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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
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457 しまった! 前に出てしまった!

 朝倉景紀を逃がすという目標は無事に達成出来そうだが、代わって真柄直隆との対決が避けられそうにない。

 こんな事になるなら景紀を助けに入るんじゃなかった。


「行かせるか!殿が出るまでもない!この今枝八郎左衛門が相手よ!」


 俺の家臣で、今は楠木七郎左衛門の与力をしている今枝八郎左衛門(忠光)が真柄直隆との間に割り込み、行く手を阻んでくれる。

 ナイス インターセプト!

 よし、八郎左衛門が防いでくれてる間に逃げよう!

 正直、八郎左衛門では真柄直隆に勝つのは難しいだろう。

 俺が安全な所へ逃げる迄の時間を稼いでくれたらいい。

 お前の死は無駄にしないからな…


「邪魔だ!」


 真柄直隆が八郎左衛門に向けて大太刀を振るう。

 真柄直隆の大太刀が八郎左衛門の槍を真っ二つに斬るのが見えた。

 おい!もう少し粘ってくれよ!

 全然逃げられないじゃん!


「父上!」


 八郎左衛門の嫡男である弥八が、父のピンチに慌てて駆け寄ろうとする。


「弥八!来るでない!まだだ!」


 弥八を制止した八郎左衛門は、斬られた槍を投げ捨てて、腰の刀を抜く。

 刀で大太刀と対峙しようとするその姿に俺は目を剥く。


「早まるな!八郎左衛門!」


 慌てて八郎左衛門に駆け寄る!


「お主の相手などしておれぬ。退けい!」


 再び八郎左衛門に大太刀を振るう真柄直隆。


「伏せろ!八郎左衛門!」


 俺の声に身を伏せた八郎左衛門の頭上で、俺と真柄直隆の大太刀が打ち合わされる。

 もの凄いパワーに押されそうになるが、何とか耐える。


「ほう、家臣を救う為に儂と打ち合うか」


「無事か?」


 真柄直隆の言葉を無視して、無事を確かめる。


「は、はっ!」


 ふぅ、どうやら無事みたいだな。


「弥八、八郎左衛門を下げよ!」


 弥八に八郎左衛門を安全な所まで下げさせる。

 全く、八郎左衛門の奴め!

 大太刀を刀で受けようなどとしおって!

 刀が折れでもしたら、どうするつもりなのだ!

 八郎左衛門の刀は、備前の青江貞次作『地蔵丸』。

 夜道で妖女と出会って、その妖女を斬ったが、翌朝見ると妖女ではなく地蔵が斬れていたという逸話をもつ刀だ。

 そんな逸話のある刀を折ろうなんて、とんでもない!


「では、邪魔者もいなくなった事でもあるし、存分に刃を打ち合わせようぞ」


 しまった!

 地蔵丸を守る為に思わず真柄直隆の前に出てしまった!


「九郎左衛門尉(朝倉景紀)は既に逃れた様だが、お主は逃げぬのか?」


 守ろうとした朝倉景紀は無事に離脱したんだから、あんたもとっとと逃げた方が良いんじゃないの?


「兵が逃げる迄、今暫く掛かろう。その間に兵部少輔、其方の首くらいは頂いておこう」


 止めてくれよ!討ち死に覚悟かよ!


「念の為に聞くが織田家へ降る気は?」


 真柄直隆は、俺の勧誘に「ない!」と叫ぶと斬りかかってくる。

 ですよね~。

 真柄直隆が斬りかかってくるのは予想済みなので、軽く捌いて逆に斬りつけるが、軽く往なされる。

 うーむ、得物の扱いは向こうが上、リーチも向こうの方が長い、パワーも残念な事に向こうが勝っている。

 おお!勝っているところが全くないやん…

 勝ってるのは数くらい?

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― 新着の感想 ―
[良い点] にっかりを守るために うっかり前に出ちゃう さすがです!
[一言] さすが自分の欲望に正直な正直者ですね。 もりべーには前に出る以外の選択肢がなかった。
[一言] 後世で物語化した時に 刀狩りの綽名が付けられるのだ。 足利も刀の為に滅ぼす数寄よ なお人間無骨ちゃんは兄貴を嫌がって弟に使われた模様
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