434 仕事した仕事した!
朝倉家との戦に、今まで日和見をしていた朽木家が参戦してきたらしい。
「兵部少輔、お主の仕込みであろう!」
知らせを持ってきた朝倉家の長門守とやらが、俺に濡れ衣を着せてくる。
「さて?何の事やら」
冤罪やで?
俺は何もしてないよ?
取り敢えず長門守には、ニヤリと意味有り気な笑みをくれてやる。
敵に向かって素直に答えてやる義理も無いしな。
「やはり兵部少輔を野放しにしておくのは危険だ。此処で討ち取らねばなるまい」
そう言うと、真柄直隆は再び大太刀を構える。
だから誤解やて。
俺を危険人物みたいに言うなよ。
この戦国の世で、俺程温厚で人畜無害な武将はいないぞ?
そんな俺を討ち取ろうとするなんて慈悲はないのか?
見逃してくれてもええんやで?
「儂を討ち取る気でいる様だが、果たして討ち取られるのはどちらであろうな」
まあ、今は俺の方がお前らを逃がす気無いんですけどね。
「驕るな!お主の武勇など十郎左衛門殿の敵ではないわ!ましてや数は我等の方が上。万が一にも討ち漏らす事などないぞ!」
真柄直隆ではなく、長門守が怒鳴ってくるが、お前はお呼びではないぞ?
「はてさて、それはどうかな?」
俺が余裕たっぷりに長門守を挑発する。
俺がそう言うと、また敵陣から兵が叫びながら駆け寄ってくる
「一大事に御座る!敵の後詰めが現れましたぞ!」
「何!」「真か!備中守殿!」
長門守に続いて、今度は備中守…誰?
まあ、いいや。
親切な俺は、敵の方々に誰が来たか教えて差し上げよう。
「柴田修理亮殿の兵だ!摂津に出陣しておった織田家の兵が戻ってきたのよ。さて、攻守逆転だ!覚悟は良いか?」
俺の言葉に朝倉兵の士気が下がる。
反対に周りの家臣達のテンションも上がっているのが分かる。
「此処は某が!十郎左衛門殿は本陣へ!」
長門守が真柄直隆を本陣に向かわせようとするが、それを許す訳にはいかない。
「させると思うてか!」
俺が真柄直隆に斬りかかるが、直隆の家臣らしき者が躍り出て大太刀で俺の攻撃を防ぐ。
「兄上!此処は某が!」
「済まぬ、十郎!任せた!」
どうやら邪魔をしたのは真柄直隆の弟らしい。
直澄の事かな?
「殿!この者は某が!」
青木所右衛門(重通)が、直澄(仮)の相手を買って出る。
…まあ、いいか。
俺の相手は…直隆は本陣へ向かったから、長門守でいいか。
「名を聞いておこうか」
何長門守なん?
「朝倉家家臣、山崎長門守!」
長門守はそう名乗ると透かさず槍を繰り出す。
あっ、山崎吉家さんでしたか。
よし、殺そう。
大太刀を構えて山崎吉家を迎え撃つ。
お前は志賀の陣の大将の1人だし、必ず此処で殺る!
流石は朝倉家の大将、中々の槍捌きだが、今まで真柄直隆と戦っていたので楽勝で捌ける。
比べるのが可哀想だけど仕方ないね。
山崎吉家の槍を弾き、大太刀をお見舞いする。
大太刀が山崎吉家の胴を裂き、動きが止まった吉家に追撃を加えて首を刎ねる。
よし!
「長門守殿!」
備中守が慌てて襲いかかってくるが、何もかも遅い。
返す刀で備中守を斬る。
敵将2人撃破!
よし、仕事した仕事した!
もう逃げても誰も文句言わんだろう。
本当は真柄直隆を足止めしておきたかったんだけどなぁ。
後の事は後詰めにやって来た権六殿に任せればいいや。




