【番外編】初詣の二人
本編とは関係ありませんので、飛ばしていただいても問題ありません。
初詣の二人。
これはまどかの初夢?
それとも、未来の姿?
「まだかぁ~」
「何?」
将之さんに視線を向けた。
振り向いた私を見つめている将之さんの表情は不思議そうな感じ。
どうして、そんな反応なの?
「呼んだよね? 私の名前」
「まどかぁ~ってかぁ? 俺が言ったのはまだかぁ? だよ」
「へ?」
「見ろよ。この行列。全然進まねえじゃんか」
将之さんは白い息を吐き、少しぶるっと震えた。
こんな時、「私が暖めてあげるぅ~」とか言って、抱き着いてあげたら、男の人って喜ぶのかも知れないけど、私には無理。
一緒に横で胸のあたりで一人両腕を組んで、ぶるっと震えてみせる。それが私の限界。
それにしても、確かにこの列は長すぎ。それに全然動かない。これでは一体いつ初詣が終わるのか?
「だいたい、日本人てのは真剣に信仰している訳じゃないのに、どうしてみんなこんなに寒い中、並んでまで初詣するんだ」
将之さんはちょっと不満顔。
「私とちょっとでも一緒に長くいられる」なんて喜んでくれたら、うれしいところなんだけど。
「クリスマスだって、そうだろ?」
「私は信じてるよ。サンタさん」
将之さんの目は点になっている。
「今年は来なかったけど、来年は来るかなぁ。
サンタさん」
マジ? 将之さんはそんな表情。
「あるじゃん。そんな歌。恋人がサンタさぁ~ん! っての」
「俺にサンタのコスプレさせるの?
こんな感じに?」
「ぶぅぅぅ」
そう言って、ちょっとふくれっ面を作ってみる。それくらは私にだってできる。
「ははは。冗談だよ。プレゼントだろ?」
「高価な物とか言うんじゃないんだよねぇ。くれる気持ちがうれしいんだよ」
「それって、最初の内なんじゃね? だんだん高い物がいいなんて言うんじゃないの? 女の子って」
「そんな事ないよぅ」
ここで、将之さんの胸を軽く両手でぽかぽかと叩いてみたりしたら、かわいいんだろうか? でも、私には無理!
代わりに頑張って、ほっぺをちょっとふくらせて、口先を尖らせてみる。 これが、私の限界。
そんな私のほっぺに将之さんの右手の人差し指が突き刺さって、口の中の空気がぷぅっと抜けた。
長すぎる行列。そこを抜けて、ようやくお詣り。
願う事はただ一つ。
「将之さんとずっと一緒にいられますように」
それで十分。
「何願ったの?」
「あん? 俺たちの話、みんなに読んでもらいたいなぁって」
「なるほど。みんなの公認になる訳だしね。
まだまだ読者さん少ないもんね。きっと、私たちの力不足なのかも」
「お、じゃあ、もっと過激に行く?」
「ごめん、無理。私、純愛派なんだ」
「知ってたよ。
そんなところが、まどかのいいところなんだなぁ」
将之さんの大きな手が、私の頭のてっぺんを二、三度なでなでした。
そして、将之さんがはめていた手袋をとって、右手を差し出してきた。
私も手袋をとって、将之さんの手とつないだ。
あったかい。この暖かさがずっと、ずっと続きますように。




