14.途上
本日、二話投稿の一話目です。
開拓村に同行して下さるヒナさんを伴ない、子供達の所に向かう。
先程、主だった方々に挨拶を終えたので休んでもらおうと話したのだが、一度子供達と会ってみたいと言うので向うことにした。
この時間、子供達は家の手伝いも終わり広場に集まっているはずなので、丁度いい頃かもしれない。
ラグやザクが率いる第一陣が開拓村に向かい、わたし達が見ている時以外は勝手に訓練しないと約束しているので、子供達は今までに教えた事を復習する者や幼い子達の相手をして遊んでいる子等、皆それぞれに時間をかけている。そんな子供達に声を掛け此方に集まってもらい若い魔術師を紹介する。
「こちらが、みなさんの学習を見て下さる先生のヒナさんです」
「は、初めまして。今日からみなさんと一緒に、こちらで暮らしてゆく事になったヒナです。宜しくお願いします!」
「みなさんも挨拶して下さい」
「「「よろしくお願いしまーす!」」」
「ヒナさん、個別での紹介はどうしますか?」
「そうですね、いきなり全員を覚えるのは自身がないので、ゆっくりみなさんのことを知っていこうと思います」
「そうですか。じゃあ今からどうされますか?」
「子供達は、これからどうされるんでしょうか?」
「ジジ、ハーラ。みんなは今から何をするんですか?」
「しばらくは、ちいさいのの面倒をみてるから、おれ達ここにいるよ!」
「カルミア様が良ければ訓練の続きを見て貰いたいなーと思うけど」
「すみません。わたしは、今から用事があるので・・・」
「あのー。それって、私が見てあげるのはダメでしょうか?」
「えっ!先生が見てくれるの?」
「そうですねー。わたしは、かまいませんが。イーノはどう思いますか?」
「ヒナさんに、注意事項の確認をしておけば大丈夫じゃないでしょうか?あと、みんな基礎訓練だけにしろよ。武器を使った訓練は無しだからな」
「「「はーい!」」」
「いい返事ですね。それじゃあ、ヒナさん注意事項を説明するので、子供たちの事お願いできますか?」
「はい!カルミア様、やらせて貰います。みなさんもよろしくお願いします」
「「「はーい!」」」
ヒナさんに騎士イーノと共に説明をし、子供達の事をお願いしてこの場を後にする。
「イーノ、 ヒナさんの事どう思います?」
「私は魔法の事等は分からないのでそれ以外の所で言うと、思ったよりもお若い方でしたが子供の扱いに慣れているようですし、子供達の教育を任せるには良い方が来て下さったのでは?」
「わたしも同じですね。あと、少し控え目なようですし、経験というところは不安ですが・・・。そういうところはダリアさんに補ってもらいましょう」
「そうですね。それに、ロアナ様が来て下さったのは良かったかもしれませんね。まあ、何時までこちらに滞在されるか判りませんが」
「そうだね。後は、子供達の中に魔法適正がある子がいるればいいのですが」
「開拓村の将来を考えると、簡単な魔法でも使える人が多い方が望ましいですから。しかし、魔法の適正は運みたいのものでしょう、あまり期待を大きく持つのもどうかと思います。そもそも、魔法を使える者はそんなにいないと言われていますがら」
「ええ。ですが、幼いうちに弱くても魔法の適正を見定めることが出来れば、そこからの指導でそれなりに使えることが出来る様になるそうですし・・・。うーん。今いる子供達だけでは人数的に期待薄かもしれないか。いっそ、もう少し歳上の者にも適正の確認をお願いした方がいいかな?しかし、歳が上がると適正があっても、制御する能力が弱まるとも、魔力事態を失うと聞いた事がありますし・・・。後で、ロアナ先生も含めて相談してみましようか」
「そうですね。ひょっとすると、私達では分らない魔術師ならではの考え方が有るかも知れませんし。あと、魔法?魔力?を見定める為にどんなことするのでしょうか。ヒナさんじゃないとダメみたいですが?」
「わたしも本で読んだだけなので詳しくないですが。見定める対象が持つ魔力に外部から干渉して、魔力の有無を確認するそうです。他人の魔力に干渉するには、魔術師でも得手不得手があるようで、恐らくヒナさんはそういった事が出来る魔術師なのでしょう」
「そうですか。私でも確認して貰えるのでしょうか?」
「言えばして貰えるとは思いますが・・・。なんです、魔法に興味が出てきましたか?」
「何と言うか、もしかすると自分の隠れた才能が・・・。みたいな事がないかなと」
「流石に、イーノの歳だと難しいのでは?止めませんが・・・。ちなみに、わたしは幼い時に見て貰いましたが全くダメでした」
「・・・」
「なんです、黙りこんで?」
「いえ。今の話しぶりから、カルミア様も魔法を使うに関心があったのかーと思いまして」
「それは!・・・使えたら父や兄達の手助けを出来るのでは、と考えましたから。そんなに上手くはいきませんでしたが・・・」
「・・・そうでしたか。それでは!これからの開拓村移住は、カルミア様が辺境伯様と兄上にとっての力添えになるようにしなければ成りませんな!」
「そうだね。魔法は無理でしたが、開拓村の発展を成功させることは、必ず領内の将来に係わりますから。なので、イーノには、なおいっそう働いてもらわないといけませんね」
「はははは!そうですな。なら、今頃旅の途中にあるラグやザク達にも、さらに尽力して貰いましょう」
「まあ、あの二人なら問題なく働いてくれるでしょうけど・・・。やはり、イーノには騎士や兵士のまとめ役として力を出して貰わないといけませんから、宜しくお願いしますよ」
「ははははは!了解しました。この騎士イーノ、全力をとして働きましょう」
「本当にお願いしますよ。経験の少ないわたしからすれば、貴方達の協力と知恵を貸して貰わないと、前に進む事も難しいのですから。はーっ、今更ながら大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ。ラグやザクも、判っていますから。必ず、カルミア様の力になります」
「そうなら、ありがたいことです。・・・そういえば、ラグ達第一陣は村の跡にそろそろ着く頃でしょうか?」
「あー。いえ、何事も無ければ、あと一日から二日と言ったところでしょうか」
「やはり、時間が掛かるのですね。何事も無く無事着けば良いのですが・・・」
「それこそ大丈夫でしょう。ラグやザクだけじゃなく、猟師や経験のある兵士達が一緒ですから。皆、無事に到着しますよ」
「ええ、そうですね。彼らの為にも次の準備を早く進めていきましょうか」
そう言いながらも、やはり一抹の不安を感じるのだった。頭の中では、練ってきた計画通りに進むであろうと判っているはずなのだが。この様に思うのも、わたしの経験値の少なさののだろうか?
薄い雲が広がる空を見上げて先発した第一陣の事を思うのだった。
周りの様子を見る。・・・どうやら、狼系魔獣の襲撃は退けた様だ。まだ、陽が高いこんな時間帯に襲ってくるとは思わなかったが。
「ラグ殿、追いかけますか?」
「いや、止めておこう。相手も大きく数を減らしているから、無理に森に入る必要はないだろう」
「了解しました。では、後続にも伝えておきます」
「頼む。リヨウ、怪我をした者はいないか!」
「はい!確認しました。皆、無事です」
「よし!なら、街道に戻ろう」
「死骸は、持ち帰りますか?狼系でも、解体処理すればそれなりの食糧になりますが?」
「できますか?時間はあまり有りませんが」
「確か、街道の直ぐ近くに川がありましたから、そこで処理しましょう。解体だけなら時間は掛からないでしょう。若い者の経験にもなります。後は、荷台で処理できるでしょう」
「それなら持ち帰りましょう。何匹仕留めましたか?」
「6匹ですね。残りも、それなりに痛手を負わせているので、あの群れからの襲撃はしばらくないでしょう」
「それじゃ、みんな手分けして持ち帰るぞ!リヨウ、念の為に警戒を」
「了解しました。息子と後方の警戒しながらついていきます」
「頼みます」
槍を持つ反対の手で、獲物を取り肩に担ぐ。村に着いたら、自分も獲物の解体処理を教えて貰おうと思う。幸いにも、熟練した猟師が何人か同道しているのだから。
開拓村の近くにある森に生息している魔獣は、他の辺境伯領にいる個体よりも大きく凶暴なモノが多い。危険だがその分、魔獣等から取れる素材は質がいいと言われている。昔も、それなりに村の収入の助けになっていたはずだ。
そんな事を考えていると、第一陣の馬車が停車している方から伝令が走って来た。どうやら、停車している馬車列にも別の獣が襲って来ていたようだ。聞いた私達は、進む速度を上げて戻る事にした。




