470 何でもう決まっとんねん?
小谷城が落ち、浅井備前守が自刃した事で、残っていた土豪等も織田家に降伏した。
堀久太郎等が朝倉家の動きを警戒して越前へ向かったが、今はもう十月を過ぎている。
西暦で言えば11月、雪が降って行軍など出来ないだろう。
どうやら俺は来年計画されている越前攻めには不参加らしいので、厄介事に巻き込まれる前に、さっさと播磨へ戻りたいところだ。
これだけ長い間領地を留守にするのは、流石に心配だし。
最悪領地を捨てる覚悟だったとはいえ、捨てる必要がなくなったとなれば、惜しいしな。
まあ、俺がある程度の出世を望んでいたのは志賀の陣を防ぐ為に兵力が欲しかったからだから、もう苦労して出世する必要はないので、播磨も要らないといえば要らないんだけど。
流石にそんな事をすれば家臣達が怒るし、それに巻き込まれて責任を取らされるのは嫌だ。
但馬攻めと近江攻めの報酬から、勝手に近江へ来た事のマイナス分を差っ引いて、納得出来る金額を貰えれば有難いかな。
マイナス分をどう評価されるかによるけど、流石に収支がプラスになる様に活躍したつもりだけど。
本当は本能寺の変が起こるまで、このまま現状維持を続けて、だらだらと過ごしたいんだけど…
殿は怠け者が嫌いなので、適度に活躍しないと史実の林佐渡守殿や佐久間右衛門大夫殿みたいに追放されそうで怖いんだよなぁ。
明智光秀の戦力は大分削ったし出世も遅れているから、現時点では本能寺の変を起こせそうにないけど、これから急速に出世して史実に追い付いたり、別の奴が光秀のポジションに納まる事も考えられるから、それに家族が巻き込まれない様に、弟達が殿の小姓にならない様に画策しないとな。
さて、浅井家討伐が終了した事で、俺も御役御免となり、漸く播磨へ戻る事に…ならなかった。
これから殿や義昭達が京へ戻り、今回の報奨やら何やら色々と協議が行われる訳だが、その領地割が決まるまでの間、江北の抑えを命じられた。
俺が江北の土豪達の調略を担当していたからかな?
折角だから此所を治める奴が来る前に、何人か牢人を召し抱えたいね。
脇坂安治とか片桐且元とか。
あと、浅井長政は京で晒し首になるそうだ。
義昭がどうしても長政の首を晒すと聞かなかったそうだ。
万福丸の時に磔を止める様に頼んでいるから、余計に強く出られなかったのだろう。
義昭がヘイトを集めてくれる分には構わないんだけど、こっちまでとばっちりを食らうのは勘弁して欲しい。
浅井家の旧臣共の前で義昭の陰口でも叩いて、織田家は関係ないですよアピールしておくか。
「殿!」
今後の事を考えていると慌てた林助蔵(能勝)がやってくる。
止めてよ?厄介事を持ち込むのは。
さっさと播磨へ戻りたいんだから。
「如何した?」
「岐阜より知らせに御座います!」
「岐阜?」
岐阜からって、何かあったか?
「御嫡男満丸様、無事御誕生に御座います!」
うん?
…あっ!
そういや、そろそろ子供が生まれる頃だったわ…
いや~、播磨へ戻らなくて良かった~。
出産に間に合わなかったのは仕方がないとしても、近くに居たのに屋敷に寄らずに播磨へ帰ってしまったら、家庭不和の原因になってしまう。
この時代だから理解はされるとは思うが、いくら出来た妻である虎でも内心面白くないだろう。
会える時に会っておかないとな。
いや、そんな事より、満丸って何?
何で子供の名前が、もう決まっとんねん?




