第34話_家出少女は王女様!?
蒼い瞳。
その奥に浮かぶ、金色の星。
特徴的すぎる容姿――
紅の騎士風制服。
魔法世界シルヴァリス・エリュシオン現王政、第三王女。
レーゼ・エリュシオン。
“星渡り”の姫。
原作を通して唯一、アリスと同じ“星属性”を持つ魔導士。
――その本人が。
「ほほ~う……」
目の前で、キョロキョロしていた。
「……ちんちくりんだな」
思わず本音が漏れる。
年齢は十歳。
俺たちより二つ下。
完全に“子ども”だ。
「ここは何なのじゃ?」
「林間学校の施設だよ」
「りんかん……?よう分からんのじゃ」
興味のままに動く視線。
完全に観光モードである。
アリスとエリザが小声で話す。
「あの格好……魔法世界の子だよね?」
「ええ。お母様と同じで、次元漂流の可能性が高いですわ」
(まあ、漂流じゃなくて“家出”なんだけどな……)
俺は内心でため息をつく。
劇場版では――
明日、出会うはずのイベント。
それが前倒しで発生している。
(つまり……)
(今から匿う流れになるな……)
アリスとエリザが顔を見合わせる。
そして――
「「私たちの部屋で遊びましょう!」」
即決。
(だよな)
(大人に見つかるのはマズいし、説明もできない)
「祐司とか言ったか、お主」
「おう」
「案内せよ」
「……」
「早う。わらわの案内じゃ」
「……アリス」
「部屋、二階の女子部屋だよ」
「……みんなが寝るまでだからな」
諦めた。
完全に巻き込まれた。
――女子部屋。
クラスメイトに頼み込んで確保した四人部屋。
アリス、エリザ、レーゼ――
そして、なぜか俺。
「ほほ~う」
レーゼは部屋を見回しながら感嘆する。
(……とりあえず)
俺はさりげなく魔力を流す。
(隠密魔法、展開)
部屋全体の認識を薄くする。
教師、クラスメイト、そして――
追ってくる可能性のある騎士たち。
すべてから、この部屋を“見えにくく”する。
「これ、トランプだけど……やる?」
アリスが取り出す。
「とらんぷ?」
「カードゲームだよ。大富豪っていうの」
「ほほ~う……」
レーゼの目が輝く。
「わらわに相応しい名ではないか」
即ノリ。
ルールを教えながら、時間が過ぎていく。
笑い声。
他愛のない会話。
そして――
「わらわのことはレーゼでよい」
胸を張って言う。
「アリス、エリザ、祐司」
「そう呼ぶのじゃ」
「……了解、レーゼ」
(“のじゃ”だ……)
(リアル“のじゃロリ”だ……)
(破壊力が高すぎる)
シナリオとは違う。
だが――
(これはこれで、悪くない)
時間は、穏やかに過ぎていく。
「ふわぁ……のじゃ……」
レーゼがあくびをする。
「眠くなったのじゃ」
(いい時間だな)
「じゃあ俺は――」
「祐司」
遮られる。
「寝る準備じゃ」
嫌な予感しかしない。
「おぬしは、わらわの侍従じゃ」
「……は?」
レーゼは両手を広げる。
――抱っこしろ、のポーズ。
「……」
「「……祐司?」」
左右からの圧。
「えぇ……」
逃げ場なし。
仕方なく抱き上げる。
軽い。
本当に子どもだ。
――そして。
なぜか。
アリス、レーゼ、俺、エリザ。
川の字。
いや、四の字。
「……」
(何でこうなった)
(寝れるわけないだろ)
左右にヒロイン。
中央に王女。
完全に詰み配置。
「すぅ……」
レーゼは即寝。
早い。
「……祐司」
アリスが咎めるように言う。
「……何もしないぞ」
(今日は……)
(寝れないな)
結果――
俺は一晩中、警備することになった。
作者( ゜Д゜):のじゃ姫はお約束!
オコジョ:作者のお約束は信用できないな…。




