1-⑫
ホテルのスイートルームのような部屋が現れた時、すでに驚かなくなっていた私は、おそらく感覚がマヒしてしまったのだろうと冷静に考えることができた。
扉は、また1つ。
(どこにつながってるんだろう…)
窓もなく、換気扇の音すら聞こえないこの部屋。
うるさい妹たちもいなく、疲れているはずなのに、まったく眠くない。
「開けてみようかな」
知らぬ間に声に出していた。
扉の目の前
やることもない。
ただ、少しの好奇心が私の手をノブへと動かした。
(そいういば、あの子はどうしたんだろう)
神官やコンジキのことではない。
あの青年のことだ。
一度は首を絞められ、恐怖したはずなのに。
なぜだろう。
とても気になった。
これも…『契約』を交わしたからなのだろうか…
(まさかね)
あの子への恐怖が消えたことに、思わず口元が緩んでしまう。
そういえば、あの子の名前も聞いていなかった。
「あ…」
ガチャリ
そんな音とともに扉があく。
いろいろ思いめぐっている間に思わず開けてしまったのだ。
その中は、先ほどと同じ四角いスベースだった。
(…)
考えたのは一瞬
私は、その中へと乗り込んだ。
なぜか、乗るべきだと感じたからだ。
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今度は、上昇する感覚だった。
しかも、先ほどよりも長い時間。
私の常識が通じないことは分かっていたが、さっきの部屋よりも高い所へ向かっているのだろうか?
そうして、再び扉が現れたのは、それから約2分後
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「わぁ…」
扉があくとそこは部屋ではなく、外だった。
外、というか空だ。
先ほどの部屋から見えた星空。
あの時は、部屋の中からの眺めだったが、こんどは直に見ている。
歓喜の声が無意識に漏れ出した。
ここは、屋上だろうが。
空がこんなに近くにあるのだから、相当高いところにあるに違いない。
周りを見るが柵のようなものもなく、相当広い空間ということしかわからなかった。
(…きれい)
空を見上るのが好きで、もちろん夜空も好きだが1番は青空だった。
けれど、この空は格別だった。
1日いろいろありすぎて、こんな気持ちになるのはおかしいかもしれない。
けれど、この場所が、とても落ちついたのだ。
下は芝生だったので、寝転がろうとしたとき、ふと、視界の隅で何かが動いた。
(…あ)
星空の下、それを眺めていたのは、私だけではなかった。
少し離れていたのに、あの青年だと、すぐに分かった。




