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家が没落して家族バラバラになったので集めます  作者: 柳上晶


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闇っぽいギルド

「なんだテメェら!?」

「おい!どこにいく気だ!?」

「はいはい邪魔邪魔」

「すみません通してくださいねー」


 ただ事ではない音につられて、続々と人が現れる。

 その人々をカイがちぎっては投げ、ちぎっては投げ。その状態で遠慮なく入ってくるカナデにも恐れ、なすすべもなくなっていく。

 勢いのままに襲ってくる波が止み、カナデの顔をはっきり見た者は、ギョッとした顔でヒソヒソと話し出す。


「……あれ、もしかしてあいつか?」

「狼だよな……?」

「え、俺ら、詰んだ……?」

 

「――――おいカナデ。何やったんだよ……」

「ちょっとね……色々あったんだよ。依頼とか依頼とか依頼とか」

「一個じゃねえか」


 もはや遠巻きに眺めるだけになった人々は、通り道を開けて両端に佇む。

 抵抗がなくなってサクサク前に進めるようになったカナデらは、とある部屋の前で歩みを止めた。


「あった。ここにボスがいるはずなんだよね」

「へぇー…………あのさ――」

「壊すか」


 またもや勢いよく扉を蹴り破ったカナデに、天を仰ぎながら額に手を当てるカイ。止められなかったことに申し訳なくなる。

 そんな気も知らず、カナデは能天気に、遠慮なく、部屋に入っていく。


「だ、誰だ!?手下は何をしている!!」

「久しぶりー」

「は、!?お、おま、お前!」


 やや身長の低めの、灰色の鋭い目つきの男性。いかにもそうな椅子に、いかにも偉そうに座っていたのだが、カナデを見て血相を変える。

 音を立てて立ち上がりカナデを指差し、怒りで口を開閉させるが、うまく言葉にできていない。


「取り立てに来たぜ〜??」

「帰れぇ!!!!」


 とびきり悪い笑顔を見せたカナデに、ゾッとした様子で大声を出す。


 ――瞬間、カイがカナデの脳天めがけて拳を振り下ろした。


 ゴッ、という鈍い音を立てて、カナデは膝から崩れ落ちる。地面にパタリと倒れたカナデをポカンと口を開けて眺める目つきの悪い男性に、バツの悪い顔でカイが頰をかく。


「すまん。うちの娘が」

「――はぁ?娘?」

「こっぴどく叱っとくんで」

「…………はぁ」





 ソファに座ってしょんぼりしているカナデに戸惑いながら、隣に座っているカイをちらちらと見る。


「この度は娘がひどいことを……」

「いや……」

「カナデ?」

「すみませんでした」


 先ほどの気迫はどこへやら。しおらしくなったカナデに眉をひそめながらかつ、警戒しながら話を始める。


「あーー……初めまして。狼のお父様?」

「あ、カイと言います。よろしく」

「ああ。俺の名はジェレミーだ。んでま、用件はわかってる。……おいお前持ってこい」


 傍に立っていた部下に声をかけ、資料を持ってこさせる。その間、カイはカナデに小声で語り掛ける。


「……なに依頼したんだよ。大丈夫なやつ?」

「……家族探しを手伝ってもらったんだよ。密告しない代わりにって依頼を無償で受けてもらった」

「……えぇ?この人ら何やったの?」

「……国家機密の所持と国家転覆加担未遂」

「……逆に何で報告してない?」

「……だって、そっちの道のプロだし、使い道があったから……」

「……そうは言ってもだな」

「何話してるんだ?」

「「いや何も?」」


 声をそろえて否定した二人に、「なんだこいつら」というような顔をしてはぁとため息をつく。持ってこられた資料を持って、カナデの方を見る。


「ま、お前に依頼された分はこれぐらいだ」

「簡単に説明してよ。わかりやすく」

「厚かましいぞ!狼!」


 イライラした気持ちを隠すことなく、舌打ちをしながら資料を片手に頭をかきむしる。

 それでも、説明をしようと頭を悩ませているジェレミーに、ニコニコとしているカナデ。

 カイはやや引いた。

 

「チッ。あーー――今んとこ場所がはっきりしてるのは、『フィラナ・ディルフロイ』だな。こいつは、画家として名をはせており、過去に類を見ないほどの才能を見せているらしい」

「お嬢なら当然だな」

「――で、一週間後、この町で展覧会を開くらしい。会うならそこだな」

「なるほどね……」


 真剣に話を聞いて、相槌を打っては、満足そうにする。

 わかりやすく要点をまとめて語られた情報に不備はなく、かつ、すぐにでも会えそうだったため、とても満足だ。ただそこで、ふとした疑問が浮かび上がり、カナデはその疑問を率直に告げる。


「その調べたフィラナの特徴はどんなの?」

「はあ?特徴?見た目のことか?」

「そう」

「別に、身長の高い好青年だぞ。紳士的だったってのもある」

「……ちょっと待て。好、青年?」

「何だ?」


 むっとした顔を上げ、カイを見るジェレミー。


「間違ってはないだろ。少なくとも、俺の部下たちはそれをしっかり目撃している」

「え…………カナデ?」

「……十分な情報だよ。もらってっていい?」

「いいよ早くとってどっか行け」

「はいはいありがとね。親父、行こう」

「あ、おう」


 資料全てを懐に収め、立ち上がる。カイも促し、立ち上がらせる。

 そんな二人に、鼻をふんと鳴らし、腕を組む。ジェレミーは、もうこれ以上話す気はなさそうだ。

 出口に向かうカナデは、思い出したかのように振り返り、ジェレミーの方を向く。


「まだおれの家族いるから、調べといて。また来るから!」

「二度と来るな!」


 その場にジェレミーの絶叫が響き、楽しそうにカナデは帰った。

 カイは近くにいたジェレミーの部下に、建物の弁償代を払っていた。






「ところで、スルーしてたけどさ」

「何ー?」

「何で一人称がおれだったんだ」

「一番効率のいい一人称だし、私だったら舐められるかなって」

「やっぱお前の考えわからんわ……じゃあ、狼は?あの二つ名?」

「そう。いつの間にかついた二つ名の縮小版」

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