表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/47

第26.5話_記録Ⅰ

――とある未来の話。


静寂に包まれた空間。

無機質な光の中で、ひとりの青年が目を細めた。


「……テトラ。

この時の話の詳細データを頼む」


一拍の間。

機械ともつかない声が、静かに応答する。


「《Incorrigible, Master.》」


――記録領域、展開。


視界が反転する。

無数の光の粒子が、世界を形作り直していく。

挿絵(By みてみん)


それは――

“あの夜”へと至るまでの、すべての記録。



----------------------------

■観測対象:祐司


最初に映し出されるのは、ひとりの少年。

どこにでもいるはずだった存在。

だが、その内側には、この世界に存在しない“知識”があった。


彼は知っていた。

この世界が、物語であることを。


そして同時に――

その結末すらも。


デバイス《テトラ》。

それを介して発現するのは、“天輪”と呼ばれる異質な魔導。


放たれた魔力は消えず、巡り、増幅する。

《永久循環》(パーペチュアル・ループ)。


思考も、時間も、現象すら加速させる。

《多重加速》(マルチ・アクセル)。


やがてそれは、空間そのものを閉じる領域へ至る。

《円環世界》(クロノ・オルビス)。


その力は、明らかに過剰だった。

だが彼は、それを誇らない。

ただ一つ、徹底していることがある。


――自分は“主人公”ではない。


彼にとって、物語の主役は常に別にいる。

だからこそ彼は、観測する。

必要な時だけ、最小限の干渉を行う。


……そのはずだった。



■観測対象:アリス


次に現れるのは、星の光を纏う少女。

明るく、迷いなく、前を向く存在。


彼女は戦う。

誰かを守るために。


彼女のデバイス《クリスタルハート》は、

防御と攻撃の両面を支える万能型。


だが、その本質は――


“信じる力”。


仲間を信じ、未来を信じ、

その一歩を止めない。


やがて彼女は、“星双セイソウ”へと至る。


その背に浮かぶ《星環の魔紋》。

収束する星の輝き。


そして放たれる一撃。


――星界穿スターライト・ブレイクピアース


それは、終わりを穿つ星の槍。



■観測対象:エリザ


紅雷が走る。

静かで、鋭く、揺るがない意志。


小早川エリザ。

その戦いの原点は、“願い”だった。


母を救うため。

ただそれだけのために、彼女は力を求めた。


だが、真実は残酷だった。


願いは利用され、

その手で集めた力は、すべて奪われていた。


――それでも、彼女は折れない。


絶望の先で、彼女は“覚悟”を選ぶ。


その証が、《雷光王冠》(ライトニング・クラウン)。


王の資質。

支配ではなく、背負う覚悟。


彼女の武器アストラペは形を変え、

必中の雷撃を放つ銃へと進化する。


そして――

――スカーレット・スナイプ。


光速の雷が、逃れられぬ結末を刻む。

やがて彼女は、“紅王権スカーレッド・レガリア”へと至る。



■観測対象:小早川ハラオウン


静かに眠る女性。

彼女は、エリザの“願い”そのものだった。


異世界から流れ着いた存在。

その身に宿す、高純度の魔法因子。


それゆえに、奪われた。


力を。

意識を。

人としての在り方を。


だが最期に、彼女は取り戻す。

娘の手によって。


それは、戦いの終着点であり、

物語の“正しい結末”の証明でもあった。



■観測対象:小早川教授


かつては優秀な教授として、

理性を持っていたはずの存在。


だがその全ては、力の前に崩壊した。


魔法を理解しようとした男は、

やがてそれに溺れ、侵食される。


強化魔結晶。

魔法因子。

歪な融合。


その果てに生まれたのは、

“神”を名乗る怪物。


だが、記録は示している。

それは進化ではない。


ただの――破綻だ。



■観測対象:管理局


空の上。

世界の外側から、この星を見下ろす存在。


時空航行戦艦ジ・アース


その任務は、異常の排除。


観察官。

艦長。

オペレーター。


彼らは正しい。

常識的で、合理的で、間違っていない。


……ただ一つを除いて。


“例外”の存在を、想定していなかった。


----------------------------


記録が収束する。


三つの光が浮かび上がる。


天輪。

星双。

紅王権。


それが意味するものは――


光が消える。

静寂が戻る。


「……以上です、マスター」


テトラの声が、淡々と響いた。


青年は、わずかに目を細める。


「……ああ」


短く、息を吐く。


「……」


沈黙。

わずかに眉が動く。


「……そうか」

ぽつりと、呟く。


青年は、何も言わない。


ただ――

「……次の話をしてくれ、テトラ」


物語は、まだ終わっていない。

作者( ゜Д゜):これは…?

オコジョ:おいおい、主人公どうしちまったんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ