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第22話_シナリオ通りに進めたい

午前二時。

街の喧騒が完全に死に絶えた深夜。

研究所の周囲には、不気味な静寂が漂っていた。


――だが、その内側は、すでに「地獄」へと変貌しつつある。


「……ったく。

 まさか俺が、帳尻合わせをする羽目になるとはな」


研究所の影。

俺は空間を指先でなぞり、自身の魔力波動を完全に遮断する。


影の中から這い出でてきたオコジョ――管理局の観察官を、冷ややかに見下ろした。


「おい。

 お前らのふねが、ここまで近づいてるのは分かってる。

 《隠密潜水サイレント・ダイブ》だったか? 無駄だ。全部視えてる」


原作知識を盾に、

俺は“理解している”ことをはっきりと示す。


「キュ、キュイ……(な、なぜそれを……)」


小動物の首根っこを掴むような威圧感で、俺は最後通告を突きつけた。


「今から、俺が中に入る。

 ……いいか、管理局にはこう伝えろ。

 『動くな。黙って見てろ』ってな」


「余計な砲撃も、封印もするな。

 この件は――俺が処理する」


返事も待たず、

俺は闇に溶けるように研究所へ向かった。


シナリオが狂ったなら、

俺の手で、書き直すだけだ。


――同時刻・研究所深部


「ハァ……ハァ……っ!

 魔力濃度が、外とは比べ物になりませんわ……!」


エリザが肩で息をしながら、迫りくる魔法生物の群れを光の弾丸で撃ち抜く。


「うん……。

 敵の数も多い……まるで、何かを守ってるみたいだ……!」


アリスが杖を振るい、広範囲の衝撃波で通路を塞ぐ異形たちを霧散させた。


深夜二時を過ぎた施設内に、人の気配はない。

代わりに満ちているのは、

どろどろとした負の魔力から生まれた魔法生物たち。


二人はそれらをなぎ倒しながら、

最深部――母親が眠るはずの特別療養棟へと突き進む。


その途中。

開いたままの隠し部屋に置かれた端末が、彼女たちの足を止めた。


「……これは……研究資料?」


エリザの指が、吸い寄せられるようにキーボードに触れる。


モニターに浮かび上がる不吉なタイトル。


――

『魔法因子抽出プロトコル:検体01における成功例』

――


「……魔法因子を、抜き取る研究の……成功……?」

エリザの声がかすれる。


「適合者……

 小早川・ハラオウン……?」


「……お母様の、名前……?」


「こ、これって……嘘、だよね……?」

アリスの声が、震えた。


資料には、こう記されていた。


・昏睡状態の原因は「魔力枯渇」ではない

・強引な摘出による精神回路への影響

・エリザが集めていた魔結晶は、すべて父親自身の魔法強化に転用


冷徹な数値と実験ログが、それを裏付けている。


「……お母様……」


エリザの唇が震える。


「わたくし……

 お父様のために……

 お母様を……っ……」


「エリザちゃん……!」


絶望が、彼女を呑み込もうとした。


――だが。


その瞳に、再び鋭い光が灯る。


悲しみよりも先に、

煮えたぎる怒りが彼女を突き動かした。


「……大丈夫ですわ、アリス」


「悲しんでいる暇は、ありません」


「わたくしの手で、

 一刻も早くお母様を解放し……」


「そして――

 あの人を、止めますわ!」


「うん!!」


アリスも叫ぶ。


「こんな最低な研究……

 全部、壊しちゃおう!」

挿絵(By みてみん)


魔力の奔流が解き放たれ、

室内のサーバーや研究資料が、物理的に粉砕された。


その破壊音に呼応するように、

研究所の奥から、さらに凶悪な魔法生物の咆哮が響き渡る。


「来ますわよ、アリス!」


二人は魔法を展開し、

最奥の扉へと突入した。


暗がりに潜む俺は、

その背中を見送る。


「……いい顔になったな」


「後は――

 ヤバそうになったら、俺が介入するだけだ」


シナリオ通りに。

――今のところは、な。

作者( ゜Д゜):主人公は介入せずに済みそうですね

オコジョ:お約束と違うだと!?それはないな!キリ


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