表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/47

第30話_劇場版の新衣装は見逃せない

――夏。


中学生になって最初の長期休暇。

だが、それは平穏とは程遠い始まりだった。


原作アニメには存在しない出来事。


そう――

劇場版『魔法少女アリス』


その舞台が、今まさに幕を開けようとしていた。


今日は、劇場版仕様――

新衣装へのフォームチェンジと、新デバイスの適応確認。


『小早川教授の事件』による消耗により、

アリスとエリザは一度、魔法デバイスを回収されている。


代わりに貸与されたのは――

時空管理局製・最新鋭デバイス。


一時的とはいえ、明らかに“格”が違う代物だ。


「魔力視、解放。」

視界が切り替わる。

街の中に流れる魔力の残滓、反応、揺らぎ――すべてが可視化される。


俺は、有栖川時寧の位置を捉えた。

挿絵(By みてみん)


原作は深夜アニメ。

第二期では、いわゆる“深夜枠特有の色気”も押し出されていたが――


今回は違う。


「……美しい」

思わず、声が漏れた。


そこにあったのは、露出ではない。

完成された“魔法少女の様式美”そのものだった。


(戦うための姿のはずなのに……)

(ここまで“魅せる”ことに振り切るのか……)


隣を歩くオコジョを一瞬だけ視界から外して、

代わりに彼女の隣に立ちたくなる衝動を、どうにか抑え込む。


昼間の慣らし運転。

その一挙手一投足を、俺は固唾を飲んで見守っていた。


――アリス視点


「アリス、新デバイスはどう?」


「うん、いい感じだよ」


軽く腕を振る。

魔力の通りが滑らかだ。


「少し飛んで、見回ってくるよ」


「わかった。気を付けて」

オコジョは短くそう告げ、距離を取る。


空へ。

挿絵(By みてみん)


風を切る感覚と同時に、

新しいデバイスが身体に馴染んでいく。


(良好……だね)


「……あの魔力は……」


視線の先。

知っている魔力反応。


「エリザちゃん!」


「アリス、貴方もデバイスの確認ですか?」


「うん、エリザちゃんも?」


「ええ、同じですわ」


優雅な動きでビルの上に飛ぶ。

そのまま、周囲の魔力反応を一瞬で走査する。


「……いましたわ」

捕捉。

挿絵(By みてみん)


次の瞬間――銃身が、音もなく光を帯びる。


「射線が……」


遮蔽物。

一拍の判断。


エリザは即座に空中へと跳躍した。


「……外しませんわ」

一切の迷いなく、


「シュート」

閃光。

挿絵(By みてみん)


魔法生物の中枢を、正確に撃ち抜く。


爆散する魔力。

散る光。


「さすがだね、エリザちゃん。私も……」

アリスもまた、別の反応を捉えていた。


加速。

一直線に距離を詰める。


「星界穿――《スターライト・ブレイクピアース》!」

挿絵(By みてみん)


交差は一瞬。

それだけで十分だった。


敵は、跡形もなく消滅する。


静寂。

わずかに残る魔力の粒子が、空中に溶けていく。


「……やっぱり、威力が……」


手応えの違い。

――明らかな、“何かが足りない”。


「あの夜に感じた“星々の輝き”が……無くなってる」


胸の奥の、かすかな空白。


「あの人の……魔力が……」


言いかけて、首を振る。


「……ううん。無いものを考えても仕方がない」


確認は完了した。


散った魔力が完全に消えるのを見届けて、

アリスは帰路へと向かった。



――祐司宅


「……今日も素晴らしかった」

自然と、言葉が漏れる。


(特に――劇場版の新衣装)

(露出は抑えられて、“魔法少女らしさ”が増している)


(“劇場版用に最適化された…完成形”だ)


そして――。

――いよいよ、始まる。


「劇場版アリス――

 『STARFALL CHRONICLES』……」

挿絵(By みてみん)


脳裏に浮かぶ映像。


あの戦い。

あの演出。

あの“神作画”。


そして――

それを作ったはずの、


監督と制作会社。


「……あれ……?」

ズキッ――


鋭い痛みが、頭を貫いた。


(監督は……誰だ……?)

(制作会社は……?)


(俺が……覚えてない……?)

ありえない。


魔法少女オタクの俺が。

あの劇場版の制作情報を、


一つも思い出せないなんて。


「……っ……」

片手で頭を押さえる。


思い出そうとするほど、

記憶は霧のように散っていく。

――最初から存在しなかったかのように。


そして、その日以降――


俺は、劇場版の制作者に関する情報を

一切、思い出せなくなった。

オコジョ:劇場版リリカル…

作者( ゜Д゜):……君も記憶を忘れる必要があるようだね…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ