477 石田家勧誘
親父との恐ろしい話を終え、三雲三郎左衛門を連れ、石田正継の居る石田村へと急ぎ赴く。
少し親父との話に時間を使ってしまったが、藤吉郎が赴任する前に石田親子を掻っ浚ってしまいたい。
「兵部少輔様、ようこそ御越しくださいました」
石田屋敷へ着くと、当主の正継が出迎えてくれる。
「藤左衛門(石田正継)殿、戦も終わった事であるし、約定通り弥三郎(正澄)を連れに参った」
「はっ、既に弥三郎の支度も整っております」
小谷城攻めの前に石田正澄を当家に貰い受けるという話をしていたので、用意していたのだろう。
「その話なのだがなぁ…」
「何か不都合が御座いましたか?」
俺が言い淀んだのを見て、正継は心配気に尋ねる。
「此度の戦の報酬で、儂は浅井、伊香の二郡を治める事となった。そうなると話は変わってくる。お主を他の者に仕えさせるのはあまりにも惜しい。どうだ?新たに所領を用意する故、儂の許へ参らぬか?」
この石田村は藤吉郎の治めるエリア…だと思う。
詳しい領地割りまでは知らんけど。
例え藤吉郎の担当地域じゃなかったとしても、優良官僚親子を他人に譲るのは勿体無いからね。
「しかし…」
「お主には宮部善祥坊(継潤)殿と共に弟の事を任せたい」
渋る正継に弟の事を持ち出す。
「弟君に御座いますか?」
「左様。江北を得たとはいえ、儂は直ぐに播磨へ戻らねばならぬ。江北の事は弟の乱に任せる事となる。しかし、乱は齢五つの童。まともな政など出来よう筈もない。藤左衛門殿、お主には、政にて当家を助けると共に、師として弟を支えてもらいたいと思うておるのだ。伝来の地を離れる事に抵抗はあろうが、替わりに丁野山城とその村を与える故、どうか引き受けてはもらえまいか?」
加領だけで頷いてくれないなら、信頼と重職も与えよう。
どうだい?
「藤左衛門殿、丁野山城は小谷城を守る要害。知行としても石田村の三倍は有りましょう。殿は貴殿を大層買っておられるのです。如何か?」
三郎左衛門も俺に加勢してくれる。
えっ?丁野村って今の石田家の知行の3倍もあるの?
まだ調べてないから、知らなかったよ。
流石に多過ぎたかも…
断ってくれても…
「…では、嫡男の弥治郎にこの地を任せ、我等のみが兵部少輔様の許へ向かうという事で構いませぬか?」
正継は、少し考えると長男を石田村に残し移住してくれる事を了承してくれる。
って、OKするんかい!
まあ、家臣になってくれるならいいか。
ふふっ、勝ったな。
でも、本領も手放したくはないのね。
「しかし、侮る訳ではないが弥治郎殿はまだ若い。いきなり任せても良いのか?」
弥治郎は、15か16歳くらいだろうか?
本当に置いてきても大丈夫か?
「その様に育てて参りました。家臣も居ります故、問題御座いませぬ」
「父上の期待に応えてみせましょう」
正継が自信たっぷりと言い切る横で、弥治郎も確りと頷いている。
「うむ。二人がそう言うのであれば問題あるまい。しかし、何事か有れば遠慮なしに儂を訪ねよ。決して無下にはせぬ」
正直なところ、長男の弥治郎は史実では早世しているので、誰に仕えようと気にはならないんだけどね。
ただ遠慮なしに相談に来いとは言ったが、なるべく藤吉郎との間に問題は起こしてくれるなよ。
しかし、三成も付いてくるかぁ。
三成なぁ…どうしようかなぁ。
有能である事は間違いないからなぁ。
次男の正澄を俺に付ける事は確定だが、三成の方は…於乱ちゃんの側付きにでもして様子を見てみるか。
一層の事、三成だけでなく、大谷吉継や長束正家なんかも、於乱ちゃんと一緒に勉強させてみるのはどうかな?
それはそれで面白そうだけど。




