464 休憩中なんですけど
俺は休むぞ~!と決意して迎えた翌朝。
「殿、只今戻りました」
探し物に出掛けていた岸新右衛門が戻ってきた。
いや、早くない?
「で、如何であった?」
「はっ。多少手間取りましたが、滞りなく」
何を手間取ったんだろう?
怖っ!
「傷は?」
「申し訳御座いませぬ。山で足を滑らせたらしく、かなりの傷が…」
そうか、可哀想にな。
しかし、よかった!
てっきり新右衛門が、遺体を調達する為に子供を殺したのかと思っちゃったよ。
「構わぬ。逃げ出して崖から滑り落ちた事にすれば良い。それに謀らずに済むやもしれぬしな」
「はっ」
浅井長政が降伏して、それが認められれば問題ない。
でも、史実でも長政は降伏を拒否しているしなぁ。
難しいかな。
新右衛門との話が終ると、林助蔵(能勝)がやって来る。
「殿、大谷伊賀守より知らせに御座います」
明智光秀に付けた大谷伊賀守(吉房)からの知らせか。
もう、追撃を終えたという連絡かな?
「どうなった?」
「先の敦賀郡司であった朝倉中務大輔(景恒)殿が離反。金ヶ崎城を乗っ取り織田家への臣従を願い出ておるとの事。疋壇家を始めとする敦賀の諸将も、それに倣い朝倉家より離反。十兵衛殿に合力して朝倉軍を挟撃し、朝倉式部大輔等を降伏に至らしめたとの事に御座います」
は?
「式部大輔殿がか…」
結局、朝倉景鏡は死なずに降伏したんかい!
憎まれっ子世に憚る的な?
いや、そんな事はどうでも良くて、朝倉景恒が離反したって事だよな。
確かに父親の景紀をダメ元で唆しはしたけどさ、それにしても早すぎない?
景紀って流石にまだ逃亡中でしょ?
史実で永平寺に引き込もって死んだ景恒なんかに謀反なんて起こせるとは思えないし、景紀が丁野山城に篭っていた最中か前に息子を呼び寄せたかな?
「兵部少輔様」
「久太郎、如何した?」
敦賀の事を考えていると、堀久太郎(秀政)と未来の堀直政である奥田三右衛門(政次)がやってくる。
俺、休憩中なんですけど、今度は何ですか?
「殿より本陣へ万福丸を連れて参れと」
「うん?今か?」
うん?戦が終わってからでもいいんじゃないの?
まさか、人質にでもして長政に降伏でも迫るのかな?
長政は首を振らないだろうから無駄だと思うけど。
「はい、大樹が横山城へ入られまして…」
あれ?義昭って今まで何をしてたったけ?
全く眼中になかったから、気にも止めてなかったわ。
え~と、確か織田軍と共に摂津で三好家と戦ってたよな?
その後は…ああ、摂津に残ったままか。
三好家は四国へ退いたから、荒木村重…じゃなかった、池田知正と対峙してたんだったっけ?
それが近江へやって来たって事は、もう摂津池田家への仕置き等を終わらせたって事か。
「大樹は摂津に残っておられたと思うたが、もう仕置きをおえられたのか?」
「はい。池田久左衛門殿と和睦なさり、急ぎ駆けつけられたとか」
はっ?
三好家が退いて、本願寺も加わらなかった池田家なんて、どうとでも出来ただろうが!
手こずる様なら、織田家が戻ってくるまで粘れば良いだけの話だろう!
荒木村重とかここで殺しておかなきゃ、後々厄介だろうが!
急いで近江へ来るなんて、そんなに裏切った浅井長政が憎かったのかよ。
でもこれで長政生存ルートは難しくなったか。
万福丸の事、どうしようか…




