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第51章 ミチヒト、なんてたって仲間だよ!(その3)

間が空いてしまいます。辛抱強しんぼうづよく更新を待ってくだっている貴方に感謝です。


バレンタインデー&ホワイトデーをチャンスととらえた由美子と通子。作戦を練ってミチヒトを誘い出しますが・・・。


第51章 ミチヒト、なんてたって仲間だよ!(その3)




村上先生に頼み、家庭科室を借り切った。6年生女子全員で6年生男子全員分のチョコをつくる。チョコレート型はクラスの金型工場の子が3Dプリンターで原型をおこし、シリコンで金型をつくった。10個一組で2種類の型だ。一つは『◆』というダイヤマークをかたどったものだ。定番のハートマーク案もあったが、固い絆を表すものとしてダイヤマークがひとつ選ばれた。ちなみにハートマークだと誤解する男子がいるかもしれないってことで選択肢から外れた。これは本命チョコで個人的にひっそり渡すことということで。もうひとつはスパナの形だ。ここの地域は金属加工が盛んな地域で食器や刃物、工具などが有名だ。その中からスパナの形が選ばれた。なんでも女子が男子をめたりゆるめたりしてコントールしてきたっていう意味らしい。ジョークとしてはけっこう意味深いみしんである。余談だが、締めたり緩めたりする方向は日本では決まっている。右手の親指の向き(時計回り)に回すと締まる。左手の親指の向き(反時計回り)が緩むである。


一度に10人分しか作れないのでチョコを型に流し込んでは冷まして固め、型から外してラッピングする。一日で出来るのは20人分がやっとだ。男子の分だけではなく、女子の分も作るから3日かかりで完成させた。ただし、本当は4日かかりだったけど。ちなみに予算のほとんどはクラウドファウンディング(?)でまかなったから、出資してくれた先生方の分も作らなければならなかったからだ。家庭科室がチョコレートの甘い香りで満たされているので校内ではちょっとしたミステリーになり、小さい子たちはこの甘い香りを楽しもうと休み時間に家庭科室に入りびたるということも起きてしまった。


そして、当日。土曜日だ。ミチヒトには事前に通子がゲーム中のチャットでアポを入れてある。お母さんはパートの仕事で留守だ。

ピンポーン。ガチャ。

すぐにドアが開く。ミチヒトは待っていたようだ。いい傾向だ。

「通子と由美子?」

「おう、ミチヒト元気だったか?」

「ミチヒトくん、久しぶりだね。」

「・・・クラスの様子はたまに(授業の)配信を見てるから、なんとなく分かる。バレンタインデーのチョコも女子がみんなで作ったんだって?」

「そう。ミチヒトの分もクラスの男子だからみんなで『愛』をこめて作ったんだよ。」

「キモ」

「いや、『愛』って別にキモじゃないし。それに本当にこめた思いは『絆』かな。固い絆を象徴してダイヤモンドの形、まあ、トランプのダイヤの形だよ、女子みんなで話し合って決めたんだよ。」

「そう。みんなでこの一年、いろいろなことに取り組んできたけど、なんか物足りない、不完全だって思いだったの。仲間が一人でもその場に居ないってのは割り切ろうと思っても割り切れるものじゃない。魚の骨がのどに刺さって抜けないみたいな・・・。クラスのみんなも同じ思いだったから・・・、30人分を一人で抱えているミチヒトくんはもっと切ない思いをしてるんじゃないかって。」

「でも、なかなかきっかけがつかめなくてね。みんなもどんなに楽しいときでも、ミチヒトのことが心の奥底にひっかかってね。『あいつともいっしょに楽しめたら最高なんだけどな』って、誰ともなくみんながそれぞれにつぶやいていたんだよ。ミチヒトも苦しんでたけど、みんなも何かしら苦しんでたって思う。いっそ忘れられたよかったんだけど、仲間ってそれが出来ないんだよね、なぜか。」

「そう。きっとミチヒトくんものどの奥に骨がささったままだと思う。」

「学校行くのに何かある?あたしたち、毎朝迎えに来るよ。骨を抜こうよ。近々今日持ってきたチョコレートのお返しを男子が集まって作ってくれるんだって。クッキーだって。味はあんまり期待はしてないけどね。」

「でも、意外に男子って料理うまい子多いよ。」

「まあ、クッキーそのものよりもそのクッキーを囲んでみんなでお茶会をしようってことになっているから、いっしょにやろうよ。女子も何人か手伝いというか、監視にいくから。えへ、あたしたちのことだけど。」

「君たちもいっしょなの?」

「いっしょにやろう。ね、通子。」

「うん。先ず休み明けに学校に行かない?迎え来るから。」

「・・・・。」

「無理せずに、給食くらいまで頑張ったら?キツいようだったら途中でも誰か先生が送ってくれると思うし。ねえ、ミチヒト、行こうよう。」

「・・・・。」

「考えてないで、『エィヤッ!』っていうことも大事ンだよ。ねぇ由美子!」

「それは有りね。私も昨年から読書感想文コンクールに出品するのに悩んでたけど、『エィヤッ!』って覚悟決めたら・・・、いや覚悟する前に行動しちゃうというか。でも、それってとても良かった。チャンスだと思う。」

「・・・・。」

「まあ、月曜の朝、私たちが『エィヤッ!』っていう機会を作るから乗っかっちゃってね!」

「・・・・。」

「月曜の時間割はチョコと一緒の手紙の中にあるし、準備だけはしといてね。7時半には迎え来る。行ってみて困ったことがあっても私たちが何とかするから。じゃ、ね!あ、あと、チョコの感想もそん時聞かせてね。」



月曜日の朝。一応土曜日のことは村上先生に報告はしてある。迎えは頼む。教室では学級みんなで自然に待つ・・・ということだった。

由美子と通子、二人でミチヒトを迎えるために家に向かう。両脇からエスコートだ。


ところが。

バレンタインデーってチョコの日じゃないんですが、商魂たくましい方々が工夫したんですよね。ハロウィーンに恵方巻きに、飽くなき挑戦は続きますね。チョコって形が自由に作れるのが魅力ですよね。でも、最近は地球温暖化のためか原料のカカオがとれないとか。また、カカオといえば児童労働の代名詞でもあります。安ければ良いと考えているとやがてとんでもないしっぺ返しがきます。


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