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アオ  作者: 未知
第1章
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18/23

1-⑯

その言葉は独り言のようなささやきだった。


「君の出番ですね。」


そして次の言葉は、彼に向けたものだった。


「嫌だね。」


彼の言葉に迷いはなかった。


(嫌だねって…)


断ったってこと?


「ちょっと!これ、どうにかしてくれないの?」


なんだかわからないが、この鬼門とやらをどうにかするためには彼の力が必要なようだ。


それを断った!?


彼にすがるも


「俺には関係ない。」


そういってクルリと方向転換してしまった。


『グ…ギギギギ…』


(!)


声が先ほどより大きい。


まるでこちらにち近づいてきているようだ。


「彼女が死ねば、あなたも死ぬ。そう知ってもあなたはここを離れられますか?」


「「え?」」


その言葉に答えたのは、彼と、私


(なに?…どういうこと?)


彼女、とはおそらく私のこと


そして、あなた、は彼。


つまり、私が死ねば彼も死ぬ


そういうことを言っているのだろうか?


「どういうことだ?」


その言葉に彼も足を止め、振り返る


「吸魔鬼と契約鬼の契約です。今ここであなたが去れが、鬼が出現するでしょう。僕は戦闘には向きません。自分を守るので精いっぱい。彼女は襲われ命を落とすかもしれません…」


「…」


何やら恐ろしすぎる話に声が出ない。


「…ちっ」


少しの間の後の舌打ち。


不本意そうだが、彼は再び鬼門と向き合った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



彼が鬼門と向き合い、黙ってそれを見つめる。



そして、ゆっくりと右手の平を鬼門に向けた時。



その手にあの、アオの光が集まるのが分かった。


それが大きな光の玉になり、ゆっくりと小さくなった。


いや、小さく収縮した、といったほうがいいだろう。


光の密度が濃くなったような気がしたからだ。


そうしてそれを


「はっ!!」


鬼門の中に投げ込んだ


すると…


バァァァァァァァンッ!!


(!!!)


青い閃光と爆発音


そのあとくる煙と風


あまりのことに、叫ぶこともできなかった。


「ど…うなったの…」


煙が晴れ、そこには同じように鬼門があったが、中は暗闇のみであの赤い目は消えていた。


「さすがですね。」


コンジキはさも当たり前といったように鬼門を見つめ


「では、ここからは僕の仕事ですね。」


そういって手を上にかざすと、何もない空間からコンジキの身の丈ほどの銀色の棒が現れた。


片方に穴が空いていて、そう、まるで長く大きい縫い針のようだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コンジキの動きは優雅で、きれいだった。


夜空をフワリとジャンプしたと思うと、その手から金に光る糸が現れる。


そしてその糸と針をつかい踊るように鬼門を修復したのだ。


まるで、破れた布を針と糸で縫いあわせるように。


今までの恐怖などあっという間に消し飛んでしまったかのように。


1つの舞台を見ているように、私はコンジキから目が離せなかった。


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