459 次郎太刀?
あ~疲れた~。
不本意ながら真柄直隆とタイマンで戦う事になってしまった。
周りの家臣達が手伝ってくれなかったんだよなぁ。
皆が襲いやすい様に、相手が皆に背を向ける様に頑張って動いたんだけどなぁ。
何で襲わないかなぁ…
お前等、俺と俺の家族を守る為に召し抱えてるんだから、こんな時こそ役に立てよ。
後で思い知らせてやるから、楽しみにしてろ。
しっかし、まさか真柄直隆を討ち取る事が出来るとは。
出来れば悪目立ちはしたくはなかったんだけどねぇ。
流石にここまで大領を得た今では、それは無理だろうなと分かっているけどさ。
もう志賀の陣の妨害という目的は果たしたんだから、ここから存在感とか消せたり出来ないもんかねぇ。
「チッ、間に合わなんだか」
ぐだぐだ愚痴を呟いていると、背後よりいかにも悔しそうな声が聞こえた。
声が聞こえた方を見ると、朝倉軍を追撃しに来た権六殿が漸く到着したようだ。
くそ!もう少し早く到着してくれれば、真柄直隆の相手を押し付けられたのに。
「権六殿、敵は刀根坂から疋壇へ向かっております。追えば敵を討ち取る事は出来ますぞ」
「いや、流石に小谷城を放置する事は出来ぬ。後の事は、お主や十兵衛(明智光秀)に任せる」
「御任せくだされ」
明智光秀も追い付いてきたか。
「しかし、折角此処まで来たのだ。あの者の相手くらいはさせてもらおう!」
権六殿の示す方を見ると、大太刀を振るいながらこちらへ駆け寄ってくる敵が見えた。
「真柄十郎左衛門殿の子、十郎(真柄隆基)殿に御座いますな」
相手の顔を知っている光秀が、敵の正体を教えてくれる。
「権六殿、討ち取るのは構いませぬが、あの大太刀は手に入れたい。高値で買い取ります故、どうか御譲りくだされ」
今にも飛び出していきそうな権六殿に、真柄隆基の大太刀を譲ってくれと交渉する。
先の志賀の陣で所右衛門(青木重通)が討ち取った真柄直隆の弟の直澄の大太刀は手に入れたが、諸説あって隆基の大太刀とどちらが本当の『次郎太刀』なのかが分からない。
熱田神宮に奉納されているのは隆基の大太刀らしいが、本当かは知らない。
分からない時は全部手に入れるに限る。
やっぱり太郎と次郎、セットで揃えたいし、序でに三郎があってもいいだろう。
熱田神宮に納められている三郎太刀は、まだ作刀されてないしな。
「銭は要らぬが、そうだな…何れ頼みでも聞いてもらおうか」
いや、それは怖い…けど!次郎太刀(?)の為なら仕方ない。
「御手柔らかに」
喜び勇んで敵に向かって駆け出す権六殿は放っておいて、無言で突っ立っている光秀に向き直る。
「敵は刀根坂から疋壇へ逃げておる。追われるならば急がれよ。後の事は引き受ける。案内に伊賀守(大谷吉房)も付けよう」
権六殿はこの後小谷城へ帰るっていってるし、俺もこれ以上動くの嫌だから、光秀に面倒を…じゃなかった、手柄を譲ってあげよう。
道案内に地元の大谷伊賀守も付けちゃう。
流石にもう、本能寺の変を起こせるくらいの出世は難しいんじゃないかな?
…いや、侮りすぎか。
伊賀守は、光秀がやり過ぎない様に見張っててくれ。
「忝ない!後の事は御頼み申す!」
光秀は手柄を立てるべく、兵を率いて刀根坂方面へ掛けていった。
よし、これで朝倉景紀の逃げた方向に追手が向かうのは阻止出来たかな。
「ほれ、傳兵衛!」
声のする方に顔を向けると、権六殿が俺に向かって大太刀を放り投げるのが見えた。
慌てて両腕で大太刀をキャッチする。
おい、大切な大太刀を放り投げるな!
落としたらどうすんだ!
ってか、もう真柄隆基を討ち取ったのかよ。
早い、早すぎるよ!
俺が光秀と駄弁っている間に、討ち取るなんて…怖っ!
申し訳ありませんが、今月いっぱい休ませていたたきます。
父が仕事中に肋骨折って肺に刺さって入院したので、色々と…
今月中に退院予定なので、来月には再開します。




