↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第4戦闘部隊~コア~  作者: きと
第1章 アリステル編
PR
17/60

第17話 言語の世界

 世界には、多くの言語が存在する。それは、各国がそれぞれの言語を持っているからである。

 リュンは、母国語であるアリステル語を始め、オーリウス語、ジパニック語、スタリア語の4ヶ国語を扱うことが出来る。しかし、そんなリュンでも、手紙に書かれているのは知らない言語だった。


「その紙って」


「これは、この前コールスに行った時に見つけたんだ。ほら」


 リュンは、アスカに紙の束を渡す。


「コールスで?」


 アスカは、目を輝かせて紙を開いた。しかし、輝いた目は一瞬で曇る。


「これ、何て書いてあるんですか?」


「内容は分かんないんだけど。ジパニックのヒバリっていう者がコールスの何者かに書いた手紙だよ」


「なんで、ヒバリっていうのは分かったんですか?」


「ヒバリっていう言葉だけ、ジパニック語だったんだ。あれ、そういえばアスカはジパニックの出身だよね?」


 アスカが、コアの新人であること。ジパニックとアリステルのハーフであること。リュンは、アスカに会う前にそのことを噂で聞いていた。


「いや、僕は確かにジパニックの血も入ってますが、生まれはアリステルって聞いています。アリステル語しか分かりません」


 普通の者は、自分の国の言語しか扱うことができない。アスカも、例外ではなかった。


「でも、何でヒバリだけジパニック語だったのでしょうか」


「そこなんだよね。ヒバリ以外は、どこの言語か分かんないし」


「ヒバリをその言語にしたら、逆に分かりやすくなっちゃうとか?」


 頭を捻らせていたリュンは、アスカに顔を向ける。アスカは、急に顔を向けてきたリュンに、驚く。


「それだ!」


「え?」


 リュンは、部屋の奥から多くの分厚い本を抱えて持ってくる。


「おっと」


 山盛りに積まれた本は、アスカの目の前に置かれた。


「これは?」


「世界各国の辞典。ヒバリをヒントにすれば、どこの国の言葉か分かるかもしれない」


「つまり、ヒバリの意味の言葉が辞典に載っている国の言語が、手紙の言語かもしれないってことですよね」


「そう」


「それを、ここから探すと」


 アスカは、顔を引き攣らせる。


 現在存在する国の数は、120ヶ国。つまり、辞典は、それだけの量があるということ。アスカの目の前に積まれた辞典はそれだけの量があるとは思えず、おそらく部屋の奥にまだあるのだろう。そして、それからすらも探すということだ。


「もちろん。手伝ってくれるよね」


 リュンは、満面の笑みで言い放った。

 解読のヒントを思い浮かんだという点では、アスカはリュンの言った基準に合格している。しかし、リュンはまだ合格の一言を発していない。


「分かりました」


 アスカは、引き攣った顔をそのままに、返事をした。



 『第6戦闘部隊待機室』は、本棚に囲まれた、小さくも大きくもない部屋である。入ってすぐに一人分のデスクが3つ置かれ、その奥には横に細長いデスクが1つ置かれている。その細長いデスクの上には、『隊長用』と書かれたプレートが置かれている。

 しかし、今、細長いデスクの上には、多くの本が広げられている。いや、細長いデスクの上だけではない。部屋全体に、本が放り投げられている。その本に埋もれるように、アスカとリュンは机に伏していた。


「なかったね、アスカ」


「はい」


 2人の口から、弱弱しい言葉が発せられる。

 部屋の中にある辞典、全てを調べた2人だったが、目的とするものは見つからなかった。厳密に言うと、ヒバリを意味する言葉を擁する言語はあったのだ。しかし、手紙に書かれたものと対応させても、意味のある文にはならなかった。

 ヒバリを意味する言語を見つけるたびに、手紙を調べる。違うと分かると、放り投げる。その繰り返しに、2人は疲れ果てていた。


「リュンさん。どうするんです?」


 アスカは、首を持ち上げてリュンを見る。


「その国の言葉を全て調べてないとは言え、ほとんどの言語は調べたんだけどねえ」


「僕の仮説が間違っているんですかね」


 ヒバリを目印にしているため、手紙を照らし合わせていない言語もある。


「それか、存在する国の言語ではないんですかね」


「ん? どういうこと?」


 リュンが、首を持ち上げてアスカを見る。


「滅びたり、他の国に吸収された国でも、言語は存在してましたよね。そして、その言語さえも滅びたとは限らないのではないかと」


「なるほど!」


 リュンが、身体を持ち上げる。


「だけど、滅びた国の言語を調べるとなると、時間かかるねえ」


 『第6戦闘部隊待機室』に、滅びた国の辞典は存在しない。それどころか、滅びた国の言語を調べようと思っても、アリステル国内にも文献は少ない。その分、時間がかかるのだ。


「ここからは、また時間が出来たときだねえ。アスカ、今日はありがとう」


 リュンは、アスカの顔の前に、証を転がす。アスカは、身体を持ち上げてリュンの方に向けた。


「解読まではいかなかったけど、ヒントは思い付いてくれたからね。合格だよ」


「あ、ありがとうございます。あの、お願いがあるんですが」


「ん? なに?」


「次にコールスの調査に行く時、僕とラークも連れて行って欲しいんです」


「ラークって誰?」


 第1戦闘部隊の新人は、その優秀さから噂されることが多い。しかし、今年はコアにも新人が入ったこともあり、ラークの噂はアスカの噂に霞んでいた。


「第1戦闘部隊所属のラーク・イストックです。僕の同期です」


「連れて行くのはいいけど、僕はまたしばらく帰ってこないから。それまで待つようになるよ」


 リュンは、明日までしか城にいない。そして、また村の後始末に出て行くため、次にいつ帰ってくるか分からない。

 しかし、コールスに連れて行って貰おうと思ったら、リュンに頼むしかない。


「大丈夫です。待ちます」


「分かった。なんか、事情があるみたいだね。イニス様の許可は僕が取っておくよ。出来るだけ早めに帰ってくるから、アスカも早く全隊長の訓練を終えといてね」


 アスカの真剣な表情に何かを感じ取ったリュンは、快諾の意を示す。


「ありがとうございます!」


 アスカは、第6戦闘部隊隊長の証と共に、コールスへの切符を手に入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。