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第4戦闘部隊~コア~  作者: きと
第1章 アリステル編
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第19話 懐かしいしぐさ

 アスカが『第6戦闘部隊待機室』を出た頃には、もう日は暮れかけていた。


「次は、第3戦闘部隊の隊長か。もう、明日の方がいいかな」


 アスカは、茜色に染まる窓を見つめる。


「アスカ」


 前方から名前を呼ばれ、アスカは顔を本来あるべき位置へと戻す。


「ラーク」


 前から来たラークは、アスカの前で立ち止まる。


「何してんだ?」


「リュンさんの証貰えたけど、第3戦闘部隊は明日かなって外見てたんだ」


「そうか。第6戦闘部隊も合格したか。良かったな。どんな訓練だった?」


「コールスで見つかった手紙を解読するものだったんだ。ジパニックのヒバリっていう者と、コールスの何者かの手紙」


「手紙?」


 ラークの顔が驚きの表情に変わる。


「それ。解読できたのか?」


「いや。昔に滅びた国の言葉かもしれないって推測が立っただけ。また時間が出来た時に調べるって」


「そうか」


 ラークは、ホッとして息を吐く。


「ところで、ラークは何してたの?」


「俺は、訓練してたんだ」


 途中、セッカやジャンに出会ったり、用事を思い出したりしたものの、結局ラークは一日中訓練をしていた。


「ラーク。今でも強いのに。まだ強くなるの?」


「俺は、まだ強くない。お前を守れなかったからな」


 ラークの視線がアスカの左腕に注がれる。そこにはまだ包帯が巻かれていた。


「そんな。僕も兵士だよ。自分の身は自分で守る。だから、ラークも自分を守ってよ。その刀で」


「お前。その言葉」


 ラークの目が、大きく開かれる。


「え、何?」


「いや。何でもない」


 ラークはかぶりを振り、アスカから目を離す。


「俺の2本の刀は、今はお前を守るために存在する。それが、俺の使命だから」


「何で、そこまで僕を守ろうとするの? 家族でもないのに」


 ラークは、一瞬傷ついた表情を浮かべる。しかし、すぐにいつもの笑顔に戻った。

 アスカは、ラークの表情の変化に気づかない。


「いつか、話すよ」


 ラークは、自分よりも少し背が低いアスカの頭を撫でて、去って行った。

 アスカは、ただ戸惑うのみだった。



 アスカは、寝るのが嫌いだ。それは、コールスの出来事を悪夢として見ることが多いからだ。そのため、寮に戻っても、中々寝ようとはしない。

 しかし、今日は違っていた。寮に戻ったアスカは、ベッドの上に倒れる。ほぼ半日辞典を読み漁ったため、疲れがピークに達していたのだ。


「あー。寝ちゃう」


 アスカは、そのまま夢の中へと落ちて行った。



 そこには、黒髪の男性が2人と黒髪の男の子が2人いた。


「アスカ。元気でな」


 1人の黒髪の男の子が、もう1人の黒髪の男の子の頭を撫でる。

 頭を撫でられたアスカは、夢だと気づいていた。しかし、その口は、全く別の言葉を発する。


「なんで? 一緒に行かないの?」


「俺は、行けないんだ。アスカを守るのが、俺の使命だから」


 アスカは、目の前の男の子が誰か思い出せない。でも、離れたくない存在であることは感じていた。


「イオリさん。アスカをお願い」


「分かりました」


 1人の黒髪の男性が、アスカを抱える。

 イオリは、アスカの父の名前であったが、アスカは父よりも目の前の男の子の方を恋しく思った。


「では、私たちは行きます。必ず、生きて下さい」


「待って! ねえ。一緒に行こうよ。━━━!」


 アスカは、最後まで男の子の名前を思い出せなかった。



 アスカが目を覚ました時、外では、鶏が鳴いていた。


「もう、朝か」


 アスカは、目を擦りながら起き上る。


「ラークに撫でられた感触と似てた。誰だったんだろう、あの黒い髪の男の子は」


 ラークの髪の毛は、灰色。いくら感触が似ていても、同一人物ではない。

 アスカは初めて見た悪夢以外の夢を心に留めながら、身支度を始めた。


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