表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/59

第50章 ミチヒト、なんてたって仲間だよ!(その2)

またまた、最近ほんとに間が空いてしまいます。辛抱強しんぼうづよく更新を待ってくだっている貴方に感謝です。

さて、なんとか卒業までにみんなで欠けることなく思い出にしたい・・・そんな願いのもとで由美子達はあれこれ考えを巡らすのですが。そう言えば2月と言えば・・・


第50章 ミチヒト、なんてたって仲間だよ!(その2)




「村上ちゃんに聞いたらお母さんもパートに出て働いているんだって。でも、私たちの学校の時間と完全にかぶってる。」

「留守にこっそりという手段は使えないよね。」

「まあ、堂々という手段も無理だ。で、考えたんだけど、彼ってゲームかユーチョーブって動画サイトにはまっているって話じゃん。もしかして参加型のゲームにアバターがいるんじゃないかって探してみたの。フォースナイトっていうバトロワ型のゲームがあるんだけど、ミートっていうアカウントがあるの。プロフィールとか見てみるとなんか彼っぽくてチャットでそれとなく探ってみたら・・・。私が女子だってことを武器にね。どんなところに住んでるのか聞いて見たら、ビンゴなのよ。ランドマークもぴったりだし、学校も行ってないって言ってたし。」

「なりすましが多いのに、よく信じたよね。」

「音声チャットもあるから。情報は直接話した事が中心なんだけど、やっぱり寂しいんじゃないかな。この手の子ってそういう場面ではやけに饒舌じょうぜつになるじゃん。」

「確信はあるの?」

「いや、ないけど、アバターのネームが本名の一部から付けたっていってたから。」

「ミ・ちひ・トでミートか。」

「今日直接ゲーム中に聞いてみようかって思うんだ。チームへの参加者を募集してたのはミチヒトだから。」

「ミート君がミチヒト君だったらどうするつもり。」

「こっそり授業を配信してみる。こっちからの一方通行で見てるだけだから、抵抗は少ないと思うんだよね。ヤツ、ほとんど勉強してないから、中学校へ行ったらこのままだとかなりヤバいよ。中学校でも勉強でつまづいてまず、不登校から抜け出せない。少しでもみんなと同じ学習をしていれば復帰の可能性はちょっとでも高くなる。」

「私も賛成。勉強って必ずしも学校でやらなくてもいいと思うけど、集団生活の一部と考えれば、みんなと同じタイミングで学習しているってことは空気と同じくらい大切なはず。」

「はあ、空気ってなんだ?」

「月かなんかで空気のない生活を一人で送っているのと、みんなが空気を吸うように自分も自分も吸ってるって、環境が自ずと同じになるって事。違和感がなくなるっていうことかな。」

「自分だけポツン・・・は絶対にまずい。」

「私も同感。意を決してクラスに顔を出したのに『お前だれだ』みたいな顔されたら、最悪だよね。深く沈んで二度と浮き上がれない感覚に襲われると思う。」

「白々しくみんなでベタベタするのもどうかと思う。ついやっちゃいそうだけど、パンダじゃないんだし、ものめずらしく親切の押し売りをするのもよくないと思う。ちやほやされている時はそれなりだと思うんだけど、そんなの一瞬だし、違和感モロだもんね。」

「持続可能な取り組みを忘れないってことね。」

「まあ、あくまで授業の配信を見てもらえるってことで考えるけど、きっと最初はちんぷんかんぷんオンパレードだと思うんだよね。解説を入れたり、質問に答えたり・・出来るよね?由美子ぉ。」

「通子もそうするつもりね?」

「ん、まあ。」

「学校に一緒についてく『ママがわり』となれば、近づいてそれなりに信頼関係を築く必要があると思うんだよね。」

「しかもコンプレックスを持たせないようにしないといけないし、簡単にはいかないだろうけど、真摯しんしに気持ちを伝えたらきっとわかってくれると思う。」

「おう、『紳士』的っていいねぇ。でもアタシ、女だけど。」

「いや、真摯って『誠実に』とか『まじめにひたむきに』ってことだよ。知性的で礼儀正しく気品あふれる男性って・・・ことじゃないんだけど。」

「でもまあ、似たようなもんだからいっか。」

「使い方はそうとう違うと思うけどね。」

「ちょっと今晩辺り、仕掛けてみるか・・・・。」



翌日。

「どうだった通子?」

「ミチヒトのことでしょ。なんと、ビンゴ~ン!」

「それってビンゴ!とピンポーン!が混じってない?」

「大正解だったからまさに当たり!って意味でね。」

「それで?」

「うん、はっきり言えば反応は良くなかった。なんか、いまさら学校かよって感じ。友達と遊びたいとは思ってるらしいだけど、聞いているとゲームしたいみたいなんだよね。しかも、友達に自慢じまんしたいみたいな・・・。まあ、一日中やってるんだから、友達と別格なのは当たり前なんだけどね。」

「それって、自己肯定感の裏返しじゃないかな。」

「ジココーテイカン?自己・皇帝・感?俺は皇帝なんだぞ、俺が一番エライってか?」

「それ、面白いけど、違う。表に出てくるのはそれだけど、裏の気持ち。自分を肯定、つまり認めるんじゃなくて否定、ダメな人間なんだって思っていて、少しでもそうじゃないって思いたいという反動が出ているんだと思う。」

「まあ、勉強もしないでゲームやユーチョーブとか好きなことばかりしてるから、ダメ人間って言う人がいてもおかしくはないけどね。」

「通子って応援してるみたいで、実はけっこう辛辣しんらつなことも言うのね。」

「いや、最近のアニメの傾向なんだけど、努力もしないで突然誰にも負けない力を手に入れてヒーローになっていくってこととかぶって考えちゃったから。」

「??」

「『転生もの』なんかそうだよね。前の人生でうまく行かなかったのに、別世界に行ったとたん、魔法とか特別な力とかアイテムなんかを得てヒーローに成っていくって。らくして人生逆転なんて誰もが思うことだけど、んなんあるわけないじゃん!あり得ない。だから必死こいてたはずなんだけど、らくして人生逆転なんて、結局は詐欺やったり、強盗やったりしてヒーローとは真逆の方向に行ってるじゃん。ズルしてみんなの注目を集めたってショーガネーヨーって感じ。ヒーローは孤独で過酷かこくなんだよ!星一徹の地獄のトレーニングがあって星飛雄馬は生まれたんだ!」

「????」

「ああ、星一徹と星飛雄馬は『巨人の星』っていう野球を題材にしたスポ根アニメの先駆けに出てくる登場人物ね。『大リーグ養成ギブス』って言葉はきっと今だったら、流行語大賞間違いなし。」

「??????」

「私だって水泳が得意なのはスイミングスクールで普通に毎回2km以上泳がせられるからだよ。最初なんかあやうくプール中でゲロ吐くところだった。認められたかったら努力しろよ!」

「なんか、だんだん方向が離れていってるような気がするんだけど。」

「それを認めるのはたいへんなことだけど、それを最初は認めないと始まらないような気がする・・・でも、たしかにもやもやするね。」

「そう、ビシって言うことも大切なんじゃないかって。友達って何でも言えるのがそうでしょ。」

「でも、それって最初からやったらピシャッてシャッター閉められそうだけど。村上先生だって相当人間関係を築く試みをしてるはずだけど、彼の心の中に入れていない私たちがいきなり言ってもとても無理なような気がする。」

「どっちにしろ、今も学校来てないし、このままでも来ないと思うから、言ってみるだけ言ってもいいかなって。」

「それって立ち退きに応じない人に粘り強く交渉を続けているっているのに、それを横からいきなり強制執行で家を取り壊すようなものかもしれない。恨みを買うだけのような気がする。そして、粘り強く続けてきたことが全て水の泡・・・。」

「う~ん、それじゃあ村上ちゃんが困るじゃん。」

「まあ、そういう危険性、大だよね。」

「じゃあ、どーすりゃ、いいっていうの?」

「・・・・・けっこう、『学習の提供』はいけると思ったんだけどね。」

「本人はもう学習から気持ちが離れちゃってて、その日その日をただただ過ごしてというか、やり過ごす・・・先送りしてるような気がする。『異世界へ転生したら本気出す』ってアニメがあったけど、そんなわけにはいかないんだよなぁ。」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「もうすぐバレンタインデーだよね。チョコはきっかけにならないかな。」

「胃袋を押さえる作戦・・・ね?」

「『食べ下手』でいろいろ考えたじゃん。食って実はとてつもないパワーを秘めてるって感じたでしょ。」

「うん。確かに。」

「しかもあれって、基本的にお返しをしなきゃいけないじゃない。」

「ホワイトデーね。3月15日。ラストチャンスってところか。・・・でもいいアイディアだと思う。一方通行じゃないところが味噌だね。いっそ味噌味のチョコにしちゃおうか。」

「おい、由美子。顔が真面目だから怖い。ジョークならジョークらしい顔してよ。本気じゃないでしょうね。」

「ううん。本気。」

「え!」

「本気のジョークだよ。」

「まったぁ!」

「本当なら女子全員で男子全員にチョコを作って渡したいところ。家庭科室を借り切ってね。女子の団結も深まるし・・・中学校へ行くとクラスが別々になっちゃうから、クラスの思い出作りも兼ねてね。」

「男子もそのお返しに同じ事をするってことね。ミチヒトも入れてね。・・・でも、それってミチヒトにはハードルが高くない?」

「さっきお茶をにごすような言い方をしたのはそれが頭にあって。もっと少人数がいいのかなって。私たちが代表でミチヒト君に届けて、そのお返しを作るのを手伝うっていうのも有りかなって。」

「でもさ、そこで終わってしまいそう。持続可能な世界じゃないよな。」

「でもね、それをきっかけに毎日迎えに行って一緒に学校に行くってことができたらいいんじゃない。最初考えたエスコート作戦というか、そこが本命だから。」

「でもでもよく考えるとクラス全員にも知っておいてもらうだけじゃなくて、実際の関わりを通してクラスの中の一人一人の当事者意識を具体化するっていうのも大事なことじゃない?」

「なるほど、納得。その後のことも考えるとやっぱりクラス全員で取り組んだ方がいいってことね。」

「まあ、タイムリミットはすぐそこだし、やってみる価値はあるかな。私、村上ちゃんに話をつける。そして、学級委員に頼んで学級会を開いてもらう。ミチヒト、修学旅行もドタキャンしたし、なんか一つくらいはみんなでやりたいよね。」

「私じゃなくって『私たち』でしょ?」

「そうだね。シツレー!村上ちゃんの分も作んなきゃだから、忙しくなるわ。由美子はフィアンセの分もだから・・・。ついでに私も高校生にあげようっと。」


『食』って絆なんだってことを読書感想文を書く中で感じていた由美子と通子ですが、バレンタインデーに向かって行動を起こし始めました。次章はいよいよミチヒトに迫ります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ