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第33話_湯けむり温泉は止められない

――魔法世界シルヴァリス・エリュシオン。


「お二人が来てくださるとは。」

モノクル越しに、筆頭執事ベルガが静かに言う。


「元十二守護騎士である貴方様の呼び出しであれば、当然です」

若い女性騎士が、迷いなく応じた。


「水臭いこと言うな」

長銃を担いだ大柄の男が、短く笑う。


かつて同じ時代を駆けた者同士の、僅かな空気。


――だが、今は非常時だ。


「さて……」

ベルガは一歩進み出る。


「我々が“星間移動”を行うには、転送ゲートを使用する必要があります」


「当然だな」


「しかし、管理局は確実に干渉してくるでしょう」

女性騎士が静かに補足する。


「元十二守護騎士と、現役守護騎士が二名。無許可で動けば、見逃されるはずがありません」


「ですが――」

ベルガの声がわずかに低くなる。


「王女の家出……いえ、“脱走”を公表するわけにはいきません」


沈黙。

重い判断。


「……仕方あるまいな」

大柄の騎士が肩を鳴らす。


「管理局には、黙認してもらうしかない」


「強引ですね」


「だが現実的だ」


ベルガは頷いた。

「王女の位置は把握しています」


「行き先は?」


「管理外世界――」


一拍。


「『第97管理外世界・極東地区』」


「……おいおい」

大男が眉をひそめる。


「そこ、最近“格上げ”の話が出てる場所じゃなかったか?」


「正確には、“魔法世界への編入候補”です」

女性騎士が即座に訂正する。


「つまり――」

大男はニヤリと笑う。


「強い魔導士がいるってことだな」


「……」

ベルガは一瞬だけ沈黙し、


「可能な限り、交戦は避けてください」

と告げた。


「へいよ」

軽い返事。


「管理局員に発見された場合は?」

女性騎士が問う。


「拘束し、黙示していただきます」

淡々とした回答。


「特にお二人は“見られない”ように」


「俺は隠密は苦手だぞ」


「……」


「問題ありません。最悪は私が処理します」

冷静に言う。


「では――行きますよ」

三人は歩き出す。



――魔導転送ゲート。


膨大な魔力を必要とする、星間移動装置。

本来、その使用は次元管理局の厳重な監視下にある。


「魔力情報、同期完了。王女の位置――半径十キロ圏内へ転送可能です」


「いきなり現地の魔導士や管理局員と鉢合わせは勘弁だな」


「……冗談でも笑えません」


光が、満ちる。


次の瞬間――


三人の姿は消えた。



――祐司サイド


「ふぅ~……」

俺は温泉に沈み込む。


林間学校。温泉最高。


もちろん――

覗きなどという不健全な行為は一切考えていない。


断じてだ。


(オコジョは……今頃、王女と接触してる頃か?)

(劇場版では、オコジョはいない。だから周辺の監視役を押し付けた)


劇場版の知識はあるが――

“どこに落ちてくるか”までは分からない。


(オコジョには何も伝えてない……)

(王女が来るなんて信じないだろうし……)

(まぁ、あいつに任せておけば問題ないだろ)


管理局の観察官。

隠密と監視に関しては一級品だ。


(その後に来る十二守護騎士に見つかることも……ないだろう…。)


「……うん、問題ない」


俺は思考を切り上げた。

そして――


一時間。

しっかり温泉を堪能した。


何度でも言う。

温泉は最高だ。


湯けむり温泉は、止められない。



――湯上がり。帰り道。


施設のロビーに、見知った二人の姿。


「あ、祐司」

アリスが手を振る。

挿絵(By みてみん)


湯上がりの、ほんのりとした香り。

エリザも静かに佇んでいる。


「ん?」

視線を落とす。


小さな影。

「……この子は?」


「迷子みたいなの」


「わらわは迷子ではない」

即答。


「遊びに来ただけじゃ」


「いや、ここ学校の貸切なんだけど」


「知らんのじゃ」


――おい。

(あるぇ~?)

(なんで王女様がここにいるの~?)


(オコジョォォォォ!!)


内心で絶叫する。

外では平静。顔には出ていない。



――林間学校周辺・森


「まさか、転送直後に観察官と鉢合わせるとはな」


「とっさに捕縛しました」

女性騎士が淡々と答える。


「ハハハ、まあ仕方ねぇ」

大柄の騎士が笑う。


足元には――

「きゅ~……」

完全に気絶したオコジョ。


「……」

ベルガは一瞥し、


「ゲート転送は管理局に、既に把握されているでしょう」


一拍。


「夜になります。隠蔽行動に移ります」

と告げた。


「「了解」」


夕闇が、森を包む。

そして――

事態は、静かに動き出す。

オコジョ:ヒロインの温泉シーンは…?

作者( ゜Д゜):お約束はありませーん

オコジョ:なんだと…正気か作者…。温泉シーンが野郎だけ…

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