第54話 繋がる
ヒバリは、優秀な頭脳を持っている。アリステルの養成学校の成績も主席だったし、そのことを自分でも自覚している。
「俺、なんで忘れて」
だから、いくら幼い時の出来事だとしても、大切なことを忘れていた自分が信じられなかった。
「よほどショックだったんだろう。ヒバリは、ユマが死んだことを受け入れなかった。だから、病気で死んだと言ったんだ」
いくら優秀だと言っても、当時2歳である。自分のせいで、大切な人が死んだことを受け入れられないのは、普通である。
それでも、ヒバリは自分が許せなかった。
「ごめん。アスカ、ごめん」
「何で、謝るの?」
「だって、俺のせいで、ユマ様が」
「ヒバリは、悪くない」
アスカの言葉は、決してヒバリを慰めるための言葉ではなかった。それは、確固たる自信を持った一言だった。
「僕は、母上がヒバリを守って死んだことが嬉しい。僕がヒバリを大事だと思っているように、母上にとっても、ヒバリは大事だったんだ。それに、母上が守ったヒバリが僕を守ってくれているってことは、僕も母上に守られてるってことでしょ」
ヒバリは、確かにユマの死を忘れていた。受け入れられなくて、記憶から消した。
でも、ユマの想いは決して忘れることはなかった。ユマに頼まれた通り、アスカを守り続けたのだ。
「アスカの言うとおりだ。ヒバリ。お前は悪くない。だから、そんな顔するな」
タイヨウは、ヒバリの頭を撫でた。
「はい」
ヒバリの震えた声が、部屋の中に響いた。




