↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/107

第103話_迅雷閃化

――時空管理局日本支部。


訓練室の一角。

長机を囲むように座る少女たち。


そして――俺、内藤祐司。


まだ日本支部の完全復旧までは時間が掛かる。


連日の勉強会は続いていた。


アリス、エリザ、カエデが真剣に授業を聞いている。


「魔獣の種別と強さの

 ランクについて――説明するわ」


ミスティが教鞭をとる。


「強さのランクは、

 環境に左右されることが多いわ」


「周辺魔力によって、同種の魔獣でも

 強さが変わることもあるのよ」


「「へぇ~」」


アリスとエリザが感心した声を上げる。


「だけどね――」


一息入れて、ミスティは説明を続ける。


「一番上は決まっているわ」


「最上位の魔獣……」

カエデが呟き。


「古代種だろ」

レギが答えを言う。


「そう――」


「現在、管理局が把握している古代種――」


「五大王魔獣がいるわ」


「「五大王魔獣!!!」」


アリスとエリザが同時に声を上げる。


「王魔獣はね――」


「孵化して生まれる特殊個体よ」


「確か――」


「管理局本部で、

 一種の王魔獣の卵を保管していたはずよ」


「「孵化!!!」」


アリスとエリザが、同時に声を漏らす。


俺はアリスに視線を向けた。


「……」


プイッ。

視線を逸らすアリス。


続けて、エリザに視線を向ける。


プイッ。

こちらも視線を逸らす。


(……さては)

(――何も分かってないな)


俺は心の中で突っ込む。


「……脳筋は……おいてけ……」


カエデが俺に向かって言う。


――ピシッ。

空気が凍った。


(また――)

(言ってはいけないことを……)


「はぁ――」

ミスティのため息が聞こえる。


勉強会は続く。



――――

――


西部防衛拠点。


「防御障壁――破られます!」


局員の叫ぶような報告。


「全戦闘魔導士、踏ん張ってくれ!」


「後方支援部隊も関係ない

 ――前に出てくれ!」


――拠点崩壊。


頼みの防御障壁が破られる。


次の瞬間――。


蟲型魔獣の大群が、拠点へ侵入してきた。


「もう無理だ――!」


「きゃぁぁ――!」


「うぁぁあ――!」


魔導士たちの叫びが響く。


建物が破壊される。


逃げ惑う者。


最後まで戦う者。


だが――。

止まらない。


魔導士たちは知らなかった。


戦っている蟲型魔獣。


それは――。

ただの魔獣ではない。


ヴィンセント・クロムウェル提督が持ち込んだ“ソレ”は――。


時空管理局が厳重に保管していた――。


王の卵。


古代種――。


“ヘラクレス”蟲王魔獣。


群れの暴力によって世界を終わらせる――。


破滅の王獣。


唯一の救いは。


人の頭ほどの大きさをした、その魔獣が――。


まだ“幼蟲”であったことだ。


一体一体なら、倒すのに苦労はしない。


だが――。


数千。


数万単位で襲ってくるなら。


それは――。


悪夢だ。


――同刻。


蟲型魔獣が切り刻まれる。


計二千体。


魔獣の残骸が魔力となって四散する。


(防御障壁は破壊された)


(時間がない)


魔法――。

《エイト・スロットル》は、もう持たない。


世界の動きは、もうじき戻る。


一度止まったら――。


もう、連続で魔法は使えない。


(時間がない)


(もっと――)


(もっと速く――)


《迅速》カイは、一心不乱に短剣を振るう。


(集中しろ)


(もっと――)


魔獣を屠る。


斬撃。


斬撃。


後方から、魔導士たちの悲鳴が聞こえた。


叫び声が聞こえる。


(もっと速く――)


(もっとだ――)


魔獣が四散する。


周囲に魔力が満ちる。


双短剣型デバイス。

《ライトニング・ストライカー》を振るう。


――いつからだろう。


俺は――。


目の前の魔獣を斬るために――。


移動していない。


いや――。


風景は変わっている。


――場所は移っている。


それは――。


――現象。


白い雷(いかずち)が舞う。


移動しているのは――白雷。


放電しているのは――自分自身。


カイは――。


成っていた。


短剣を振るうのを止めた。


景色が――移る。


白い放電が蟲型魔獣を炭化させる。

挿絵(By みてみん)


現象魔法――。

《迅雷閃化(じんらいせんか)》。


音は――。


後からついてきた。


空気が爆縮する。


鋭い裂音。


全身から白い雷が放電し、視界のすべてが明滅する。


彼が――。


「そこへ行こう」


そう意図した瞬間には。


白い雷光が、その空間を焼いた。


カイの肉体は――。


空間を移動している。


魔獣たちは内側から白雷に焼かれ――。


黒い塵へと変わっていく。


「これが――現象」


次の瞬間。


すべてを“無”へと還す、超高圧の放電。


残像すら残さず。


雷そのものとなって――。


空間を跳躍する。


魔導士たちは、その光景に息をすることさえ忘れた。


否――。


ほとんどが――。


何が起きたのか、分かっていないだろう。


目の前にいた蟲型魔獣が――。


突然、黒い塵へと変わった。


その直前。


光が――。


白雷が、通り過ぎた気がする。


「何が……」


魔導士たちの呟きが木霊する。


もう――。


悲鳴は聞こえない。


そして。

次の瞬間――。


光が落ちた。


白い雷(いかづち)。


「あれは……」


「人……?」


「白雷を纏った――カイさんだ」


気づいた魔導士たちから、言葉が伝播していく。


やがて――。


全員が理解した。


魔獣は――。


全滅した。


助かったのだ。


「魔獣は倒した――」


「だが、防衛拠点はもう使えない」


「全軍、撤退だ」


一度、中央へ戻る。


そこには――。

魔導王国の拠点もある。


十二守護騎士。

カイの宣言によって――。


部隊が動き出す。


そして。

西部戦線で活躍した彼は――。


こう呼ばれることになる。


《迅雷》――カイと。



――――

――


魔導王国仮設本部。


だった場所。


一帯は――。


瓦礫となっていた。


――パキッ。


障壁が割れる。


アムリタの前には――。


消耗しきったネネ。


《眠り姫》ネネの膨大な魔力を以てしても。


《虚無》魔法を防ぎ続けるのは――。


限界に近づいていた。


「一体……何人が……犠牲に……」


レーゼが呟く。


魔導王国の本部拠点だったエリア。


その周囲一帯は――。


虚無魔法によって崩壊していた。


アムリタは静かに語る。


「私の任務は――」


「ロザリアの抹殺」


「殲滅型魔導士は――」


「計画の邪魔なんですよ」


そして――。


「偶然ですが、《星海を往く者》――」


「あたも――」


「リストに入ってましてね」


「レーゼ王女……」


「聞いてますか?」


「くっ……」


レーゼは唇を噛みしめる。


「ですが――」


アムリタは首を傾げる。


「私には解からないですよ」


「《灼熱の熾天》ロザリアが邪魔なのは理解できます」


「星属性魔法――」


「そんなに警戒する魔法なんですかね」


「私には――解りませんね」


言葉と同時に――。


魔法が放たれる。


《虚無》魔法。

――キィィィィィィン。


ネネは――動けない。


「……来るぞ!」


ロザリアが叫ぶ。


「私が――」


「熾天の名に懸けて!」


灼熱の魔力が放たれる。


虚無の軌道を――逸らす。


(私では防御は出来ない――)


(魔法障壁で防いでいた《眠り姫》も異常だが――)


ロザリアは、目の前の男を見る。


「化物め……」


中央。


魔導王国仮設本部。


――絶望的な戦いは続く。


作者( ゜Д゜):魔法は現象に至る。

オコジョ:四章も終盤……これ終わるのか……。

作者( ゜Д゜):予定では後4話なんだが……。私が聞きたいよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。