第48話 始動
アリステル王国戦闘部隊には第1戦闘部隊から第9戦闘部隊までがある。しかし、第4戦闘部隊が作られたのは、20年前のことだった。
当時王様だった、イニスの父親、ルーン・アリステルは4という不吉な数字から、第4戦闘部隊を配置していなかった。そんな中、第4戦闘部隊を作ったのは、当時16歳だったイニスである。
「父上。お願いがあります」
16年前。今はイニスが座っている椅子には、前国王、ルーン・アリステルが座っていた。
「なんだ。イニス。改まって」
ルーン・アリステル。イニスの父親であり、前国王である。朗らかで優しいと評判であり、親しまれていた。
「アリステル戦闘部隊に、もう1つ部隊を置きたいのです」
「理由は?」
「戦闘部隊に入り、各部隊を見ました。その中で、強すぎたり、特殊な能力を持っているために他の者たちから敬遠されている者が何人かいるのを見つけました。私は、そのような者のための部隊を作りたい」
イニスの真剣な瞳が、ルーンを捉える。
ルーンは、王子だからと言って、息子を甘く育ててきたわけではない。人に頼る前に、まず自分でできることは自分でするように教えてきた。イニスはその教えを守り、自分の身を守れるように戦闘技術を身に着けたのだ。
そのイニスが、ルーンにお願いごとをするのは、珍しいことであった。
「分かった。お前に、第4戦闘部隊をやろう」
「父上。ありがとうございます」
第4戦闘部隊は、たった1年で、戦闘部隊の中心として名を轟かせることになる。
アスカは、卒業試験で明らかになった桁外れの戦闘能力から、同期のほとんどの者に恐れられるようになった。気にしなかったのは、ラークとルカくらいだった。
「僕がコアに入れたのは、トラウマのおかげなんですね」
「まあ、そう言えるな」
ルドルフが、頷く。
ルドルフは、10歳で戦闘部隊に入った天才として、周りから憧れと畏怖の対象と見られ遠ざけられていた。だから、コアに入ったのだ。
「だからこそ、オレたちはチームワークを大事にするんだ。周りに遠ざけられる怖さを知っているから」
ゼクスは、コージュに避けられるようになってから、強さを求め、戦いを楽しむようになった。その結果が、惨劇の道化師である。笑いながら敵を倒す姿は、恐さを抱かせるのに十分なものであり、それが原因で周りから遠ざけられていた。そんな時に、ルドルフにコアに誘われたのだ。
「はい」
アスカは、力強く頷いた。
「さて、横やりが入ったが、順番を発表するぞ。俺。ゼクス。レオ。アスカ。ニーナ。この順番で2人ずつ警護につく。つまり今日の一番手は、俺とゼクスだ。いいな?」
ルドルフは、全員が頷くのを視界にとらえ、満足げな表情を浮かべる。
「よし。では、全員気を引き締めていけ。解散」
部屋の中に、ルドルフの気合いの入った声が響いた。




