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第4戦闘部隊~コア~  作者: きと
第1章 アリステル編
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第35話 疑惑

 ラークは、コールスに来ることが初めてだった。話しには聞いていたが、実際に目の前に広がる状況に、言葉を出すことが出来ない。


「こんなに、変わってたなんて」


 アスカは、10年前のことを断片的にしか覚えていなかった。そして、10年前の出来事があってから、コールスに足を踏み入れるのは初めてだった。自分の記憶の中にある美しい村と全く異なった姿に、絶句する。


「アスカ。ラーク。僕は、調査しなきゃいけないから。オーリウスの兵士と鉢合わせたら、すぐに逃げること」


 侵攻をほとんど許したコールスの村は、オーリウスの兵士も定期的に訪れることがある。リュンは、オーリウスの兵士がいない日を選んで訪れているが、それでも絶対ではない。

 リュンは、立ち尽くすアスカとラークを残して、村の奥へと入っていった。


「ラーク」


 アスカは、黙ったままのラークに目をやる。


「僕は、家の方に行くけど。ラークは、どうする?」


「ん? あ、ああ。俺は、港の方を見てからにするよ」


「分かった」


 アスカとラークは、村の入り口で分かれた。



 ラークは、海の所にある、駐屯所に来ていた。駐屯所の中には、至る所に血の痕が残り、10年前の悲劇を物語っていた。


「イオリさん」


 ラークは、顔を歪めて、机に触る。その机には、イオリ・シノノメの名前が書かれていた。

 10年前、イオリが使っていた机だ。机の上には、アスカとセイレンと共に写った写真が置いてある。


「イオリさん。貴方が生きていれば」


 ラークは、静かに駐屯所を後にした。



 アスカは、10年前たった6歳だった。それでも、イオリとセイレンと過ごした記憶は、断片的にアスカの中に残っている。それは、10年前のあの日のことも同じだった。


「ここで、お父さんを見送ったんだ」


 アスカは、家の玄関で立ち止まる。そこは、切り傷があるものの、比較的きれいだった。侵攻があった時、誰も家にいなかったため、家が戦場になることはなかったのだ。

 アスカは、家の中に入る。


「うわっ」


 家の中は、物が散乱し、荒れ果てていた。


「これ。僕のおもちゃ」


 アスカは、床に落ちていた刀のおもちゃを手に取る。イオリが刀に興味を示したアスカに買い与えたものだった。


「確か、こっちがお父さんの部屋だっけ」


 アスカの家は、リビングと3人の寝室、そしてイオリの部屋に分かれている。10年前は、アスカはイオリの部屋に入ることを許されていなかった。そのため、イオリの部屋に入るのは、初めてなのだ。


「入って、いいよね」


 アスカは、扉を開ける。


「だ、誰だ!」


 部屋の中には、すでに1人の人物がいた。金色の髪に赤い目をした、アスカと同じくらいの年齢の男性だった。その身は、白い戦闘服に包まれている。

 アスカの黒い目と、相手の赤い目が合う。


「お前は」


 赤い目をした男性が、手に持った何かに目を移す。何度か、その物とアスカを見比べる。


「どうした! アスカ」


 ラークが、部屋の中に入ってくる。


「ラーク」


「お前、その服は、オーリウスの」


「アスカ、だと。それに、そっちのお前も」


 男性の赤い目が、大きく開かれ、アスカとラークを睨みつける。


「お前らの、お前らのせいで。カルラ・ストラスが。俺たちの国が」


「おい。お前、もしかして」


 ラークは男性の腕を掴む。


「離せ!」


 男性は、掴まれていない方の腕で、持っていた物を2人に向かって投げつけた。ラークは、思わず手を離す。男性は、そのまま部屋を出て行った。


「ラーク。大丈夫?」


「ああ」


 アスカは、男性が投げていった物を拾った。それは、チェーンが付いたロケットペンダントだった。アスカは、ロケットを開く。中には、写真が入っていた。


「お父さん?」


「え?」


 ラークが、アスカの手元を覗き込む。

 写真には、2人の黒髪の男性、1人の黒髪の男の子、そして1人の灰色の髪の男の子が写っていた。どの人物も、幸せそうに笑っている。


「これって、僕? それに、こっちは」


 アスカが、ラークを見る。


「ラーク? どういうこと? 何で、僕たちが一緒に写っているの?」


「それは」


 ラークの顔には、いつもの笑顔はなかった。


「教えてよ! ラーク!」


「分かった。話すよ」


 ラークの悲しそうな声が響いた。


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