433 朝倉軍本陣へ特攻だ!
ウチの脳筋達と共に朝倉軍の本陣らしきもの目掛けて特攻を掛ける。
山に潜んで機会を窺ってたら終わってましたじゃ、俺は構わないけど後で家臣達に突き上げを食らいそうで怖いし。
一当てして、さっさと撤退しよう。
まあ、本陣じゃなくてもいいんだけどな。
俺、仕事しましたっていうアピールだし。
どちらかというと、本陣深くに攻め入る前に、早めに誰かに止められた方が安全に逃げやすいからその方が良いのかもしれない。
そう思ったのが良かったのか悪かったのか、本陣への道を遮る様に眼前に一隊が立ち塞がった。
「流石に素直に通しては貰えませぬな」
林助蔵が、然もあろうといった感じで呟く。
「それはそうであろう。しかし、何処の者であろうか?」
コイツを叩いて撤退でいいかな?
問題は、これを率いているのが誰かという事だが…雑魚だと良いな。
そんな事を考えていると、敵が大声で自己紹介してくれた。
「思うた通り兵部少輔は後方には居らなんだな!お主ならば背後は別の者に任せ、隙を突いて本陣を狙うと思うておったぞ!儂の名は真柄十郎左衛門!さあ、存分にやろうではないか!」
げっ!真柄直隆か!
チェンジ!チェンジで!
俺、お前に恨みもないし、戦う理由なんてないから!
「流石は名の知れた猛将である真柄十郎左衛門殿に御座る。十郎左衛門殿が相手であれば、本陣を突くのは無理か」
見逃してくれない?無理だよね…
「見逃すと思うてか?さあ、御託は良いから戦おうではないか!」
真柄直隆が大太刀を構えながら、此方に突進してくる。
この脳筋が!
よし!脳筋には脳筋だ!
お前ら頑張って真柄を殺ってこい!…と家臣達を見渡したが、誰も真柄直隆の前を遮らない。
おい、お前等!
俺も真柄直隆とのタイマンを望んでるとか思ってないか?
確かに真柄直隆自身は、タイマン張る気満々で話してたけどさぁ。
俺は違うからね。
お前等脳筋だろう?
こんな時だけ空気とか読まんでええから!
仕方ない!
「折角、大太刀の名手である十郎左衛門殿が居られるのだ。一手御指南いただこうか」
一応思ってもいない事を口にして格好をつけつつ、大太刀を構えて真柄直隆を迎え撃つ。
「いくぞ!」「応!」
互いの大太刀を何度も搗合わせながら隙を窺うが、まあ無いよね。
しっかし、大太刀の長さも加わって凄まじいパワーだな。
今は受けられているが、早々に決着を着けないと力負けするかもな。
子供の頃ならまだしも、俺が力負けするなんて中々無いんだけどなぁ。
誰か空気を読まずに、弓で真柄直隆を背中から射抜いてくれないかね。
「流石は噂に違わぬ兵部少輔殿。儂と此れ程打ち合える者など中々居らぬぞ!」
「ははっ!十郎左衛門殿にそう言ってもらえるとは、大変光栄な事に御座るな!」
真柄直隆が褒めてくれるが、俺にはそれに答える様な余裕はない。
さて、どうしょうかね。
「十郎左衛門殿!」
誰か敵方の者が真柄直隆に向かって叫ぶ。
「如何した!長門守殿!」
長門守…誰?
「突如朽木家が襲い掛かり、後方の敵を追っていた右兵衛尉(朝倉景隆)殿が討ち取られた!」
「何!」
長門守とやらの叫びに真柄直隆は俺の方を見る。
…何で俺を見た?
朽木家参戦なんて、俺は知らんで?
そんな暇無かったし。
真柄直隆が長門守の話を聞く為に俺と距離を取りたかったのか、大振りをかまして来たが、俺も戦闘中断は望むところなので、逆らわずに距離を取る。
そろそろだと思うけど、少し時間を稼いでおかないとな。




