりなのじゃ」
その一言に、アリスがそっと手を取る。
「レーゼちゃん……一緒に楽しもう?
私たちに案内してよ」
「……うむ! 任せるのじゃ!」
ぱっと表情が明るくなる。
そのまま一行は、王城へと向かう。
「……我は王族じゃ。
しきたりも、役目も……分かっておる」
ぽつりと零す。
「……でも、もっと自由が欲しいのじゃ」
歩きながらの、本音。
「……分かるぜ」
オコジョが肩をすくめる。
「俺っちも下っ端の管理局員。
立場は違えど、自由がない身さ」
なぜかそこで――
「よし、結成なのじゃ!」
レーゼが拳を掲げる。
「自由連合、なのじゃ!」
「いいねそれ!」
「賛成ですわ」
……なんか始まった。
俺は関わらない。
本来、俺は原作に存在しない側の人間だ。
一歩引いて見る――それが基本だ。
……いや、正直に言おう。
あのノリに巻き込まれたくないだけだ。
「えいえいおー、なのじゃ!」
元気よく声を上げる三人――と一匹。
(レーゼ、こっち見るな)
(俺はやらんぞ)
「……」
「……えいえいおー、なのじゃ!」
結局――
黙っていたら、強制参加扱いになっていた。
……さて。
楽しい時間は、ここまでだ。
王城前。
魔導大都市エリュシオンの中心にありながら、
そこだけは異質だった。
古風な造り。
長い歴史を感じさせる、重厚な魔導王城。
俺たちは――ついに、辿り着いた。
「……っ」
小さく息を呑む音。
アリスか、それともエリザか。
張り詰めた空気が、全員を包む。
「行くぞ」
一歩、踏み出す。
「本番は――ここからだ」
オコジョ:自由連合…のちの巨大組織…
作者( ゜Д゜):え?そんな設定ないぞ




