第18話 「お泊まり会・上」
俺は今、先輩の家に来ている。
きっかけは先輩の一言だった。
ある日の昼休み──。
『突然だけどお泊まり会をしないかい?』
急な先輩の発言に、俺も竜崎も驚いてしまった。
「先輩、ちょっと突然すぎませんか?」
「ですが興味はありますわ」
「まあ、俺も興味はありますけど…」
『じゃあ予定を決めようか』
そうして俺たちは各々の予定を確認し、
日程が決まった。
「というかどこでやるんですか」
『ん?僕が誘ったんだから僕の家だよ』
「真央先輩のお家…最高ですわっ」
竜崎のテンションが上がって変な感じになっているが、
俺には一つ疑問があった。
「先輩、お姉さんは他人が家に泊まっても大丈夫なんですか」
『聞いたけど大丈夫と言ってたよ』
『君と会ってから少し社交的になったみたいだね』
そう言った先輩の表情は、少し嬉しそうだった。
そして少し時が経ち、お泊まり会当日──。
『やあ、待っていたよ』
「お邪魔します、先輩。お手土産ですわ」
「あっ、先輩、俺も手土産持ってきました」
『ふふっ、ありがとう、さあ入って』
相変わらず綺麗な家だ。
竜崎は先輩の家に来れて嬉しいのか、
目を輝かせている。
すると奥から人が現れた。
「あっ、遊星くんだ」
「リオさ…」
その瞬間、先輩からのとてつもない気配を感じた。
先輩の表情はにこやかだが、なにか圧を感じる。
「……お姉さん、こんにちは」
「えへへ、リオでいいのに、あっ、こっちが竜崎さんかな」
「初めまして、お姉さん。私、竜崎竜奈と申します」
「わ…私はリオだよ〜、よろしくね、へへへ…」
付き合いは短いが、リオさんが初対面の人と話せているのに、
成長を感じてしまった。
俺の時は家から帰ってほしそうにしていたというのに…。
『そしたらなにをして遊ぼうか』
『そうだ、あれがいいかな』
そう言うと先輩は、なにかを探しに行った。
そして少しすると、なにかを持って帰ってきた。
「なんですかそれ?」
『人生すごろくだよ』
『最終的に資産が一番多い人が勝ちなんだ』
「へえー、面白そうですね」
『ふふっ、四人でやったらきっと楽しいと思うよ』
そして俺たちは、すごろくを始めた。
『じゃあ僕からいくね、おっ10マスだ幸先がいいね』
「私は8マスです、おやマスに何か書いてありますわ」
そこには、「宝くじが当たった、12億もらう」と書かれている。
「ちょちょ、序盤から大金すぎないですか!?」
『これが人生すごろくなんだよ枕木君』
「はあ…」
「つ…次は私の番かな…あっ9マスだ」
「【国家予算を着服した、100兆もらう】って書いてあるよ」
「いやいや金額の桁おかしいですよね、普通こういうのって最初は千円単位ですよね!?」
『これも人生だね、枕木君』
「それ誤魔化せてませんからね、ま…まあ最後は俺の番ですね」
俺がルーレットを回すと、1が出た。
そこには「あなたの人生はここで終わりだ」
と書かれている。
『残念だね、枕木君はここで脱落だよ』
「えっ、これで終わりとか…まだ1ターン目ですよね」
『これも人…』
「誤魔化せてませんからね!!」
そして俺は眺めているだけで終わった。
なんてすごろくだ。
その後、いろいろなゲームをしたが、
俺が勝つことはなかった。
だが悪いことばかりではない。
負け続きで落ち込んでいると、先輩が頭を撫でて慰めてくれた。
竜崎がこちらを嫉妬の目で見ている。
これだけで勝った気分だ。
そんなことをしていると──。
『おや、もうこんな時間だね、そろそろ夜ご飯にしようか』
「マオのご飯だ〜」
「先輩、俺も手伝いましょうか」
『ん、僕は一人でも大丈夫さ、三人は遊んでてくれて構わないよ』
「真央先輩の手料理…想像しただけで最高ですわっっ」
竜崎のテンションがおかしくなってしまった。
そんなこんなで三人で話をしていると、先輩の声が聞こえてきた。
どうやら料理ができたらしい。
「マオ〜、今日のご飯なに〜?」
『今日はボロネーゼだよ』
他にもいろいろな料理が並んでいる。
一人でこれを作るなんて先輩はすごい。
『それじゃあいただこうか』
俺たちは会話を楽しみながら、食事を楽しんだ。
竜崎は先輩の料理を食べて、もっとおかしくなると思っていたが、
食事中だからか落ち着いて上品に食べていた。
そして食事が終わり、少し経ち、
俺たちが片付けを手伝っていると、
部屋にお風呂がたまったというアナウンスが流れた。
『おや、お風呂がたまったようだね』
「あれ、いつためてたんですか?」
『アプリを入れてあるから遠隔でためられるんだよ』
「へえ〜」
『さてと枕木君』
「なんですか先輩」
『一緒にお風呂に入るかい?』
「えっ゛」
俺はその言葉の衝撃に気絶しかけてしまった。
はたして俺はどうなってしまうのだろうか──。
つづく




