第26話_平和を覗き見るのはやめられない
――魔法世界シルヴァリス・エリュシオン。
聖王教会の庭園。
優雅に紅茶を嗜む少女が、白い椅子に腰掛けていた。
年頃は、少女から女性へと移り変わる狭間――そんな雰囲気だ。
彼女は、傍らに立つ男性へと視線を向ける。
「それで? 報告は」
「はっ。時空管理局からの報告であります」
男は一礼し、書類を差し出す。
「ふぅん……特異点、“天輪”について、ですか」
「確認されたのは三名。
天輪、星双、紅王権」
「星双……オッドアイ持ち、ですか、
それに"星環の魔紋"に覚醒、もう一人は、"雷光王冠の紋章"に覚醒。
…“王権”……もしかすると、“聖王”の系譜かもしれませんね」
「現時点では不明です。
なにぶん、管理外惑星の出身でありまして」
「ご苦労さま」
少女は紅茶を飲み干し、静かに息をついた。
「……楽しみですね。
いつか、お会いしてみたいものです」
――祐司宅。
あの夜から一週間。
夏休み直前の、穏やかな休日の昼下がり。
「やっぱり、平和が一番だな」
原作アニメ第二期が無事に終わり、
俺はようやく胸を撫で下ろしていた。
「よし。今日も魔法少女たちの様子を見てみるか。
まずは……母親と感動の再会を果たした、エリザからだな」
幸せに過ごしている姿を拝もうと、遠視魔法を発動する。
(……湯けむり?)
「……」
……シャーっ
水の流れる音。
(……この湯気と水音は…)
「ふふふっ♪」
鼻歌まじりに、エリザがシャワーを浴びていた。
(またこのパターンかよ……)
(いつか見たような光景を、再び目に焼き付けてしまった)
「……これは、不可抗力だ」
「……アリスは、大丈夫だよな」
そう自分に言い聞かせ、
魔法を切り替える。
「…………」
(アリスも入浴中だった)
(しかも、見え――)
俺は、そっと魔法を解除した。
「平和が一番だ」
そう呟きながら、
俺はこの何でもない日常を、しみじみと噛みしめていた。
作者( ゜Д゜):一章、無事完結になります。
オコジョ:引き続き、俺っちの活躍見てくれよな
作者( ゜Д゜):!?っ君、活躍したかね?




