↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第4戦闘部隊~コア~  作者: きと
第1章 アリステル編
PR
36/60

第36話 ラークの告白・前

 王室では、定期的に会議が開かれる。その会議には、王様と全隊長が出席しなければいけない。とはいえ、実際に全員が集まったことは、あまりない。リュンのように、ほとんど城にいない者がいるためだ。


「全員、揃ったな」


 今、王室には、全隊長とコアの隊員が集まっていた。


「何が始まるんかの。珍しく、全員集まっておるが」


「ここからは、俺が話させてもらいます」


 ラークが、奥の扉から入ってくる。


「知っている方もいると思いますが、俺は、第1戦闘部隊所属、ラーク・イストックです」


 ラークは、主席として噂になっているとは言え、全員と会ったことがあるわけではない。現に、リュンのように、ラークのことを知らない人物もいた。


「ルドルフさん。俺は以前、言いましたよね。俺はアスカの、アリステル王国の味方だと」


「ああ」


「今から俺が何を話そうが、それだけは忘れないでください。俺は、どんなことがあろうと、アスカの味方です。アスカがいるアリステル王国の味方です」


 誰も、何も言わなかった。ラークは、少しだけ笑みをこぼす。


「今から、16年前。東洋の国ジパニックで、2人の男の子が生まれました。1人は、元首タイヨウ様とその愛人、シャンリーの子。名はヒバリ。もう1人は、タイヨウ様と正妻、ユマ様の子。名はアスカ」


 全員の目が、アスカに向く。アスカの目だけは、ラークの瞳を捉えていた。


「そう。お前のことだよ。アスカ」



 ジパニックは、元首タイヨウの家系が代々治める国である。タイヨウの住む城を基盤に街が広がっているが、アリステルやオーリウスと比べると国の規模は小さい。他国との交流もほとんどなかった。

 16年前。元首を継いだばかりだったタイヨウには、1つの問題が生じていた。


「タイヨウ様! 生まれました。男の子です」


 1人の男性が、元首の部屋の中に入ってきた。黒い短い髪に、黒い双眸。黒い戦闘服に身を包み、腰には、3本の刀を提げている。

 タイヨウは、椅子に下ろしていた腰を上げる。


「そうか。ユマの子も、今日生まれたか」


「ということは、シャンリー様の子も」


「先ほど、生まれたばかりだ」


「そうですか。どうするおつもりで?」


 タイヨウは、椅子に再度腰を下ろす。それを見た男性は、タイヨウに対して跪く。


「イオリ。跡継ぎは、ユマの子、アスカだ。しかし、私は、シャンリーの子、ヒバリも大事だ。2人とも、私の子として平等に育てる。手伝ってくれるか?」


「仰せのままに」


 イオリは、頭を垂れた。



 ヒバリは、カーラン人であるシャンリーの子だった。つまり、正統な後継者ではない。しかし、タイヨウは、アスカを跡取りに決めたとはいえ、平等に2人を育てた。


「イオリ。2人の様子はどうだ?」


 タイヨウは、2人の父親とはいえ、元首であり、忙しい身である。イオリも、軍隊長の地位に就いてはいたが、タイヨウに頼まれ、2人の遊び相手になっていた。


「ヒバリ様は、すごいです。2歳ながらも、刀を自在に操ります。一隊員とは、互角の腕前です。そして、おそらく、力にも目覚めていると思われます。アスカ様の方は、まだ年相応ですが」


「そうか。ヒバリは、アスカにどんな態度だ?」


 アスカの方が正統後継者であるが、ヒバリの方が強い。その事実は、ヒバリに悪い影響を与えている可能性があるのだ。ともすれば、ヒバリがアスカを殺して後継者になろうと考えないとも限らない。

 イオリは、タイヨウの質問の意図を察し、首を縦に振った。


「大丈夫です。ヒバリ様。アスカ様」


 イオリが呼びかけると、扉が開き、2人の男の子が入ってきた。片方は、黒髪黒目。もう片方は灰色の髪に灰色の目をしている。

 灰色の髪をした男の子の方が、黒髪の男の子の手を握っていた。


「アスカ。ヒバリ」


 タイヨウは、突然現れた2人に驚く。タイヨウが2人と会うときは、いつも2人の遊び場でだった。それすらも、最近はほとんど会えていなかった。


「父上。俺は、確かにアスカより才能があるのかもしれませんが、それはアスカを守るための力です。俺は、アスカの兄ですから」


 ヒバリは、タイヨウに向かって笑う。2歳ながらも、自分の言葉で話してくるヒバリに、タイヨウは戸惑う。


「タイヨウ様。ヒバリ様は、ご自身の立場をよく理解されております。ご心配は無用かと」


「ああ。そうだな」


 タイヨウは、ヒバリに良く似た笑みを浮かべた。



「ジパニックは、平和な国でした。アスカも、ヒバリも順調に育っていきました」


「ちょっと質問してもいいか?」


 セッカが、右手を上げる。


「なんですか?」


「何で、アスカが後継者なんだ? 愛人の子といっても、ヒバリっていう子の方が先に生まれたんだろう? そんな簡単に決められるものなのか?」


「それは、血を重視しているからです。ジパニックを治めるのは、代々タイヨウ様の家の血を持った者とされていました。ユマ様も、タイヨウ様の家の出です。アスカは、純血と言えます。それに対し、ヒバリはカーラン人の血が混じってますから」


 セッカは、納得したように頷く。


「なるほどな。なぜ、血が大事なのか、は聞かない方がいいか?」


「さすが、セッカさん。後でちゃんと話しますよ」


 ラークの答えに、セッカは引き下がった。セッカとラークの会話を本当に理解できたのは、セッカを始め、レオやジャンといった参謀の能力に長けた者しかいなかった。


「13年前。アスカとヒバリが3歳の時。ジパニックで、ある出来事が起こりました」


 ラークは、13年前を思い出すように目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。